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132話 えりなside


足立君と野外演習のドタバタですっかり気不味くなっちゃって少し経つ。 こんなはずじゃなかったのに……



私あの時大事な話をするつもりだった。 足立君に好きってちゃんと伝えようって。 花火の時言えばちょっとロマンチックかしら? なんてその時は思ってたけど……



私は少し胸騒ぎもして足立君の後を追ったら案の定見なければ良かったと思う場面に遭遇しちゃって。



最終日なんか足立君も私に話し掛け辛いのかギクシャクしていた。 私あの場に行かなければ良かったのかな? ううん、村上さんにあれ以上されたら嫌。



村上さん…… カラオケの時も私に対して容赦しないって言ってた通り本格的に足立君を奪いに来た。 ううん、違うか。足立君は別に誰とも付き合ってないのだから。



学校が終わり足立君が通り掛かるまで私は隠れて待っていた。 足立君が来たので隅から出て来て足立君の正面に立つ。 笑顔で足立君に話し掛けなきゃ……



「そんな怖い顔して怒ってるのか?」

「え?」



私足立君の前でそんな顔してる? 笑顔…… 笑顔! と思うと眉間に力が入っていく。 怒ってるように見えたのはこれね?



深呼吸して力を抜いて再度足立君を見た。



「ごめん、怒ってないの。 笑顔を作ろうとしたらそんな顔になっちゃった」

「逆に凄いなそれ」

「うるさいわね! 帰りましょ」



足立君と無言で帰り道を歩く。 気の利いた事を言おうとするけど言おうとする程何も思い浮かばない。



こんな時なんて切り出せばいい? クラスで振る舞ってるくらい上手い事やりなさいよ私!



「足立君!」

「ビックリした、何だ?」

「私ね、野外演習終わってから料理猛勉強してるの、足立君言ってたでしょ? 私料理上手くなるって。 だから今から私の家に来て毒味して?」

「毒味かよ? …… うん、わかった」



よし、上手く誘えた! えっと次は次……

ってなんでこんなに考えなきゃいけないのよ? 前は何も考えないで話してたじゃない! 考えてなくはないけど。



「ていうか……」

「え! 何?」

「料理の勉強してたんだな?」

「あ、当たり前じゃない。 いつまでも料理下手疑惑持たれてたら堪らないわ」



そして家に着き私は野外演習の時の雪辱を晴らす為に同じくオムライスを作っていた。



ん? なんか足立君の視線を感じる。 そう思って気付かれないように足立君に目をやるとやっぱり見られてた。



うぅ…… そんなに見られると緊張するじゃない! また失敗させたいの? 足立君に見られている背中がなんだか熱くなるようだった。 なんとか料理が出来て足立君に食べてもらう。



「どうかな?」

「うん、今度は美味い! あ…… 今度はじゃなくて前のも個性的な味だったっていうかえりならしいっていうか」

「フフ…… あははッ! いいわよ、別に。 確かにあの時のは美味しくなかったから」



あ…… なんかちゃんと笑えるじゃん。



「足立君、ごめんね。 私最近足立君に気不味い思いさせてたよね? 避けてたとかそんなんじゃないんだけど」

「それは俺の方だよ。 俺こそごめん、元々は俺が気不味くさせたっていうか」

「そうよ!」

「へ?」



よくよく考えたらどうして私が謝らなきゃいけないのかしら? 浮気したのは足立君の方なのに…… あ、付き合ってないから浮気じゃないか。 なんて考える時点で私足立君の事好きだ。



足立君は異様にモテて浮かれて私の気持ちを傷付けたりするのに。 私の見えない所で何してるかも誰と会ってるかもわからないし、これからも足立君に傷付けられたり私だって足立君を傷付けるかもしれない。



そんな足立君でも足立君と知り合って長いわけじゃないけどなんだか足立君ともっと前から知り合っていたような錯覚に陥る時もある、足立君の側に居たい……



「罰としてしばらく私の料理の味見に付き合いなさい!」

「え? ああ」



足立君も笑ってくれた。 良かった、何も進んでないけど前みたいに戻れる。




次の日私は学校で村上さんを呼び出した。



「美咲さん何か用? 言っておくけど前の事……」

「いいわ」

「え?」

「村上さんの言う通りだわ。 村上さんは間違ってない、だけどだったら私もよ! 村上さんと足立君は付き合わせない。 だって私も足立君が好きだから」

「へぇ? そっか。 でも残念ね」

「何がよ?」

「野外演習の時にわかっちゃったんだ、足立君はあたしじゃなくてやっぱり美咲さんの事好きなんだって…… 結構際どい事までしたつもりだったのに美咲さんの方へ行っちゃったのよ? ああ、これ無理だなってその時思ったの だから安心して。 悔しいけどね」



そっか、あの時足立君は私の事放っておけなくて仕方なく私の所へ来たんだとネガティブな方向に考えてたけど……



よし、今度こそ伝えよう。 足立君の事好きだって。




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