34話 喧嘩の後
えりなと沙耶を俺の家に招いた。 2人とも、特にえりなはボコボコなのでかなり目立った。 帰りに2人ともパーカー着させて帰った方がいいな。 特にえりなの服は酷い事になってるし……
母さんもどこかへ出掛けているのか? 誰も居ないし。 てかこんな傷だらけの2人見たら驚くだろうから居なくて良かった。
「ここが健斗君のお家、健斗君の……」
「地味子、何か変な気起こすんじゃないわよ? 」
「おい、また喧嘩するのは勘弁だぞ!?」
「あッ!」
えりなは何か思い出したように声をあげた。
「ビックリした、どうしたんだよ?」
「駅に凶器忘れた…… 誰かさんが人の顔ずっと殴り続けたせいで」
えりなは沙耶をジロッと睨む。 沙耶はそんなえりなにツンとした態度をとる。
あんな物見つかったら普通に怖いよな……
「私も美咲さんのせいでスタンガン忘れた、高かったのに……」
うん、でもそのまま無くなってくれればいいや。 あんなの持って一緒に居られたら気が気じゃないし。
「何? 文句あるの? 散々私の事殴っておいて」
「なら同じくらい殴ればいいよ。 私美咲さんには負けないもん!」
「上等じゃない! 私の綺麗な顔をここまで酷くしてくれたんだからあんたも覚悟しなさいよ? 思いっきりブスにしてあげるから」
「そうだね…… 今の美咲さんが言うと凄く説得力ある」
この言葉で更にえりなは頭に血が上り沙耶に襲い掛かろうとするが俺の家で暴れたら大変な事になるので必死にえりなを落ち着かせる。 2人同時に連れてきたのは失敗だったかな……
そんな俺を見つめていた沙耶がはぁと溜め息を吐いて口を開いた。
「ごめん。 ごめんなさい…… 健斗君こんなの嫌なんだもんね。 私我慢する、美咲さんまだ美咲さんに許せないって気持ちはあるけど今日はごめんなさい。 私が美咲さんの傷手当てするね……」
「はぁ? 何よそれ。 ていうかなんで私がそこまで目の敵にされなきゃいけないんだか……」
良かった、なんか仲直りした? ようでしてはいなかった…… 互いに傷口に塩を塗るような感じに手当をしている。 ここまで来て凄い執念だなこの2人。
「でも沙耶に何もなくて良かったよ、本当にストーカーなんて居たら大変だったしな」
「ふん、こんな女にストーカーするなんてストーカーの方が可哀想だわ」
「み、美咲さんには言われたくない!」
どっちもどっちだな。 でも不思議と沙耶はさっき外でえりなを思い切りボコボコに殴ってスッキリしたのかわからないのかあまり影がなくなっている…… ような気がする。 ここまで変わった沙耶の思ってる事は俺になど知る由もないが。
「健斗、私思ったよりも顔が酷いから明日からしばらく学校休む」
「わ、私も…… 大丈夫になるまではちょっと休もうかな」
「その方が良いかもな、2人ともそんな姿で学校行ったら何か変な噂が流れるかもしれないし」
「健斗だったらお見舞いに来てよ? 私寂しいもん」
「美咲さんだけズルい! わ、私も健斗君にお見舞いされたい……」
「いやいや、待てって。 2人同時にお見舞いなんて行けないよ、せめて違う日ずつにしないと」
それに俺えりなの家はわかるけど沙耶の家は行った事ないしな。 反対方向だったらいくらなんでもキツいぞ。
「沙耶の家ってそういえばどこだよ?」
「え? じゃあ来てくれるの?」
沙耶がパアッと笑顔になった。 お見舞いで変な事しないよな?
「私の家はここから反対側だけど学校の近くだから後で教えるね! やったぁ、健斗君が来てくれるんだ」
「地味子、あんた調子に乗るんじゃないわよ? 私の方が重症なんだから私の比率の方が多いんだから!」
「どっちも公平に行くから喧嘩するなよ! 口を開けば挑発し合うなよ」
「チッ、いいわよ。 来てくれるならそれで。 はぁ、地味子とくっつかせようとした過去の私を殴ってやりたいわ。それに私が学校にいない間あのクソ女も居ると思うと心配で堪らないし」
2人が休んでいる間は少し平和そうだなと思ってしまった。 新月が居るってなっても上野と付き合っているからそんなに接触はないはずだ。
俺が1人になる時気を付ければいいだろう。 常にみんなと一緒に行動してれば新月だって俺に話し掛け辛いと思う。
「心配すんなよ。 ほら、うちの親が来る前にそろそろ帰れ。 見られちゃお前らも面倒だろ?」
「あ〜あ、今日は誰かさんのせいで本当についてないわ」
「私だってそんなつもりじゃなかったし……」
「お前らこれ着てけよ?」
2人にパーカーを渡すと最初は何? という感じだったがすぐ察した。
「健斗君のパーカー…… いい匂い」
「くれるの? 健斗」
「貸すだけに決まってんだろ?」
2人はパーカーを深く被り帰っていった。 ようやく落ち着いた…… 休みの日まで修羅場続きなんて俺のメンタルもヤバいぞ。
そしてそれからしばらくしてみんな帰ってきた。 夕飯を食べ風呂から上がり寝ようと思った頃窓に何か当たったような気がした。 気のせいかな? と思うとまたコツンと。 なんだと思いカーテンを開けると目の前に石が飛んできた。窓を開けると俺のパーカーを着たえりながまた石を投げようとしていたが俺が窓から顔を出すと手でこっちに来いと合図した。
俺はちょっと散歩と誤魔化し家から出るとえりなに抱きつかれた。
「ふふッ、いきなりでビックリしたでしょ!?」
「いつもいきなりだろ…… どうしたんだよ?」
「健斗に会いに来たに決まってるでしょ? 本当に心配したんだから。 あのまま私が来なかったら今頃地味子に何されてたか想像すると身の毛もよだつわ」
「俺もそれはあんまり想像したくないな……」
えりなは今日カフェから置いて行かれた事をまだ根に持っていたようだった。
「明日からしばらく私が休むから寂しい? 健斗」
「いや、平和だなって…… っておい!」
「この顔じゃ正面からはし辛いから……」
えりなは俺の頬にキスをした。 それで満足したのか「帰るね」と言った。 本当に勝手な奴だな…… だが散歩と言って出てしまったので俺はえりなの家まで送って行く事にした。
「へえ? 一緒に来てくれるんだ? 私を好きになっちゃった?」
「散歩って言ったからすぐ帰ったらおかしいだろ? それだけだ」




