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122話 嘘の代償



夕方になり俺は一足先にコテージに戻り飲み物を飲もうと思って冷蔵庫を開けるとあの時はあたふたして結局食べる暇がなかったえりなの作ったサンドイッチが入っていた。



俺は試しにひとつ食べてみようと思いサンドイッチを取り出し食べてみる。



うん、やっぱりサンドイッチはまずまずいける。 と思って食べているとドアが開きえりなが入って来て俺がサンドイッチを食べている所を見てちょっと驚いていた。



「足立君、それ……」

「ああ、このサンドイッチえりなが作ったやつだろ? なかなかいけるよ」

「ほ、本当?」

「なんだよ、自信ないのか? えりなも食べてみる?」



えりなにサンドイッチを差し出してみる。 すると……



「ううん、足立君が美味しいって思ってるなら美味しいって事だよね?」

「え? うん、まぁ」



そう言うとえりなはニッコリと笑って笑顔を見せた。



「私も捨てたもんじゃないでしょ? 今度はちゃんとしたものでも足立君をギャフンと言わせてやるんだから!」



ああ、それ昔聞いたよ。



「何笑ってんのよ? 無理だと思ってるの? 足立君言ったわよね! 私凄く料理上手くなれるって!」

「ああ、ごめん、別な事だよ。 うん、えりなは料理上手くなれるよ」



そしてそんなやり取りをしていると上野や花蓮、沙耶も帰ってきた。



「あー、腹減った。 花蓮なんか美味しいもの作ってくれよ」

「私より日々野さんに作ってもらった方が上野君のお口に合うんじゃないの?」



花蓮がニヤニヤしてそう言った。 そこは怒りながら言う所だと思ったけどまぁ花蓮なので仕方がない。



「え!? わ、私が?」

「あー、日々野があんなに料理上手だなんてな、意外だったわ」

「それ沙耶に失礼だろ上野」

「あはは、そうだな!」



そうして3人はキッチンへ向かい花蓮と沙耶は料理を作り始めえりなは2人の様子をジッと見ていた。 多分料理の勉強をしているつもりだろう。



「えりなちゃんに見られてると作りにくいなぁ。 視線が気持ち悪くて」

「失礼ね! じゃあ地味子のを見てるわよ!」

「本当だ、美咲さんに見られてると作りにくい……」

「はぁ!? 地味子のくせに調子に乗らないで!」



2人に文句を言われながら半ば邪魔をしているようなえりなもなんとか加わろうと頑張っていた。



そして夕飯を食べ肝試しになった。 ああ、この後花火か…… 村上に誘われてるんだったなと考えているとえりなから話し掛けられた。 肝試しのお化け役になり前と同じゾンビメイクをしたえりなはゾンビらしかぬ照れたような顔で。



「足立君この後の花火一緒に見ない?」

「…………」



ギクリ…… えりなにそう言われて嬉しいんだけど先約がいるんだよなぁ。



「なんで黙るのよ!? 嫌なの?」

「じ、実は俺花火する側だから一緒には見られないんだ」

「ええ? そうなの?」



本当はそんな事はないがえりなはさっぱり企画に参加してなかったからそんな事はわからない。



「せっかく大事な話もあったのに……」

「ごめんな」

「いいわ、それなら後にするわ。 はぁ〜」



えりなは溜め息を吐いた。 今更村上の誘いを断るわけにもいかないので仕方がない。 もうちょっと早く知らせてくれればまだ断り用もあったけど。



そして肝試しも一通り終わり俺はえりなに嘘をついてしまったのでみんなの前から姿を晦ます。



凄く悪い事をしてるみたいだけど村上の約束を破っても同じく後味が悪くなるだけだ。 俺はみんなが泊まっているコテージをウロウロしていて時間になったので村上の所へ行くと……



「足立君だと思った! 待ってたよ」

「あれー? 美紀の彼氏?」

「野外演習でカップル成立? やるじゃん美紀!」



そんな声が後ろから聞こえてきた。 村上は照れながらえへへと後ろの連中に笑い掛け俺を連れ出した。



てかそんなつもりじゃないので俺は慌ててしまう。 そんな俺を見て村上は悪戯っぽくごめんねと微笑む。 花火がよく見えそうな高台に行き村上は俺の手を握った。 その瞬間待ってましたかのように花火が上がった。



「足立君、さっき言ったよね? あたし足立君の事好きって」

「村上、俺は……」

「わかってるよ? 美咲さんでしょ? でもあたしもただ何もしないで自分の気持ちを捨てたくない」



そう言った瞬間村上は俺にキスをしていた。 花火がそんな俺達を照らす。



「嘘…… 」



そんな声が聞こえて俺は横を見ると青ざめた顔のえりなが俺と村上を見つめていた。 そんな3人を尻目に花火は俺達を照らし続ける。






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