125話 花蓮side2
真央ちゃんの家で夕飯を食べる事になり私は真央ちゃんの家族と今リビングで食事をしていた。
「へぇ、真央が花蓮ちゃんを助けてあげたんだぁ? 後藤さんに教えてもらったのが初めて役に立ったじゃない? 喧嘩して停学になるなんてバカしちゃったけどね」
「こいつこんな顔して相当強いからな、母さん騙されるなよ?」
「もう、真央ちゃん失礼! でもカッコ良かったよ?」
「うん! お兄ちゃんはカッコ良いんだよ!」
麗央君が私に続いてそう言った。 もう麗央君ったら可愛い。
「父さん今日は遅いの?」
「うん、啓ちゃんは今日残業なの。 花蓮ちゃんにも見せたかったわ。啓ちゃんも真央と麗央に劣らず凄く可愛いんだから」
「あの歳で可愛いって言われる父さんも可哀想だな……」
「あら、良い事じゃない? 可愛いのが1番よ! それに女の子だって一癖二癖ある方が味があっていいのよ」
お父さんも可愛いんだ? そうかぁ、真央ちゃんが可愛いのは遺伝か。こんな綺麗なお母さんと可愛いってお父さんなら真央ちゃんや麗央君が可愛いのは当たり前よね。
夕飯を食べ終え私も洗い物を真央ちゃんのお母さんと手伝う。
「手慣れてるわね? 花蓮ちゃん」
「はい、一人暮らししているのでこんなのは慣れてます」
「ますます気に入ったわ花蓮ちゃん、私も高校生の時一人暮らししてたの」
「そうなんですか? 一緒ですね」
真央ちゃんのお母さんといい感じにお話しながら洗い物を済ませる。 流石にそろそろ帰ろうかな? 麗央君も寝ちゃったし……
「じゃあ私これで失礼しますね!」
「あらそう? じゃあ真央送ってあげなさい、こんな時間にこんな可愛い子が1人で帰るなんて危ないから」
「え? いいよ、こいつに限ってそれはない」
「いいから行きなさい!」
真央ちゃんのお母さんの声で寝たと思った麗央君が起きちゃって玄関に立つ私を見て慌てて走ってきた。
「かれんお姉ちゃん帰っちゃやだ! やだ!」
「ごめんね、明日も学校あるから帰らなくちゃいけないの」
「麗央、お姉ちゃんも困ってるからわがまま言わないの」
すると麗央君は泣き出しそうになる。
「うう…… かれんお姉ちゃんまた遊びに来てくれる?」
「うん! また麗央君に会いに来るよ? だから泣かないで?」
「…… うん、わかった」
麗央君の頭を撫でて私は真央ちゃんの家を出た。 送って行けと言われた真央ちゃんは溜め息を吐いて私と一緒に駅まで歩く。
「はぁ〜、お前が免許証パクったお陰でどんだけ慌てたか…… それに俺に罪を押し付けやがって」
「あははッ、ごめんごめん。 でも返したんだからいいじゃない?」
「もっと早く返せよって言ってんだ」
「私も悪いって思ったからわざわざ来てあげたんじゃない? もっと素直にありがとうって言ったら?」
「お前は厄介ごと持って来そうな奴だから関わるとろくな事にならなそうだし」
「フフッ、でも麗央君は私の事大好きみたいだよ?」
「麗央の奴女を見る目がないな……」
「あら? かなり麗央君はお目が高いわよ? なぁんてね」
真央ちゃんってこんな可愛い私になかなか靡かないな。 自分がもっと可愛いからかなぁ? 私は真央ちゃんの正面に回って意識させるように顔を近付けてみた。
「なんだよ?」
「それだけ? 私がキス出来るくらいこんなに近付いてるのに?」
「だからなんだよ? 自意識過剰も程々にしろよな」
「ふぅん? つまんなーい!」
駅まで着くと真央ちゃんは私と一緒に乗る気なのか待っててくれている。 家まで送って行ってくれるのかな?
「ねえ真央ちゃん」
「ん?」
「連絡先交換しよ?」
「え? なんでだよ?」
私もよくわからないけど気分かな? そんな事を言っていた。
「私の学校そろそろ野外演習だからさ、帰って来るまで麗央君見れないの。 だから麗央君の写真私に送って?」
「はぁ? てか本当にまだ遊びに来る気かよ?」
「麗央君と約束しちゃったしね! それに何より麗央君とっても可愛い! 私のドツボ!」
「お前…… ショタ好きなのかよ」
そして真央ちゃんは仕方なさそうに私と連絡先を交換した。 すると電車が来た。 やっぱり真央ちゃんは私の家までついて来る気だ。
「真央ちゃんって無愛想だけど優しいんだね?」
「なんでそうなるんだよ? 言われたから仕方なく送って行ってるだけじゃねぇか?」
「素直じゃないけど可愛い所あるじゃん。 でも真央ちゃんだと私と女友達に見えちゃうかな? フフッ」
「あー、ウザい……」
そして真央ちゃんとお話しながら私の家のアパートの前まで来た。
「本当に一人暮らしなんだな」
「そう言ったじゃん? 送ってくれてありがとね!」
「はいはい、じゃあな」
帰って行く真央ちゃんの後ろ姿を見ていた。 あれ? なんで私少し喜んでるんだろう? 私は健ちゃんの事が好きなのよ? 今だってそう。 真央ちゃんより健ちゃん……