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40話 花蓮に染まる心


朝学校に着くと花蓮は女子達の間から俺にニコッと微笑んだ。 花蓮…… やっぱり俺ずっと花蓮に会いたかったんだ。 でもなんで昨日帰ってから何も連絡くれなかったんだ? 花蓮はそういう事しないのか?



俺は花蓮の顔が見れて嬉しい気持ちとどうして連絡をくれなかったんだ? というよくわからない気持ちでモヤモヤしていた。 席に着いてそれとなく花蓮を見ていた。



そして花蓮を見ていると俺の気持ちを察したのかおもむろに俺に近付いて来た。 だけどマズい、上野とかも居るのに俺の所へわざわざ来て話なんかしたら怪しいだろ! と思ったが花蓮は俺を素通りして俺の後ろに居た女子と話し始めた。



なんだ、俺の所へ来たんじゃなかったのか…… 少しガッカリした気持ちになる。 来て欲しいのか来て欲しくないのかバカじゃないか俺って。



はぁと溜め息を吐き机を見ると小さく折り目のついた紙切れがあった。 なんだろう? と思い紙切れを開くと文字が書いてあった。



『昨日は連絡出来なくてごめんね? えりなちゃんや日々野さんと話しているのかと思って遠慮しちゃった』



そう書かれてあった。 そんな事どうでも良かったのに。 それで何も音沙汰がなかったのか…… 俺の心はそれだけで原因がわかったお陰で気分がスカッとした。



別に遠慮しなくたっていいのにな。 だけど花蓮はやっぱり俺の気持ちをわかってくれてわざわざこんなの書いてたのか。 花蓮は本当に良い子だな、嫌になるくらい俺を振り回すんじゃなくて俺をちゃんと気遣ってくれている。



こんな花蓮だから正反対のようなえりなとよく対立してたのかな? えりなへの嫌がらせで上野と付き合ってたって言うけどそれくらいこんなに穏やかそうな花蓮をえりなは怒らせたのか?



いやいや、違う! 花蓮はあの時えりながいると自分だけチヤホヤされないから嫌だって言ってたじゃないか。 つまり花蓮もやっぱりえりな側の存在なんだ、騙されてどうする!?



このまま花蓮に甘えてちゃいけない、そう思う。 そう思うんだが…… 俺の心の中ではあれももしかしたら花蓮のえりなに対する敵対心で思ってもない事を口走っただけなのでは? と考えていた。



だってそんな奴がこんなに俺に優しくしてくれるか? それは好きだから? 同じく俺を好きなえりなが憎くて堪らないだけなのでは? だけどそれで俺はいろんな酷い目に遭ったじゃないか? 花蓮と居ればまた同じ事になる。 それはえりなと沙耶と居ても同じ事だ。




だが俺が思考の渦に飲み込まれている時肩にちょんと何かが触れまた紙切れが置かれた。 気付くと花蓮は俺の前を通っていた。 そしてさっきと同様紙切れを開く。 そこには……



『今日は昼休み一緒にお昼ご飯食べたいな。体育館裏に来て』



そう書かれてあった。 体育館裏? 無難な屋上じゃないのか? でも俺はさっきの葛藤は消えていた。 花蓮のひとつひとつの仕草は俺から余計な考えを消し花蓮一色に変える。




退屈な授業中も花蓮をそれとなく目で追っていた、花蓮は少し離れた斜め前に座っている。 俺がチラチラと花蓮を見ていると花蓮はふと俺の方向へさり気なく視線を向けると他のみんなに気付かれないようにウインクをした。そして俺の携帯が振動し画面を見ると……



『そんなに見られると照れちゃうよ? ちょっとは授業に集中しなさい』



俺が見ていたの気付いてたのか? なんだか恥ずかしくなり俺は黒板を見る。 黒板を見ているが実際は見ていない、花蓮はみんなの前では素っ気ないけどちゃんと俺を見ているんだ。





そして昼休みになり今日は上野との昼飯は断り俺は体育館裏に向かう。 教室を出る時まだ花蓮は居たのでまだ来ていない。雑草が生い茂っていたがなんとか座れそうな場所を見つけ腰掛ける。



それにしても花蓮は遅いな…… そしてやっぱ屋上の方が良かったなと思っていると……



「わあッ!」

「うわッ……て花蓮か。 脅かすなよ」

「えへへぇ〜、サプライズ! 遅くなっちゃってごめんね? ちょっと用事があってさ」

「用事?」



そう言うと花蓮は少し気不味そうな顔をした。 聞いちゃいけない事だったかな?



「上野君と別れたの結構知られちゃってさ、他の男子に呼び出されちゃったの……」



そう言われた瞬間俺は言い様のない不安な気持ちになる。 花蓮はもしかして誰かに告白でもされていたのか!? いや、花蓮が告白されるなんてのは普通にあり得るだろう、なんてったって可愛いし……



「えと…… それで?」

「もちろん断ったよ! だって今は健ちゃんが居るのに私が他の男子と付き合うわけないじゃん? 」

「上野とは付き合っていたのに?」

「もう上野君とは別れたし…… それにそれまではえりなちゃんや日々野さんみたいな子居たから私も少し戸惑うよ? だって健ちゃんがもしどちらか好きだったら私怖くて自信なくしちゃうもん」



花蓮は俺の肩に頭をピッタリつけ俺の腰に手を回した。



「今はね、2人には悪いけどえりなちゃんも日々野さんも居ないから健ちゃんに私の素直な気持ちを健ちゃんに伝えられて嬉しいの。 でもこんな私ってやっぱり性悪とかえりなちゃんに言われてもしょうがないのかもね」

「あ、いや。 そんな事ないよ、花蓮も最初はやる事にビックリさせられたけどいつも俺に優しかったし今でもちゃんと俺を気遣ってくれてるだろ」

「あはは、ごめんね。 でも健ちゃんの事はいつもよく見てたよ? 好きなんだもん……」



赤くなった顔をあまり見られたくないのか花蓮は俺の胸に顔を向けながらそう言った。 そんな花蓮が可愛くてつい俺は花蓮の頭を撫でる。 少しビクッとした花蓮だがえへへとニヤつき俺に身を任せる。 こんなに可愛い花蓮を俺は他の男に取られたくないと考えてしまう。



えりなや沙耶も俺に対してそんな気持ちだったのかな? 今なら少しわかる気がする。 そんな事を考えてると花蓮は俺の両頬を手で触る。



「こら健ちゃん、今違う子の事考えてたでしょ?」



花蓮が少し頬をぷくっとさせ俺に問い詰める。



「あー、ごめん。 ちょっと考え事してた」

「フフッ、いいよ。 健ちゃんをちょっとからかってみたくなっただけ。 健ちゃんの可愛いお顔もよ〜く見れたから許してあげます。 さぁ、お弁当食べよう? 私ね、今日ずっと健ちゃんと一緒に食べようって思ってたから健ちゃんの分まで作ってきたの!」

「え? ありがとうな。 作ってきてくれるなんて初めてだから嬉しいよ」



花蓮は俺にどこまでも優しく接して俺の心の中は花蓮でいっぱいになっていた。 そしてこうも思った、花蓮ともっともっと話したい、えりなや沙耶、上野から隠れるように花蓮と接するのは窮屈だと思える程に。




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