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143話 過去の刺客


花蓮は辺りを見渡した。 俺は立ち上がろうとしたけど上手く体を起こせない。

そして花蓮が近付いて来た。 やっぱりここで死ぬのか!? そう思った時……





「健ちゃん! 大丈夫!?」



俺に駆け寄って来た花蓮の顔は酷く困惑していた。 まるで何が何だかわからない。 そういった様子だ。 え? 花蓮がやったんじゃないのか?



「……うぅ」

「え? なんだ?」

「あれ?」




えりなや沙耶、上野も意識を取り戻した。 良かった、他の3人もまだ無事だ。



「え? 花蓮ちゃん? まさか!」



えりなは花蓮をキッと睨んだ。だけど花蓮もわけがわからないようだし俺はえりなに首を振った。



「え? それなら誰が?」

「どうなってるんだよこれ? 健斗、沙耶、美咲まで。 花蓮は動けるのか?」

「健斗君達…… なんで私縛られてるの?」

「花蓮、これって一体どういう事なんだ?!」

「私もわかんない…… 変な電話で真央ちゃんを預かったって、ここに呼び出されて…… 待ってて! 今手のロープ解くから」



「おっと…… それはダメだよ」



花蓮の背後から人影が現れ花蓮は慌てた振り向き俺達もその人影に注目する。



誰だこいつ? 全く聞いた事ない男の声だ。それにパーカーを深く被りマスクとサングラスをしていた。



そして俺達を前にするとその男はサングラスとマスクを外した。 中年くらいの少し痩せ型のようだけど一目でわかる。 こいつ絶対ヤバそうだと……目が逝っちゃってるしな。



だけどわからない。 なんでこいつが俺達を?



「あんたが私を呼びつけたのね? なのになんで健ちゃん達まで連れて来たの?」



花蓮を呼び出した? 何の為に? 花蓮の知り合い? そんな感じでもなさそうだ。 花蓮も全く身に覚えがなさそうだから……



「本当はこの場所に朝日奈柚も連れて来たかったけどあいつには知らないうちに大切な人が死んでいたって演出をするのが1番堪えそうだからね」



朝日奈柚? 誰だそいつ?



「そっかぁ。真央ちゃんから聞いてたけどあんたは真央ちゃんのお母さんの両親殺した奴の仲間だったのね」



花蓮はそう言った。 新村の母さん? その両親が殺されていただって?



「あいつには苦渋を舐めさせられているからね。 過去の話だが俺は裏の社会でなんでも屋を営んでいてな。 だがある日、俺のパートナーがドジッて死んでヤクザまでが動きやがって…… そして俺は姿をくらますのにいろんなツテに金をばら撒いてこのザマだ。 そしてそれは朝日奈柚のせいだ」




花蓮じゃなかった…… だけど花蓮と繋がりがある人物に発端が変わっていた。 今更こんなのが出て来たのも。それにこの御誂え向きな面子、しかもこの場所で。やっぱりここは重要な場面なんだ、俺とえりな。いや、みんなにとっても。



「俺はここまでされた朝日奈に復讐しようと今までずっと考えてきた。 そして朝日奈は結婚してガキまで産んでそのガキが成長して女を作ってヘラヘラしてやがった。 朝日奈のガキの身辺も調べてお前らを掻っ攫ってやったのさ。 苦労したがな、精神的に追い詰めてやる為のついでに殺されるんだお前らは」



俺達に狂気じみた顔で俺達を嘲笑い背中に手を回すと鉈を取り出しこちらに向けた。



「ふざけんなよ! てめぇの言ってる事わけわかんねぇんだよ!」

「上野君ッ!」



上野が男に向かって突進する、バカ!相手は鉈を持ってるんだぞ!?



「おっと、危ないなぁ」



男はサッと避け鉈の持ち手の部分で上野の首の辺りを殴った。 そして上野は力なく倒れる。



「上野君! 上野君ッ! いやぁーーッ」

「君もうるさいね」

「あうッ………… う、上野君……」



男は沙耶にも同じく殴りつけ気絶させた。



「沙耶! 上野!」

「健斗、落ち着いて…… 騒ぐとああなる。それに2人ともまだ生きてる、それに花蓮ちゃんは動ける」



そうだ、花蓮はかなり強いんだ、あいつは鉈を持ってるけど花蓮ならどうにかしてくれそう…… なんだけど花蓮はさっきから動けないでいる。 もしかして俺達が縛られて動けないから邪魔になっているのか?



もしあの刃物が気絶して無防備な上野や沙耶、そして俺達に向けられたら花蓮は…… あれ? 俺は守ってくれそうだけど他の奴らも助けてくれるよな?



「まだ殺さないよ? それにね、花蓮ちゃんは俺がじっくりと痛ぶってその様子を朝日奈のガキと朝日奈に見せつけてやりたいと思ってるんだ」

「うわぁ、趣味悪ッ……」




あの男と花蓮が話しているうちに俺は目立たないようにえりなにくっつき静かに話す。



「えりな、俺達花蓮の邪魔になっていないか?」

「私もそんな気がする、どうにかしないと…… 」

「そこの2人、聞こえてるよ?花蓮ちゃんが2人を目立たなくしようとしてるのもバレバレだ」

「…… う」

「花蓮ちゃんは優しいねぇ? 俺の鉈がいつ気絶してる2人に向かうかそれともそっちで雑談してる2人に向くか気が気じゃないんだね?」



花蓮と男は一定の距離を保っている。 いや、花蓮というよりあの男が。 多分狙われたら花蓮にも助けられない距離だ。



「花蓮ちゃんが私達を心配? 健斗ならまだしも……」



花蓮も何か変化があったって事だ、それも良い方向に変化していたのに…… 男はこちらに鉈を向けた。




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