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138話 また友達に


「健斗、あーん」

「あ…… あーん」



えりなが俺に卵焼きを食べさせる。えりなと昼休み弁当を食べているがこんな風に食べているのでとても時間が掛かる。



「私にもして! 早く!」



えりなが口を開けて待っている。 こんなえりなちょっと前なら考えられないな。



「うん、おいひぃ……」

「飲み込んでから喋れよ」

「料理の勘を取り戻した私のお弁当美味しいでしょ? これから毎回ずっと作ってくるから。 健斗の為に!」

「えりな随分変わったな」

「当たり前よ! 思い出したらもっと健斗の事好きになったもの。 それと同じくらい寂しさも込み上げてきたんだから! 私健斗に素直になりたかった、こんな風に甘えたかった、死ぬ前に気が付いて私なんてもったいない事してたんだろうって思ってたし。 健斗はこんな私嫌?」

「ううん、全然。 俺もむしろ好きだよ、そんなえりなだってさ」



時間が戻ってからは長いように感じだけど野外演習からそんなに経っていない。 最初の時と同じように進んでいた時より大分状況が変わったからだろうか?



夏休みにもまだだし修学旅行だってな。前の精神状態では楽しむ余裕すらあまりなかったけど今は違う。 やり直しをさせてくれて本当に感謝だ。



「何考えてるの? ボーッとしちゃって」

「いや、俺達前より早く付き合えたなって思ってさ」

「そうね。前は健斗ったらはぐらかしてばかりだったもの」

「ははは、耳が痛いな…… だけどその分だって今なら取り戻せるし新しい思い出だって作れるだろ?」

「うん、そうだね。 だから健斗が誤魔化したの全部帳消しにしてあげるわ」



えりなは俺に寄り添い昼休みの余った時間ずっと離れなかった。 今のうちに花蓮のお見舞いの事も言っておこう、早い方がいい。



「なぁえりな、花蓮のお見舞い行かないか? 前もお見舞いしただろ? 」



そう言った途端えりなの表情は予想通り少し曇った。 まぁそうなるよな……



「前から思ってたんだけど健斗って花蓮ちゃんを特別に思ってるよね?」

「え? そうか?」

「そうよ。 あんな事があったのにね。 あ、別に悪い意味で言ってるわけじゃないのよ? ただ健斗にそこまで思わせるなんてやっぱり花蓮ちゃんはズルいわね。 妬けちゃうわ」



そう言っててえりなはムスッとした。 特別か…… どうなんだろうな? でも花蓮の好きって気持ちは凄まじいものがあって。 でもそれが嫌だって思わなかったのは本気で俺の事を考えていたからだ、度を越していたのも事実だけどな。




「いいわ」

「うん?」

「だって健斗は私を命懸けで守ってくれたんだもの。そんな健斗が今更花蓮ちゃんに取られるなんて思ってないわよ私は」

「ああ、それを言うならえりなこそ俺を守ってくれたろ」

「ええ。 だって健斗だもの。 じゃあ花蓮ちゃんのお見舞い行くのは数日経ってからね! あの花蓮ちゃんなら腫れた顔健斗にあまり見せたくないと思うし。 私手加減しないで花蓮ちゃん殴っちゃったしね、1週間くらい来ないはずよ」

「ああ」



そしてあっという間に放課後になり沙耶が残っていた。みんな部活やら帰宅する奴がいる中席に座ったままだ。



「どうした沙耶、帰らないのか?」

「上野君待ってるの、今日ゴミ当番だから。 手伝うって言ったんだけど待ってていいよって言われたから」



上野の奴沙耶にちゃんと優しくしてあげてるんだな。 良かった。 そう思ってると教室にえりなが入ってきた。



「あら地味子久し振りね、元気? なんか前より可愛くなったんじゃないの?」

「久し振り? ええ?」

「ああ、ごめん。 間違ったわ」



えりなが沙耶に仲良さそうに話し掛けた、どうやら時差ボケはまだ完全に治ってないらしく友達と言った前の沙耶と思っていたようだ。 でも今の沙耶とも仲良くしてもらいたいなと思った。



「ねえ地味子、私ともう1度…… じゃなくて、私と友達になりましょう?」

「美咲さんと?」

「そう、私地味子と仲良くなりたい、本当にね。 地味子が困っているなら私は助けるし私が困ったら地味子も私を助けて欲しい、そんな風に仲良くなりたい」

「美咲さん…… なんかそんな事美咲さんに言われるなんて意外」



沙耶は驚いていた。 そりゃいきなりそんな事言われたら驚くだろうな、しかもえりなに。



「嫌?」

「ううん! ビックリしたけど嬉しい…… うん、私も美咲さんと友達になりたい!」

「ありがとう地味子、いえ、沙耶。 私もえりなでいいわ」

「うん! よろしく、えりなさん」



えりなと沙耶はそう言ってお互い握手をした。 良かった…… 沙耶だって命懸けで俺とえりなを守ろうとしてくれたんだもんな。



「じゃあ沙耶、俺達は行くけど沙耶も上野と気を付けて帰れよ?」

「うん!」

「え!? 沙耶と上野君が? 私があれだけ猛アタックしてた上野君と?」



今度はえりなが驚いていた。



「どうやって上野君を落としたの!? 私でもダメだったのに沙耶と…… なんか自信なくなってくるわ」

「沙耶に失礼だろ、じゃあな沙耶」

「あはは、うん。バイバイ、健斗君、えりなさん」



えりなと沙耶もこれからもっと仲良くなれるだろう。 俺は隣で今だに信じられないという感じで驚いているえりなの頭を優しく撫でた。





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