表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/152

129話 新村side4


あれから花蓮は風呂に入り少しすると父さんが帰ってきた。



「あれ? 誰かお客さん?」

「お帰り啓ちゃん! 今ね、例の真央の彼女が来てるのよ。 しかも麗央とお風呂の最中」

「おい、母さん! 聞こえてるぞ!」

「柚、楽しんでるだろ?」



父さんは呆れたように母さんに言った。 てか勝手に彼女とかにするなよ……



「真央、どんな子だい? もしかして母さんみたいな子じゃないだろうな?」



父さんが神妙な面持ちで聞いてきた。 そういえば父さんも母さんと付き合って物凄く苦労したって事聞いたな。 なんでもいつも母さんが問題起こして父さんが貧乏くじ引かされる羽目になったとかならなかったとか。



花蓮はどうだろう? 少し考えると同じような気がする…… なんか突っ込み過ぎると泥沼に嵌りそうな。



「ちょっと啓ちゃん、それどういう意味よ!? 私みたいにこの歳でこんなに綺麗で可愛い奥さんの私に何か問題ある?」

「自分で言うなよ! 真央には父さんみたいな苦労はなるべくさせたくないなって思っただけだ」

「おい、2人とも客も居るんだし熱くなるなよ。 恥ずかしいなぁ、まったく。 まだ花蓮の事はよくわかんないよ、そんな深い付き合いとかでもないし」

「あら、でもとっても仲良いじゃない。花蓮だなんて、フフッ」



あー、なんかやっぱちょっと母さんに似てるかも。 この面倒な所とか……



すると風呂場から麗央が裸のまま飛び出して来た。 父さんを見ると一目散にダッシュしてきた。



「お父さんお帰りー!」

「麗央、ちゃんと服着なさい」

「麗央君ちゃんと体拭かないと!…… って、あ……」



風呂場はキッチンの奥にあるので花蓮は濡れた髪のまま顔だけひょっこりと出して、また隠れそろ〜ッとまた顔を出した。そして俺の父さんと目が合って少し恥ずかしそうな顔になる。



「お、お邪魔してます、新月花蓮です」

「ああ、いつも真央と麗央がお世話になってるね、ありがとう。 ほら麗央、お姉ちゃんの所へ戻りなさい」

「はーい!」



そうしてしばらくして花蓮も髪を乾かしして風呂場から出て来た。



「さっきはすみません」

「ああ、いいよいいよお構いなく。 今日泊まっていくんだって? 麗央の面倒見てもらったり料理の片付けとかいろいろしてもらっちゃってすまないね」

「いいんです、麗央君可愛いですし!」



花蓮は父さんと俺の顔をチラチラと見て見比べているようだった。 そうなると思った。



「かれんお姉ちゃん一緒に寝よう!」

「すっかり麗央に懐かれてるじゃないか、真央よりも懐いてるんじゃないか?」

「ああ、なんかそんな気がする……」



麗央は花蓮と寝る事になって部屋に連れて行った。 こうして麗央と一緒にいる花蓮を見てるとやっぱ優しいのかなって思うほど花蓮は麗央に微笑んでいる。いや、俺にもそんな笑顔を振りまいている。



健ちゃんか俺か…… まぁ俺は所詮はポッと出だから思い入れの強い健ちゃんとやらに行くだろうな。 それまでの付き合いだ。



だからあいつが俺の事が気になろうと俺は特段あいつと親しくしない方がベターだな。 その方が切る時あいつも楽だろうし。



俺も風呂に入りとっとと寝ようと思ってベッドに入る。 隣の部屋には麗央と花蓮が寝ている。 まぁ麗央が可愛いって言っても世話するのはそれなりに大変だろうなと思い心の中でお疲れと言って俺は目を閉じた。



そしてどれくらい経ったのか知らないが俺はムニュッとした柔らかい感触で目が覚めた。 見ると俺のベッドに花蓮が入り込んでこちらを見ていた。



「フフッ、ビックリした?」

「花蓮? いつから居たんだよ!?」

「さぁ? いつからでしょう? ドッキリ大成功!」



ドッキリって…… よく男のベッドに入り込んできたな? 花蓮は静かに笑いを堪えていた。



「そんなに驚いちゃって。 可愛いねぇ真央ちゃんも。 私そろそろ戻るね! 麗央君起きたら大変だし」



じゃあ最初からここに来るなよ…… いろんな意味でビックリするから心臓に悪いわ。



去り際に花蓮は言った。



「真央ちゃんとっても可愛い寝顔だったよ。ずっと見つめていられるくらい。 それとね、明日は首筋隠した方がいいよ?」

「は? なんでだよ?」

「寝てる顔があまりに可愛いからキスマーク付けちゃった。 ごめんね」



なん……だと!?



花蓮は慌ててる俺をクスクスと笑いながら見て満足したのか部屋に戻った。 俺は電気を点けて首筋を確認した。 本当に付けやがった、しかも2つも…… 隠せってバレバレだろ。



明日はなるべく母さん達に姿を見せないようにしておこう……




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ