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20話 いい加減寝たい


新月との心臓に良くないドキドキを味わい俺は寝室に戻ってきた。 どっと疲れが押し寄せる、ある意味良く寝れそうだ。 そしてベッドに入ろうとすると隣のベッドから日々野がむくりと体を起こした。



「足立君どこ行ってたの?」

「え、起きてたの?」

「足立君が起きた時私も起きちゃった。それでどこ行ってたの?」



新月の次は日々野か、でも日々野なら美咲や新月のように強引な事をしてくるとは思えない。 だけどここは……



「トイレだよ」

「嘘…… だって長かった」

「な、なんか腹の調子が悪くて」

「さっき…… 誰かがトイレの方に行ったよね? そしたらトイレで鉢合わせになる。だから…… 嘘」



俺は今日これから眠らせてもらえるのだろうか? だけどそもそもトイレじゃなくてもトイレだったとしても何を隠す事があろう? 俺は日々野の事は嫌いじゃない、むしろいい奴だと思ってる。 美咲のせいで日々野との関係がギクシャクした事もあるし俺を好きかもしれないと言われて意識もしている。



だけど俺ってまだ気持ちがハッキリ出来ていない。 だから日々野に対しても友達だ。 なので隠さず言おう! …… 言おうと思った、だけど言おうと思うと言えない。 なんか日々野を傷付けてしまいそうな気がして。



「足立君、答えてくれないの? 」

「えっと…… それは」

「ごめんなさい、私には言いにくい事なんだよね? 嫌だよね、しつこく聞かれると…… 足立君ただでさえ疲れてるのに」



日々野…… なんて謙虚で察してくれていい奴なんだ。 だから日々野を余計に傷付けそうで言えない。



「ごめんな、日々野」

「いいよ。 だけど私も負けない。足立君一緒のベッドで寝ない?」

「え、い、今なんて?」

「私のベッドで一緒に寝て下さい……」



そ、それはいくらなんでもヤバいんじゃないかな? 学校はこの責任をどう取ってくれるんだろうか? だから男女別にした方が良かったんだ。 そんな事言われて嬉しくないわけないけどなんかお後が怖い気がするんだ。



日々野とくっつけと言った美咲も日々野とあまり仲良くしていると自分を放ったらかして随分と楽しそうね? とか言ってくるに違いない。 そして沸点を超えると今度こそ何かヤバい薬で眠らせられて監禁、はたまたそのまま俺の人生終了させられかねない。



俺がそんな事を考えていると見兼ねた日々野が涙を流し始めた。 ええ!? なぜ泣くんだ?



「そ、そんなに嫌? 私凄く恥ずかしい事言ってるのにそんなッ……」

「わ、わかった! 寝よう! 一緒に寝よう」



そう言うとコクリと日々野は頷き布団を上げる。 一緒に寝るだけ、ただ寝るだけ…… ほら、幼い頃母さんとも一緒に寝たじゃないか、それの延長だと思えばいい。



日々野のベッドにゴクリと唾を飲み込み入る。 フワッと日々野のいい匂いに包まれる。 そして布団の中に入ると日々野は俺にピタッと体をくっつけた。



柔らかい…… いろんな所が柔らかい。 新月と隠れた時はそれどころじゃなく感触なんて気にしなかったが今は違う。 これ寝れないんじゃね?



「足立君あったかい…… それにいい匂いする。 なんか幸せ」

「そ、そうか? 俺そんな匂いするかな?」

「うん、甘い匂いがする…… いつも」



え? 何も付けてないけど柔軟剤の匂いなんじゃないかそれ? 俺は向かい合うとマズいような気がして後ろを向くと後ろから日々野にまたくっつかれ首筋に日々野の息が当たる。



「やっぱりいい匂い。 私足立君の匂い大好き…… でも足立君こっち向いてくれないの?」

「は、恥ずかしくてさ」

「うん、私も凄く恥ずかしい……」



背中から前に日々野の腕が伸びギュッと抱きしめられる。 こんな事されたら嬉しいのに俺は目の前のこの状況に集中出来ない、ヘタレなんだろうか?



「足立君の背中って大きいね、やっぱり男の子なんだね」

「運動は苦手だけどな」

「フフフッ、知ってる。 いつも体育の時嫌そうな顔してるもんね? 私も苦手、一緒だね」

「日々野は俺をよく見てるんだな」



地味子なんて美咲は言うがもう日々野はイメチェンしてしまい地味子とは程遠い。 俺は理性を保てるのだろうか? なれるのだろうか……



「足立君も私の事しっかり見てくれてたよ…… だ、だって私の事前から可愛いって思っててくれてた。 今だって可愛いのかわからないけど足立君からそう言われてとても嬉しかった」

「え? ああ、その事か。 うん、前から可愛い顔してるって思ってたし今も可愛いよ」

「そ、そんな事言われたら私もっと、もっと足立君の事……」



日々野は急に起き上がり俺に覆い被さる。 あれ? これじゃさっきの新月の時と同じじゃ……



「ひ、日々野顔真っ赤だぞ……」

「…… 足立君も」

「こ、こういうのはお互いの気持ちを尊重し合ってからの……」

「私はいい……よ?」



俺を見つめる日々野の目は真っ直ぐで俺はここで決断した。 流石に勢いで、というか俺にはまだ早過ぎる。いろいろと…… ヘタレだ。



「ひ、日々野、俺にはまだ自分の気持ちがよくわからない。 だから今日は寝よう? 一緒に寝るからさ」

「ふ、ふふ……」

「日々野?」

「ご、ごめんなさい。 足立君ってやっぱり真面目だね。 少し安心した、うん。 今日は寝よう一緒に」



そして俺の後ろに日々野はまた移動した。 だけどギュッと俺を抱きしめそのまま眠りについた。 俺は緊張が収まらずなかなか寝付けなかった。






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