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106話 村上の存在


次の日学校へ行くと俺はある事を思い出した。 俺今日宿題忘れたんだった…… 確か前は沙耶に見せてもらってそれで沙耶にイメチェンするキッカケを与えたんだった。



うーん、ここは沙耶に関わらない方がいいかもしれない。 えりなのクラスは出された宿題終わってた筈だよな? 俺は隣のクラスの知り合いに借りに行く。えりなのクラスなのが微妙だけど。



俺は隣のクラスに行くとえりなと目が合った。 そしてえりなが上野の事で俺が用事あるのかと勘違いしたのかこちらに来る。 違う、お前じゃない。 あ、でも別に教科書借りるくらいだしいっか。



「足立君、どうしたのよ? 何かマズい事でもあった?」

「ああ、いや。 そのさ、宿題忘れたから借りに来ただけなんだけど……」

「いい度胸ね? そんな事で? それも私から借りようって事?」

「えりなが勝手に何か勘違いして俺の所に来たんだろ?」



俺がえりなと話しているその時……



「あ、足立君! 宿題忘れたの?」



いきなり横から見知らぬ女の子…… いや、俺はこの子を知っている。えりな、花蓮、沙耶が末期の時俺に告白してきた子、村上美紀だ。 上野が階段から突き飛ばしたせいで音沙汰なしになってたのが今になって……



「ええと……?」

「ああッ! いきなりごめんなさい」

「村上さん、どうしたのよ? 足立君と知り合いだったの?」

「あ、えっと知り合いってわけでもないんだけど話を今聞いちゃって…… あ! 足立君の事知ってるのは昨日足立君が大野君達に絡まれてたからで……」



今の3人まで加えて村上まで加わるなんてなると2週目だからといって余裕なんてなくなるぞ…… 最初から余裕なんて持てるメンツじゃないけど。



「ああ、あの時見られてたか。 俺って弱っちいしカッコ悪かったよな? おまけにえりなに助けてもらっちゃってさ、いやぁ、あの時は怖くて俺ビビってたからマジでえりなのお陰で助かったよ」

「本当足立君は情けないわねぇ。 見てられないわよ、まったく」



こうなったら自分で自分をディスるしかない、村上が俺を好きになる前に。 えりなにはそうは思われたくないがそんなえりなから望んでない援護射撃が来てくれた。



「ああ、本当情けないよな、脚なんかガクガクだったし、あはは」

「でも元気そうで良かった、あたしだったら次の日怖くて学校行けないもん。 あ、宿題良かったらあたしの貸すよ? 美咲さん、いい?」

「え? な、なんで私に聞くのかな?」

「だって…… 美咲さんと足立君ってとても仲良さそうに見えたから」



村上がそんな事を言うからジトッとえりながこちらを睨む…… しかも村上の俺への好感度が落ちてないような気がする。



「はい、これ宿題のノート……」

「あ、ありがとう」



いや、俺のディスり方が足りなかったのかもしれない。 えりなの前では言いたくないし…… あ、でもこれって花蓮と沙耶の前でも俺ってダメな奴を演出すれば少しは俺の事失望してくれるんじゃないのか? 少なくとも今の想いを隠している2人になら通用するかもしれない!



なんだよ、こんな簡単な事なんで昔の俺はもっと早くに気付かなかったんだろう? 前みたいに3人を上手く利用しようとか心が痛むような事しないで自分を落とせばかなり楽じゃないか! ダメ人間、これで行ってみよう!



とりあえず村上、ごめんな? お前の借りた宿題のノートで鼻でもかんでみようかな? いやいや、それは流石にやり過ぎだろう…… 落書きでもしとくか。



「足立君! またボーッとしてるわよ。良かったわねぇ? 足立君に気がありそうよあれはッ!」



えりなはそう言って俺を突き飛ばして席に戻って行った。 あちゃー……



とりあえず自分のクラスに戻って席に着く。 そうすると沙耶が話し掛けてきた。



「そのノート…… 健斗君のじゃないよね? もしかして宿題忘れてきた?」

「ああ。 隣のクラスのたまたま会った女子に借りたんだ」

「誰?」

「誰って…… 俺もよく知らないんだ」



なんか沙耶が怖くなっていく…… でもここで気圧されたら前と同じ、2週目の俺は挫けないぞ。 ダメ人間のように振る舞うんだ!



「うーん、俺ってモテ期なのかな? 知らない女の子からノートも貸してもらえるし」

「その子って可愛いの…… かな?」



そう聞かれると村上の見た目は花蓮みたいに元気そうな感じで花蓮と同じくショートカットだ。 ただ花蓮はえりなと同じで見た目がダントツで良いからな……

村上も可愛い方なのは確かだけど。



「うん、可愛いんじゃないかな」

「…………」



沙耶はそう言うと黙ってしまった。 沙耶ごめん。 こんな事沙耶に言いたくないけど俺を好きになってしまったら沙耶もバッドエンドだ。



そして村上から借りた宿題のノートには落書きをいくつか書いてその事は言わずに村上に返した。



「村上ありがとう、お陰で助かった」

「いいよいいよ、あたしがなんか強引に貸しちゃったみたいになったし…… でもまた何かあったら言ってね?」

「ああ」



俺の落書きを見たらもうそんな気にはならないだろうな。



昼休みになり学食へ行こうとすると階段の踊り場に人影が現れ壁に片脚をガンと付けた。 どこのヤンキーだよ? そう、えりなだった。



「ちょっと、何やってんのよ?」

「お前こそ人気がないからって何やってんだよ? パンツ見えるぞその態勢」

「そんなのどうでもいいのよ! 足立君上野君に私をアピールするどころか地味な女の子と楽しそうに話しをしてばっかだったじゃない!? 一体何を考えてるの? おまけに村上さんからノートまで借りて…… 来なさい!」




俺の胸ぐらを掴み降りていた階段を今度は逆に上り出す。そしてまた屋上に連れてこられたと思ったがえりなが先に屋上に出たと思ったらいきなり手を離され今度は手をかざし、こちらに来るなと静かに言われた。 あ、そういやそうだった。 ここで花蓮が俺が隠れて見てるとこで黒花蓮になるんだった……





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