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26話 それぞれの感情


「俺、飯盒炊爨してるよ、だから上野はみんなとカレーの方頼んだわ」




俺はそう言い他4人達と離れる。 はぁ、落ち着く。 出来ればこの野外演習はもう1人で過ごしたい。



「みたいな事を考えてますって読めるんですけど?」

「え、えりな!? 何でここに?」

「健斗を見に来たに決まってるでしょ? 上野君とあのクソ女は地味子とカレー作ってるし変な事にはならないでしょ。大体カレーなんて誰が作っても似たような味なんだし」

「そうか、俺はじっと飯盒見つめてたいから邪魔しないでくれよ」




果たしてこいつは邪魔しないでくれるだろうか? そう思ったがやはり邪魔してこないわけがなく……



「ねえ健斗、私のさっきの告白なんだけど健斗はどう思っているのかな? もちろん肯定的に捉えてるわよね? なんせこの私なんだから」

「自分の俺に対してやっていた事を少しは省みたらどうだ? 俺がお前を好きになる要素ってあったか?」

「私の体の匂いを嗅がれてそれに味見されたわね…… あんたって考えたらつくづく変態よね」

「お前自分の都合の良いように解釈してるだろそれ! しかも全部自分でさせたよな?」




思い出したのかえりなはポッと赤くなった。 多分こいつの頭の中ではポジティブな脳内変換が起こっているに違いない。 そう、こんな風に考えてるに違いない。 俺がもともとこいつの事が好きで出会ったのも偶然ではなく俺がえりなを求めて出会ったような…… なんて捏造的な妄想を。



妄想を繰り広げているであろうえりなから視線を外し飯盒に視線を戻す。 火を見つめて心を落ち着ける。 今日は肝試しして花火やってそれで終わりだ。 そして今日は平和に眠れるだろうか?



そんな事を考えていると俺に相手をされなくてつまらなくなったのかえりなの姿は消えていた。 ふっ、ようやく安息の時間が訪れたかと思ったら後ろからフワッとえりなの香りがしたと感じると同時にえりなの腕が後ろから伸び俺の胸に回っている。 え? こんな所で? 仕切られてるとはいえヤバいだろ……



「え、えりな…… マズくないか流石にこれ」

「へぇ、なんで私だってわかったのかな?」

「いや、お前の匂いがしたしこんな事やるのお前くらいだろ……」

「私の匂いしっかり覚えてくれたんだ? 健斗変態だもんね? だけど今となっては嬉しいかも」



ていうか誰かに見られたら噂立って俺との関係が? とか浮上するじゃねぇか、そしたら上野はどうすんだよ? 諦めんのか?



「上野にもこんなのしてたら風の噂で伝わるぞ?」

「もしそうなったらそれで上野君が私を好きにならないなら私は自分を出せる健斗を選ぶから」

「本当に自分勝手な奴だな」

「だって私の恋だもの。 私幸せになりたいもん」



なんか似たような事新月も言ってたな、やっぱり思考回路同じだわ。



「あれ? 美咲さんじゃね? 男子とハグしてね?」

「本当だ。 野外演習で誰か好きになった人でも居たんじゃね? 羨ましい奴」




そんな声がチラホラ聞こえてきた、ほら見ろ。 見つかるに決まってる……




「ほら、案の定噂されてるぞ?」

「羨ましい奴だって健斗。 私に抱きしめられて贅沢だよね健斗は。 なのに何とも思わないのかな?」

「俺の仕事を邪魔すんなよとしか……」

「こんな美人に抱きしめられてそれ? 意気地なしね健斗は。 それとも心の中では私の事押し倒してあんな事やこんな事していたりして」



頭お花畑かこいつ……



えりなのせいで俺達の班のご飯は焦げてしまった。 上野と新月は文句を言っていたが日々野はおこげで美味しいねと気を遣ってくれた。 そしてそんな日々野にえりなは睨みをきかせているのを俺は見逃さなかった。 穏やかに食べてくれよ……



そして肝試しになり俺達はゾンビの格好をさせられ道行く生徒を驚かす役割になった。 上野と新月はノリノリだ。日々野はちゃんと脅かせられるか不安そう、そしてえりなは少し不服そうだ。



えりな、お前は普通のままでも怖いよと俺は言いたかったが殺されたら洒落にならないので心の中で呟いた。



「私ちゃんと出来るか不安…… 足立君私って怖い?」



怖いって聞かれ方すると…… ある意味怖い。 日々野の想いもえりなの想い、新月のは本当かわからないが。 3人に迫られたりしてもう泥沼だ。



「地味子、 ポイント稼いでいるんじゃないわよ?」

「ひいッ!」



上野には聞こえないように日々野に不気味に近付き囁くようにそう言うえりなは本気で怖い。 ゾンビメイクしていなくたって怖い。



「健斗にはこんなゾンビメイクより可愛くメイクした私を見て欲しかったなぁ」

「それでも怖さは据え置きだけどな」

「何か言わなかった?」

「…… いいえ、なんでもありません」



そんなえりなと俺のやり取りを日々野が恨めしそうに見ている。 うん、それを肝試しで発揮すれば怖いぞ。 だって俺お前らなんか怖いもん……



そろそろ始まるのでみんな定位置に着く。 ほとんどを俺と日々野が決めていたので俺と日々野は隣同士だ。 えりな達とは少し距離がある。 そんな中日々野が呟く。



「そうだよね、私間違ってた。 引いたりしたら好きな人と絶対結ばれない。どんな醜い手段でも使って勝ち取らないと意味ないんだ、何もしないで後悔するより出来る事全部やって酷い事したって悪い事したとしてもその人に対しての想いだから誠実だもん。 美咲さんと新月さんは正しかった」

「へ? 」



俺はゾクリとするが敢えて聞かなかった事にした。




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