113話 変わらない事
村上から誘われた次の日俺はえりなに問い詰められていた。 先程村上に週末の事を言われたらしい。
「へぇ? 随分おモテになるわね足立君? 私を誘っておいて村上さんとも遊びに行くなんて」
えりなは不機嫌そうにそう言った。
「だって俺もいきなりだったからさ……」
「昨日言われたならなんで私には黙っておいたのかしら?」
「本当にそうなるとは思わなかったからだよ」
歯切れが悪く俺がそう言うとえりなは溜め息を吐いた。
「まったくなんなのよ? 野外演習も勝手に決められるわ……」
「野外演習?」
そういえば戻った俺には済んだ事として忘れていたがここではまだだった……
「それってもしかして……」
「花蓮ちゃんが言いに来たわ。 あの子勝手に決めたのよ。 上野君と花蓮ちゃんと私と足立君とあの地味な女の子。 ちょっと変わったわねあの子。 まぁ私の中では地味だから地味子ね、遅すぎる高校デビューで恥ずかしくないのかしら? てか花蓮ちゃんは何考えてんだか……」
ここでも沙耶はえりなに地味子と呼ばれるのか…… 野外演習といいここは前と同じなんだな。 でも前はえりなからこのメンバーの提案だったけど今度は花蓮からだ。
「しかも私その野外演習の企画頼まれたのよ? 嫌になっちゃうわ」
「同じだな……」
「え? 何がよ?」
「いや、こっちの事だ、それで? 村上の誘いは断ったのか?」
そう聞くとえりなはまた不機嫌そうな顔になる。
「誘いに乗ってあげたわよ、足立君浮かれててムカつくもの」
「浮かれてないって……」
「企画係の都合もあるし上野君と花蓮ちゃんも村上さんのお誘いに乗って強引に来るんでしょ? 」
「ああ、きっと来るな」
「じゃあその地味子も連れて来なさいよ。ちょうどいいって事で納得してあげるわ」
話し合うのにはちょうど良さそうだけど前は俺と沙耶に任せっきりだっただろうが。 今回もそうなりそうだ、とほほ。まぁ面倒だから前と同じの企画してとっとと決めよう……
「そうだな、そうするか」
「ところで足立君、村上さんの事好きなの? 」
えりなが唐突にそんな事を聞いてきた。 んなわけあるかよ? ろくに話した事もまだないのに。
「俺は別に村上に対してそれほどの感情はないけど?」
「でも村上さんは足立君の事どう見ても好きよねぇ? じゃなきゃ足立君なんて誘うわけないもの」
「お前酷いな……」
「足立君は今がピークのようだけど調子に乗らないでよ!」
えりななんか怒ってる? 俺が好きなのはえりななんだけどな。 こいつは今俺の事をどう思っているんだろう? 悪いようには思ってなさそうだけどえりなだけはなんか前と同じようなペースというか進展があるのかないのか……
えりなを連れ出して遊んだ時はいい感じだなって思ったんだけどな。
「私が村上さんに話を通しておくわね? はぁ、なんで足立君なんかを……」
ブツブツとあえりなは不満いっぱいそうだ。 俺も何故そこまで言われなきゃいけないのか。
教室に戻ると花蓮と上野にも話は決まりそうと言うと俄然2人は行く気満々だ。
「いやぁ、楽しそうだね! 大勢で遊ぶの。 ねぇ上野君?」
「ああ、ナイス健斗」
花蓮は上野にわからないように俺にウインクをした。 良からぬ事を考えるなよ花蓮? と俺も目線で返す。 そして沙耶にもこの事を伝えに行く。
「そうなんだ、私何したらいいのかな? あんまりそういうのって私よくわかんなくて……」
「まぁ俺もそういうのよくわかんないし一緒だな。 それと野外演習の事も聞いたか?」
「うん、健斗君と同じ班だね。 嬉しいな、それも兼ねて集まるって考えていいのかな?」
「話が早いな沙耶。 それも兼ねてるよ、ただ本当に考えそうな奴って俺と沙耶くらいしかいなそうだけど」
沙耶は笑ってそうだねと答えた。 はぁ、とりあえず言う事は言ったし後は成るように成るだろ。 でも前はこんな事なかったし概ね良い方に事が進んでると思いたい。
そしてその日の放課後から俺達は前のように残って企画を考える事になった。 だっていくらなんでも遊んでる時に決められそうにないしな。要はそんなの口実みたいなものだ。 まぁ企画なんてもう1回やった事がある俺にはやる事決まっているし。
そしてあっという間に週末になった。