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128話 新村side3


「俺手ぶらだけど重かったら持とうか?」

「え?」



まぁそんなに重くはないのだろうけど一応聞いてみた。 父さんがよく母さんに言ってたしな。



「フフフッ」

「何笑ってんだよ?」

「やーだ、真央ちゃんったら! いきなり言うから私ちょっとドキッとしたじゃない。 私を惚れさせたいのかなぁ?」

「はぁ? そんなわけないだろ? 俺お前みたいにそんな駆け引きとかよくわかんねぇし」



新月はクスクスと笑って俺に持っていたバッグを差し出した。



「じゃあお言葉に甘えて! 真央ちゃんありがとね、でも嬉しいよ?」

「はいはい、どういたしまして」

「真央ちゃん、新月って呼ばないで」

「俺に呼んで欲しくないって事かよ……」

「あ、違う違う! 花蓮って呼んでよ。 そう呼ばれたいなって思ったの」



ふざけた様子もなく至って真剣に新月はそう言った。



「花蓮……」

「はい!」

「呼べって言われたから呼んだだけだけど?」

「あはは、わかってるって。 うん、やっぱり真央ちゃんにはそう呼ばれた方がいいや。これからは花蓮って呼んでね」

「まぁ別にお前がそれでいいならいいけどさ」



新月…… いや、花蓮って誰かに優しくしてもらいたいのかな? てかこの見た目なら大抵の男は優しくしてもらえるだろうし。



「そんなに見つめてどうしたの? もしかして私の考察?」

「そんな風に見えるか?」

「見える見える! 真央ちゃんと居ると楽しいね。私の事考えてくれるんだね、いやぁ、照れるなぁ」

「自分で言っといて何照れてるんだよ、白々しい奴だな」

「本当だよ?」



花蓮が顔を伏せてそう言った。



「ん?」

「私ね、真央ちゃんといると結構楽しいし自分でもビックリしてるんだよ。 健ちゃんと同じくらい居ると楽しいって思える自分に。 真央ちゃんは私と居て楽しい?」

「楽しいってかプライベートまで騒がしい奴が増えたなって感じだな」

「えー? それって褒めてるの?」



花蓮が文句ありありの顔で俺に迫ってくるがこいつは最初に俺を嵌めた事忘れてないか? 都合のいい脳みそだな。



「あ、騒がしいって言えば真央ちゃんモテるでしょ?」

「え? ああ、モテてるのか遊ばれてるのかわかんないけどな。 俺ってこんなんだろ? だからわかるよな?」

「ああ、そうだろうね。 じゃあ真央ちゃんって誰か好きな子とかいるの?」

「好きな子? え?」

「いるの? いないの? どっち?」



間髪入れずに花蓮がそう聞いてくる。 心なしか凄みを帯びて……



「いないと思うけど? 」

「そっか、真央ちゃんは他校だからよくわからないもんねぇ」

「そんな知っとく必要あるか?」

「真央ちゃんこそ白々しいねぇ。 今まで話してきて私何言いたいかわかってるでしょ?」

「勘弁してくれよ……」



お前は健ちゃんに集中しとけよ。 二兎を追う者は一兎をも得ずって言うだろ?



「俺はお前の保険としてキープされるつもりないぞ? 俺に失礼だろそれって」

「失礼とかそんなんじゃないよ。 真央ちゃんが私の前に現れたのがいけないんだよ? それに私中途半端とかにするつもりないし。 健ちゃんも真央ちゃんも」

「お前の目の前に現れた俺が悪いのかよ?なんつう無茶苦茶な……」

「諦めなって! そのかわり真央ちゃんが喜ぶ事いっぱいしてあげるから」



俺が喜ぶ事? とりあえずそうだな……



「じゃあ1人になりたいなぁ」

「却下!」



花蓮と喋りながらだとあっという間に家に着いた。 玄関を開けると花蓮が居ない間寂しかったのか麗央は花蓮に走って行って抱きついた。



「かれんお姉ちゃんおかえり!」

「ただいま麗央君。 寂しかった? ごめんね。 麗央君は甘えてきてくれて可愛いねぇ」



そんな麗央に花蓮はうっとりしている。本当に麗央に弱いな花蓮って。



「かれんお姉ちゃん一緒にお風呂入ろう!」

「うん、いいよ」

「お兄ちゃんもかれんお姉ちゃんと一緒に入ろう!」

「はぁ!?」



麗央は子供ながらの無邪気な爆弾発言をした。 俺達が同じく幼稚園児とか小学校低学年ならいいかもしれないけど高校生だぞ? 花蓮もさぞやビックリしただようと花蓮を見る。



「いいね! お兄ちゃんとお姉ちゃんと麗央君の3人で入ろうか!」

「やったぁ!」

「お、おい、バカな事言ってるなよ」

「だって個人的に真央ちゃんの裸には興味あるんだよね。 本当に男の子かな? 私は真央ちゃんなら女同士だと思って入れば恥ずかしくないもんねぇ」

「バカじゃないか、お前が良くてもうちの家族的に俺は恥ずかしいんだからな!」

「あはは、お兄ちゃん意気地なしだねぇ」



花蓮はそう言って麗央も意気地なしと俺を揶揄ってきた。 麗央まで味方につけやがって。



「ふふッ、冗談だよ。 私だっていきなりそんなの恥ずかしいもん。 じゃあ真央ちゃん、私麗央君とお風呂入ってきていい?」

「俺が賛成してたらどうしたんだよ? はぁ、さっさと入れ」



花蓮は麗央に手を引かれ風呂場に向かって行った。 まったく花蓮の奴……





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