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133話 再び衝突


花蓮と会った次の日に俺はえりなと仲直りというか気不味かったえりなとの関係がようやく今まで通りに戻れた気がした。



花蓮とはあまり関わり合いにならない方がいいと言っておいて追い詰められると花蓮のもとへ向かった俺はつくづく意志が弱い。



花蓮はそんな俺を元気付けようとしてくれたけど俺は前の事を思い出して花蓮に酷い態度を取ってしまった。 花蓮はショックな顔をしていた。



俺はそんな花蓮を見て花蓮さえも傷付けた。 だけどこれでいいかもしれない。 俺はえりなを好きだってわかってもらいたいから。 俺の勝手で頼って花蓮には悪いと思ってるけどこればっかりは……



「足立君帰りましょ」

「ああ、今日もなんか食べさせてくれんの?」

「当たり前よ、付き合いなさい」



えりなといつものように帰ろうとすると俺の後ろから人影が現れえりなの胸ぐらを掴んだ。



「え? なんで?!」

「えりなちゃん、ちょっと顔貸してね」



それは花蓮だった。 花蓮はえりなをそのまま強引に引っ張り連れて行く。



「おい、花蓮何すんだよ?」

「ごめんね健ちゃん、でもお願い。黙って見てて?」

「黙って見ててってどこ行くんだよ?」

「いいの足立君、大丈夫だから」



えりながそう言った途端花蓮はえりなを掴んでいた手を離しそのまま先を行く。 俺とえりなも後へ続く。 この花蓮の雰囲気只事じゃなさそうだ。



そしてしばらく歩くと河川敷の橋の下に着いた。 こんな所に来てどうするつもりなんだ?



「ついてきてくれてありがとね健ちゃん、えりなちゃん」




花蓮は徐にメリケンサックを取り出した。 何する気だ!? そう思った瞬間花蓮はメリケンサックを川へ捨てた。



「こんなのいらない。 一瞬で終わったらつまらないもんねぇ、フフッ。  えりなちゃんもう察しがついてるよね? 私今からあんたをぶっ潰すわ」

「はぁ!? 花蓮、本気で言ってるのか?」

「えりなちゃんを好きだってのはわかってる、だけど私も健ちゃんが好きなの。 これが私のやり方。 最終的には力ずくで奪い取る、健ちゃんがそんな事を望んでなくても…… 私も自分の気持ちを抑えるのは辛いもん。 だからごめんね、健ちゃんは何もしないで? お願い」

「花蓮ちゃんの言う通りにして足立君。 私花蓮ちゃんなんかから逃げるつもりないから」



だからって…… えりなが花蓮に勝った所なんて見た事ないぞ? いつも一方的にやられてばかりで。



「私なんかから? よく言えるよね、無様に泣いて許して下さいって言ってた事忘れたのかな? ならえりなちゃん覚悟はいいかな?」

「ふん、そんな事もあったけどいつまでも引きずってられないわ。 花蓮ちゃんこそ足立君にフラれる覚悟は出来てるの?」



えりながそう言った瞬間花蓮はえりなを蹴飛ばした、 えりなは反応出来なくて早速倒されてしまった。



「あー、威勢はいいけどやっぱこのザマ。 それにこんなに長い髪じゃ喧嘩の時にすぐに掴まれちゃうじゃん」



花蓮はそう言ってえりなの髪を引っ張り

あげる。



「喧嘩する事しか考えてないの? 花蓮ちゃんみたいに野蛮じゃないもの私は」

「へぇ?」

「花蓮!」

「「ダメッ!」」



俺が駆け寄ろうとするとえりなと花蓮からそう叫ばれる。 なんでだよ……



髪の毛を掴んだまま花蓮はえりなの腹にパンチを入れる。 えりなはくの字になって膝から崩れ落ちる。



「うぅ……ッ……」

「いやん、汚なッ…… 私にゲロ掛かっちゃうじゃない」



えりなは当たりどころが悪かったのか花蓮の腹パンで嘔吐してしまった。



「汚い顔、えりなちゃん。 ゲロまみれの顔なんていくら健ちゃんでもドン引いちゃうよ? あ、そうだ! 洗ったげる」




またえりなの髪の毛を掴んで花蓮はえりなの頭を川に沈めた。 苦しくてえりなはもがくが花蓮はビクともしない。もう黙ってられない。



「花蓮もういいだろ!? やめろ! えりなを殺す気か!?」




俺は花蓮をえりなから引き離す。えりなは水から顔を出し苦しそうに咳をしている。その瞬間バチっと脇腹が痺れ倒れてしまう。



「だから見ててって言ったのに…… ごめん、ごめんね健ちゃん。 健ちゃんにだけはこんな事したくなかったけど大人しくしててもらいたいの」



花蓮はスタンガンを隠し持っていた。 そうだった、前もこんなんだった…… 花蓮は俺の腕を素早く縛った。 縛るものも用意してるなんて花蓮は最初からこうするつもりだったのか? くそ! これじゃあまた繰り返しじゃないか……



「ゲホッゴホッ、足立君……」

「あーあ、洗ったのに酷い顔。 えりなちゃんが情けないせいでこうなるんだよ? いい加減健ちゃんの事は諦めなよ? そうすればこんな苦しい思いしなくて済むんだよ? 大体なんでえりなちゃん如きが健ちゃんなのよ、健ちゃんは私のよ!!」



花蓮が冷たい表情で苦悶を浮かばせているえりなに迫る。



「…… 冗談言わないでよ、そっちこそ諦めなさいよ、見苦しいわ。 あんたこそ酷い顔よ、鏡で見てみたら? あうッ!」



言った瞬間花蓮がえりなの顔を再度川に沈める。



「往生際悪いね、本当殺したくなっちゃう」



花蓮は大きめの石を掴む。 顔を上げたえりなはそれを見て身構えた。



嘘だろ? あんなんでえりなを殴ったら本当に死ぬぞ!?



そして無情にも花蓮は石の持つ手をえりなに向かって振り下ろした。


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