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107話 花蓮の提案


えりなと花蓮が屋上にいる。 俺は静かにドアを開け反対側を覗いてみた。 そこに居るのはやはり花蓮……




「花蓮ちゃんが待ち伏せしてるなんて思わなかったな、私に何か用?」

「フフフッ、用も何もえりなちゃん、今どんな気分? 私に上野君取られてどんな気持ち? ねえ聞かせて?」



うーん、やっぱりこの花蓮は怖い……



「何? やっぱり花蓮ちゃんってそういう子だったんだ? なんてね…… 何なの? 花蓮ちゃんの茶番に付き合うのもいい加減うんざりしてきたんだけど?」



花蓮はえりなの両腕を押さえて壁に押し付けて首筋をペロッと舐める。 この光景改めてなんかエロい…



「ああ、臭いし不味い。 えりなちゃんって。腐った臭いがプンプンする」

「あら、意見が合うわね? 私も花蓮ちゃんにそう感じてたの」

「えりなちゃんって結構図太いのね? 新月君奪ったと思ったら今度は健ちゃんを味方につけて上野君にまた迫って来るなんてね」



でもこの時はまだ花蓮だって抑制は効くはずだ。 俺がダメ人間を演出すれば……



「えりなちゃんに絶対上野君は渡さないよ? だってね、彼私に夢中なんだもの」

「涼しい顔してずっと私の事そんな風に目の敵にしてたの? 前にあれだけしてまだ足りないの?」

「ええ、そうよ? 高校に入った時からえりなちゃんが邪魔だったの。 あんたが居ると私だけチヤホヤされないじゃない? 可愛いのは私だけで十分」



でもこんな花蓮でも俺だけには優しかったんだ、もしその優しさを他の奴にも振り撒けたら……




「別にね、上野君じゃなくても良かったんだけどえりなちゃんが上野君の事好きそうだったから奪いたくなっちゃった」



今聞いても上野、お前可哀想だなって思うけどいくら花蓮の気を引きたいからって人を突き飛ばしたり拉致るのはやり過ぎだ。



「あんたにやっぱり上野君は渡せない、今に見てなさい? あんたの素顔上野君の前にさらけ出してあげるから」

「へぇ? 楽しみ」



そして俺は思った、前とは違う行動をしなくちゃいけない、ここで俺は出て行ったらまたその後の展開が変わるかもしれない…… そして俺は2人の前に姿を現した。



「か、花蓮……」

「え!? 足立君なんで?」

「嘘!? 健ちゃん居たの?」

「今のって……」

「あはは、こりゃ参ったなぁ、いけない所見られちゃった」



花蓮はビックリした様子だったけどあんまり堪えてなさそう…… まぁ前もそうだったんだけど。



「あのさ、上野には言わないでおくからさ、これから先もあいつと付き合ってやってくれないか? 花蓮の事が本気で好きなんだあいつは。 多分花蓮がいないとダメになる、お願いだよ」

「ん〜、健ちゃんのお願いかぁ…… どうしようかなぁ」



花蓮は顎に人差し指を付けてしばし考えていた。 花蓮、一体何を考えているんだ? そして花蓮は何か閃いたようだ。



「そうだ! えりなちゃん、さっきの事はなかった事にして上野君貸してあげる!」

「ええ!? 花蓮ちゃん何を企んでるのかしら? さっきまで絶対渡さないって言ってたわよね? 」

「だからぁ、なかった事にしてあげるって言ったじゃない! 今日お試しで上野君と一緒に帰ってみなよ? 私から上野君を奪えるチャンスかもよ? そうでもなきゃえりなちゃんは絶対に上野君と付き合えない!」



花蓮はえりなに指差しドヤ顔でそう言う。 ちょっと待て! えりなと上野が付き合うなんて俺も許せない、俺はえりなが好きなんだから。 俺が出てきたのは失敗だったか?



「…… いいわ。 凄く怪しいけどまんまと騙されてあげる」

「え、えりな!」

「足立君黙りなさい! 私も確かめなきゃいけない事があるの、丁度いいわ」

「あはは、酷いなぁ。せっかくの人の親切を」



こうして花蓮は上手く上野に言いえりなと上野は一緒に帰る事になった。 上野とえりなは帰りが逆方向なのにな…… どこかに寄って行ったりするのだろうか?



俺は放課後上野がもしえりなに乗り換えたりしないかとヒヤヒヤしていた。 逆もまた然り。 そんな落ち着かない俺の後ろから……



「健ちゃん!」

「うわッ!」



花蓮が急に後ろから俺の肩を叩いたのでビックリした。 あんな事があったのにこういう花蓮には相変わらず可愛いなちくしょうと思ってしまう。



「どうしたんだよ?」

「ええとね、上野君と帰る予定だったんだけどね、急にあんな事言ったから私今日暇なんだ」

「そ、そうか。 それで?」

「…… それでね、実は……」



花蓮が下を向き急に黙った。 なんなんだろう? なんか嫌な沈黙だ……



「今日は健ちゃんを私のお家にご招待します! イェ〜イ!」



花蓮が明るい顔でとんでもない事を言ってきた。 花蓮の家に俺が? そういえば前は行った事がない未開の地だ。 ここはどう選択するか…… って行っちゃダメだ! 行ったら花蓮によっていとも容易く籠絡されそうだ……



「花蓮ごめん、今日は……」



そう俺が言い掛けると……



「友達としてだよ! 健ちゃんさっき言ったでしょ? 上野君とこれからも付き合ってほしいって。 だからね、健ちゃんが今日来てくれれば私もモチベが上がるの!」



花蓮が俺に顔を近付けてそう言った。 近い、花蓮ヤバいっての……



「と、友達としてだよな?」

「うん!」



花蓮は飛び切りの笑顔でそう答えた。 上野と花蓮を上手く付き合わせとくにはこれしかないのか? あ! ここで花蓮に俺を失望して貰えばいいのかもしれない。



「じゃあ行こっか? 健ちゃん!」


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