その後…… とある日の事
後日談的な話です。
俺が3年生になりえりなと恋人になりしばらくした頃、ある日えりなは俺の家に遊びに来ていた。 そして響紀にこんな事を話されていた。
「えりなさん、今週末私達と出掛けない?」
「出掛ける? どこへ行くの?」
「実はね、お母さんの友達の家に私と同い年の子供居るんだけどお兄に彼女出来たって言って超美人って言ったら会ってみたいって言ってたの」
「おい…… それ俺も初耳なんだけど? ていうかそれって陸の所だろ? しばらく行ってないけど」
母さんの高校の頃の友達の神城 絵里さんだ。 その子供が神城 陸だ。 小さい頃は俺もよく行って遊んでいた。 陸には2人の幼馴染が居てよく俺は健斗兄貴とか言われて親しまれていた? 多分……
最後に行ったのは中学の終わりのちょっと前だ。 母さんと響紀はその後もよく行っていたけど俺は最近は行ってなかったな。
会いたくないとかそういうわけではないけど歳を取るにつれてそういうのって行かなくなった。 こうして疎遠になっていくのかな? ていうかえりなを見せるのか……
別に見せたっていいけどえりなを見たいって言ったのは絶対に陸ではないような気がする。 陸の方の幼馴染だな。
陸の幼馴染の海と空、3人合わせて陸海空の自衛隊みたいな名前のトリオのうちの2人。
いきなり他人に会いたいとか言われてもえりなも困るだろうと思ってえりなを見ていると……
「ふぅん、いいんじゃないかしら?」
「え? いいの? えりな見せ物になるぞ?」
「何よその言い方? いいじゃない! そ、その…… 健斗の事はなんでも知っておきたいって思ったのよ」
「やったぁ! じゃあ週末にね! てか熱々だねぇ、お2人さん」
響紀にからかわれたがえりなは何故か満更でもなさそうだ。
「け、健斗……」
「ん?」
「あ、熱々だって。 私と健斗……」
「お、おう……」
週末が近付いた頃……
「え〜!? 健ちゃん週末お出掛け? せっかく遊ぼうと思ったのに」
「ごめんな、うちの親の友達の家に行かなくちゃ行けなくなって。 なんかえりなを見たいんだとさ」
「だったら私を見せればいいのに! 私の方がえりなちゃんなんかより可愛いのにさ」
「相変わらず花蓮ちゃんはいちいち私をディスらないと気が済まないようね?」
えりなと花蓮は相変わらずこんな感じだがもう仲良しだ、多分な。
「仕方ないわねぇ、じゃあ私は真央ちゃんと遊んでるからいいもん!」
「仕方なくなくても最初から新村君と一緒でしょ? まったく」
「へへーん。 よくご存知で! じゃあ気を付けてね2人とも」
そして週末になりえりなと響紀と俺と母さんで神城宅に訪問する。 うわぁ、なんか超久しぶりに感じるな、この家も。
陸の家の両隣…… 海と空の家だ。 まだあいつら3人仲良いのかな? そういえば響紀と同い年だからあいつらももう高校生か、どっちかと付き合っているんだろうか?
海と空とどっちか…… それを思うとえりな、沙耶、花蓮の奪い合いを思い出し少し寒気がした。 ていうかそもそもあいつら居るのかな? 母さんがインターホンを押すと陸の母さんが出てきた。
「いらっしゃい奏、それに健斗君久し振りね、来てくれて嬉しいわ。 陸と海ちゃんと空ちゃんは随分会いたがってたのよ? そちらさんが健斗君の? 響紀ちゃんが言ってた通りとても美人じゃない」
「あ、美咲えりなです!」
「若い頃の絵里みたいに美人でしょ? じゃあお邪魔するね。 えりなちゃん、そんな硬くならないでいいからね?」
「そうよ。 健斗君、今3人とも陸の部屋に居るから行ってあげて? 響紀ちゃんもね」
そう言われてお邪魔しますと言って陸の部屋に行く。 なんか昔に戻ったみたいだなぁ、えりなが居る以外は。
ガチャッとドアを開けると一斉に視線が俺とえりなに集まった。
「健斗兄さん?」
「え? 健斗君? そっちは……」
「健斗兄貴? てことは」
「久し振りだな、陸、海、空。 こっちは俺の彼女のえりなだ」
「美咲えりなよ。よろしくね」
大きくなったなぁ、ていうか相変わらず3人とも仲良さそうだ。 しかも海と空って随分可愛くなったなぁ。 陸は相変わらずだけど前より大分大人っぽい。 海と空がそろそろとえりなに近付いて来た。
「す、凄い! 本当に美人! あ! あたし星野 空です」
「本当、健斗兄貴凄い…… どうやってこんな綺麗な人と? 私夕凪 海です」
「あ、俺は神城 陸です、健斗兄さん久し振り。 てか健斗兄さんの彼女って凄い綺麗だ」
「あはは、ありがとね。 海ちゃんと空ちゃんもとても可愛いじゃない。 陸君もモテるのねぇ」
「健斗兄貴はモテてたんですか?」
海がそう言ってきた。 やめろよ…… 変な事いうなよ、えりな。
「ええ、物凄くね。だから大変だったわ、私死ぬかと思うくらい」
「ええ!? 健斗君そんなにモテモテだったんですか? 死ぬかと思うくらいなんだ…… あ、あたし達もそうなるのかな? 海ちゃん」
「いや、例えでしょう…… 空ったら」
「あ、だよね! えりなさん、健斗君との事聞かせて下さい!」
「あー、おいおい…… 」
「健斗兄貴ずっと来なかったんだから仕方ないよ。 ほら、来てよ!」
海と空に俺とえりなは手を引かれ陸はやれやれと言った感じだ。こいつなんかちょっと前のえりな達3人から挟まれてたような俺と同じ表情をしているな。まさか…… な。
そして海と空にあれこれえりなは聞かれてた。 えりなは海と空にとてもウケが良かった。
そして時間が過ぎ久し振りに会ったこいつらともそろそろお別れだ。
「えー、もう帰っちゃうの? 泊まっていけばいいのに。 りっくんはこの前あたしの家でお泊りしたもんねぇ」
「余計な事言うな!」
「陸照れてる。 ふふッ、健斗兄貴とえりなさんまた来てね?」
「ああ、また来るよ」
そう言って神城家を後にして家に帰ってきた。 えりなもなんか知らないけど嬉しそうにしてるし良かったかな、連れて行って。
「嬉しそうだな? えりな」
「え? ああ、だって私の知らない健斗の昔の話聞けたから。 それにしても健斗の周りって可愛い子達ばかりじゃない? だから健斗は目が肥えて私がいろいろ誘惑してもなんともなかったのかしら?」
嬉しそうにしてたくせに一瞬でツンとした態度になった。
「いや、それはお前の行動に問題あったせいだろ?」
「問題あったって何よ? 問題あったとしても私の美貌なら大抵は落ちるはずよ! …… でもね、そんな私の表面だけじゃなくて中身まで好きになって好きになってくれた健斗だから。 健斗で本当に良かった」
えりなは俺をベッドに押し倒してギュッと抱きしめてキスをした。