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131話 えりなへの敵意


「恋ちゃん今日は怖がらせてごめんね?」

「え? あ、ううん。 大丈夫だよ」

「でも変な考えだけは起こさないようにね?」

「余計怖がせてどうすんだよ」



真央ちゃんにポンと頭を叩かれた。 まぁいっか、これだけすれば変な事しないでしょ。



「私そろそろ帰るね?」

「あ、もう帰るんだ?」

「え? 何々? もっと居て欲しかったとか? それだったら考えちゃうなぁ」

「アホ抜かせよ」



真央ちゃんにピシャッと切られ私は家路につく。 まさか私も真央ちゃんの家に泊まりになるなんて思わなかったな。 まぁ嬉しい誤算って事で。



て私健ちゃんと真央ちゃんを天秤に掛けてフラフラしてるだけか。 健ちゃんはえりなちゃんが気になっていて真央ちゃんは私の事をどう思っているかよくわかんない。



旗色悪いな…… 今日は日曜日。 学校もないし健ちゃんにも会えない、つまんないなぁ。 真央ちゃんに会ってたら無性に健ちゃんに会いたくなってきた。 比べてるのかな私。



そうだ! 健ちゃんを呼んじゃおうかな? でも健ちゃん来てくれるかな? 来てくれなかったら私どうにかなっちゃいそう。



なんでだろう? 上野君と別れた途端枷が外れたのか、健ちゃんにも真央ちゃんにも構ってもらいたい。



私ってわがままだ。 だけど表面は健ちゃんと真央ちゃんに良い子ぶっていて…… あ、真央ちゃんはそう思ってないか。



とりあえず健ちゃんに会いたい。 私は健ちゃんにメールした。



「健ちゃん今会いたい」



これだけを打ち込みメールした。 返事来るかな? それとも見ない? 見ても見ぬふり? だったら嫌だなぁなんて考えは杞憂ですぐに健ちゃんから返事が返ってきた。



「わかった。 今から花蓮の家に行くよ」



ええ!? 本当に? なんだろう、凄く嬉しい! 健ちゃん私のお願い聞いてくれた。 あ、だとしたら健ちゃんだけに私の家に向かわせちゃうのはなんか申し訳ないな。



そうだ、駅で待ってよう。 1回来ただけだから覚えてないかもしれないしね。



私はルンルン気分で駅に向かい健ちゃんを待つ事1時間ちょいそれだけ待っても健ちゃんが来たら何を話そうとか家に来てくれたらどうおもてなししようとか考えているとすぐだった。 電車が来て健ちゃんが降りてきた。



「え? 花蓮ここで待ってたのか? いつから?」

「今来たとこだよ! タイミングいいね」



ずっと待ってたなんて言ったら健ちゃんが気を遣いそうで悪いしね! 今来たとこって言えば息が合うねアピールにもなるし。



「今日来てくれて嬉しいよ、いきなりで迷惑だった? 健ちゃんに急に凄く会いたくなって……」

「いや、迷惑なわけないだろ?」

「ありがとう。 嬉しい! 私の家に行こう?」

「あ、うん」



健ちゃんと並んで家に行くなんてやっぱ良いなぁ。 ウキウキする! さっきまで真央ちゃんと一緒に居て今度は健ちゃん…… なんか私だったらこういう事絶対許せないなって思うのに私がそんな事してるなんてね。



健ちゃんと真央ちゃんに凄く申し訳ない気分になっちゃう。 だけど私自身私の気持ちがわからない。 どうして2人を?



でもやっぱり健ちゃんの方が気分の高鳴りが違う。 今思えばえりなちゃんなんかの嫌がらせの為に上野君なんかと付き合わないで最初から健ちゃんに猛アピールしておけばよかったなぁ。



下手に健ちゃんとえりなちゃんに接点持たせたの失敗だったかな? ミイラ取りがミイラになる。 そんな事している間に健ちゃんはえりなちゃんを気になりだして……



今からでも巻き返してやる! えりなちゃんなんかに負けないんだから。



家に着き健ちゃんにコーヒーを淹れてあげて差し出す。



「ありがとう」

「健ちゃん何か悩んでる? そんな顔してるよ」

「…… 流石だな花蓮は。 ああ、最近何しても上手くいかないような気がしてさ。 自信なくなってきたっていうかなんていうか」



落ち込んでるんだね健ちゃん。 その原因は何? えりなちゃん?



私は健ちゃんを元気付けようと健ちゃんの腕に抱きついた。 えりなちゃんを気になってる健ちゃんにはあまりこんな事しても効果なさそうだけど私がしたいからした。



「花蓮?」

「えりなちゃんの事?」

「…… ああ。 あんまり花蓮の前では言い難いけど」

「私は…… 健ちゃんの事好きよ? えりなちゃんよりも好きって思ってる」

「ごめん、でも俺やっぱりえりなの事が好きなんだよ。 俺ってバカだよな、花蓮に酷い事してるよな。 えりなの事好きって言ってるくせに上手くいかなくなったら花蓮に縋ってみたりして」



健ちゃん…… そんな事ないよ。 私だって似たような事してる。 健ちゃんと真央ちゃんに。



そして健ちゃんはそれでもえりなちゃんが好き。 そして私はそれでも健ちゃんが好き。



「健ちゃん……」

「え!?」




私は健ちゃんにキスをしていた。 私が淹れたコーヒーを飲んでいた健ちゃんとのキスは苦い味がした。



健ちゃんは目をパチクリさせて私からパッと一旦離れる。 健ちゃんは少し…… ううん、不安そうな、怖いものを見るような顔で私をみた。 お願い、そんな風に私を見ないで……



「私健ちゃんが好き!」

「俺は……」

「言わなくていいよ、わかってる。 返事もいらない。 だけど私は自分の気持ちを抑えるのはもうしたくない! だから健ちゃんが好き!」




初めてえりなちゃんを本当の意味で恋敵として私認めるわ。 えりなちゃん、私にそう思わせるって事はそれ相応の覚悟出来てるんだよね?





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