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31話 キスできる?


街へ出向きカフェに入りえりなとコーヒーを飲んでいる。 好きって言われても不思議だ、なんでその相手が俺なんだろうな……





「なぁ、せっかくの休み俺なんかで潰していいの? 上野とか誘った方が良くないか?」

「私が決めた事に文句あるわけ? わ、私が健斗と遊びたいから誘ったのよ鈍感!」

「はぁ、俺の気持ちなんてさっぱり考えないよな、お前らって」

「てかさ、健斗って…… その、あの…… 私の事嫌いなの?」




うん、その時点でもうあれだよな。 逆に今の今まで俺が喜んでこいつの言う事聞いてたと思う神経が凄いよな。



「そ、そりゃ確かに私ってちょっとわがままだけどさ……」

「ちょっと? それでちょっとなのか!?」

「ちょっとよ! それに今なんて健斗に

大分優しく接してるんだけど?」

「あはは、優しくても扱いは酷いよな。それにまぁソフトに言えばお前の事は別に好きじゃない」



そうするとえりなは少しシュンとした。 こいつがしおらしい態度取るなんて珍しいな。 そんなに俺から嫌われるのが嫌って事は本当にこいつの言ってる事本当なのかな……



「あ…… 私のケーキあげるわ、食べかけだけど…… ほら食べて!」

「いや、俺あんまりケーキ好きじゃないからえりなが食べろよ」



無理矢理えりなにケーキを口に突っ込まれた。 ほら、こういう所だよ。



「それにえりなならもっと上手くやれるだろ? 例えば…… 上野に接してるように俺に接するとかさ。 あれならまぁまず問題ないかも」

「それはイヤ!…… だってそれじゃあ意味ないって気付いたから」

「意味ない?」

「それは偽りの私だもん。 私の表面しか見てない」



だったら上野にも俺と同じようにしてみれば? と思ったがあの時の日々野見てドン引きしてたもんな。 俺は最初からこいつの横暴な態度とか見てたし新月の事もあったから少しは耐性がついてたけど、そっち気がなければもれなくえりなの無茶苦茶振りには呆れるだろう。



それに付き合ってやってる俺も俺で少しあれだけどこいつに弱み握られてるから何しでかすかわかんないし……




「つまりわがままなえりなにこんなに付き合ってやってる俺が1番えりなに都合がいい存在って事だろ? それって好きなのか?」

「何よ? そのトゲのある言い方。 ば、バカにしないでよ、健斗の事考えるとドキドキしたり胸の奥が熱く…… なったりする…… 最近」

「お、おい、恥ずかしい事言うなよ」

「あんたが言わせたんでしょ!? 私にあんまこんな事言わせないでよね……」



どうやら本当に俺の事が好きならしい…… ていうかなんで俺も他人事のようなんだろう。



「えりなさ、好きな人と付き合えないと死んでしまうっての本当に本当なの?」

「まだ疑ってるの!? 本当に本当よ! あと5ヶ月くらいしかないんだから…… そんなんで健斗は私の事救ってくれるのかしら? 」

「俺じゃなくて上野かもしれないだろ?」

「多分違う…… 最初はそうだと思ったけど今は健斗だけ」



えりなは俺の手を握って微笑む姿は少し毒気が抜けたような爽やかな笑顔だった目もなんだかキラキラしているような気がしたが次第に目の色が濁り始め爽やかな笑顔がどんどん歪んでいく。 相変わらず凄い表情の変化を見せる奴だ。 握る手にも大分力がこもってきた。 ていうかどうしたんだと思うとテーブルに置いてた携帯が振動していた。



誰かと思えば日々野…… それでえりなの表情がキツくなったのか。 出たくない、だけど出ないと後からもっと怖い気がする。 目の前にいるこいつも怖いが俺は携帯を手に取ろうとするがその腕を掴まれる。



「ダメよ健斗、その電話に出たら最後、泥沼に引きずり込まれるわよ? 何があるかわからないもの」

「もう大分泥沼になってるのによくそんな事が言えるな? この電話スルーしたら俺がどんな目に遭うかわかるか? きっとこの前より酷い事になる」

「だったら居なかったとか居留守で誤魔化せばいいのよ? それより私と一緒に居るこの瞬間に集中したらどう? もし付き合っていればこれは浮気よ?」

「お前らみたいな奴を居留守なんかで誤魔化せたら苦労しねぇわ、とにかく手を離せ」




俺を携帯に出させまいと静かなバトルをえりなと俺は繰り広げる。 そして力では勝てないと悟ったえりなは俺の手を離しその一瞬で俺の携帯を奪い取る。 なんて早技だ…… そして着信が鳴ったままの携帯を俺に見せる。 くそ、前の事もあるし無理矢理奪おうとしてえりなにまた弱みでも握られたら堪らない……




「ひとつ提案があるわ。 この着信が終わるより早くに私にキスをしたら返してあげる」

「何言ってんだよ? ここ店の中だぞ?」

「そ、そうだけど別に恥ずかしがる事ないよね? さも当然のようにすれば誰もなんとも思わないわ。 むしろソワソワしながらやると目立つわよ。 さぁ、どうする?」



ニヤリと俺に選択を促す。時間がない…… こいつそこまでしてキスして虚しくないのか? というかどっちも選ぶ気がしないのはなんでだろう? だがここは賢い選択をしなければいけない、俺がこいつにキスをして携帯を返して貰えばなんて事はない。 携帯は戻る、えりなの思う壺なのが癪だけど仕方ない。



俺は意を決して向かいに座るえりなへ身を乗り出す。 そしてえりなは来た! という顔で俺を見つめる。 すると着信が途切れる。



「あら? 」

「あ、ああ……」



パッとえりなの手から携帯を奪い取る。 なんてこった…… スルーしてしまった。



「どうすんだよこれ…… 」

「あー、良い所だったのに使えない女ね!」



するとまた着信が鳴った、やはり日々野からだった。



「一回出なかっただけで終わるわけないのよ。 地味子の事だから出るまでエンドレスに決まってるじゃない」



ツンとしてそっぽを向きながらえりなは言った。 危ない、こいつの口車にまんまと乗せられる所だった。 そして俺はようやく電話に出た。



「日々野どうした?」

「助けて…… 健斗君!」



電話越しでも泣いているとわかる日々野の縋るような声がした。



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