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100話 少し違う?


次の日の朝学校へ向かっているとえりなの家を通り過ぎようとすると……



「ちょっと! 足立君」



後ろからえりなが俺に声を掛ける。 これもわかってた、なんだか前のえりなと違うえりなだけどやってる事は同じなので少し嬉しいな。



「おはよう、えりな」

「…… なんなのよ、調子狂うわね。 それに何通り過ぎようとしてるのよ?」

「だって一緒に仲良く登校したらあらぬ疑い招くだろ? 俺だって協力しようって言ったんだ。 えりなの事ちゃんと考えてるよ」

「はぁ? あ、足立君のくせに何生意気な事言ってるのよ。 そんなの当たり前よ!」



この後自分に迷惑かけて困らせて上野の気を引いて俺が悪者になって自分はヒロイン気取るって無茶苦茶な作戦立てるんだろ? そして俺はその後えりなの策略で大恥かく事になる。



今考えても胸糞悪い作戦だけど通る道なので仕方がない。ほら、俺はもう覚悟はとっくに決まってるぞ?



「…………」

「おい、えりな?」

「昨日とは打って変わって嫌に物分かりいいじゃない? 足立君何か企んでるんじゃないでしょうね? ひょっとして花蓮ちゃんの回し者とかじゃないの? 花蓮ちゃんとも昨日随分仲良さそうだったじゃない、しかも花蓮ちゃん友達だって言ってたし」

「い、いや、勘繰り過ぎだって! 」



あー、そっちの方向に来ちゃったか…… でもあの胸糞悪い作戦はどうした? 全然出てこない。 俺がえりなの接し方が少し違うからか?



こういうのってよく聞く話だと些細な違いでもそこからバタフライエフェクトの如くその些細な違いが後に大きな違いになるってアレか? だとしたら俺はちゃんと前みたいにえりなと恋人になれるのか?



そしてあの胸糞悪い作戦がなければ沙耶との関係も前のようにあるかどうかわからない。 やっぱり俺の行動がえりなや花蓮、沙耶の未来を少しずつ変えてるって事か?



だけどどうすれば上手くいけるか…… 今度は絶対失敗しないという意気込みはあるけど。沙耶、特に花蓮と波風立てないようにとなると……



2人とも俺への好意は凄かった、凄かったで片付けられないほどに。 だって俺含めて3人とも死んでしまった、あれは最終的にえりなとは結ばれたけどバッドエンドだろう確実に。



花蓮は現時点で俺の事が気になっていたけどえりなの嫌がらせで上野と付き合い沙耶はまだ俺への想いを秘めている。



整理してみるか。 俺はえりなと出会って協力するという事までは同じだけど俺はあの時よりは少しえりなに協力的で尚且つ前の時とえりなの行動がその俺の態度で変わった? そして花蓮とは俺の凡ミスで前よりも友好度が増してしまった気がする。 沙耶はまだわからない。



あれ? でもこれってちょっと違うけど前と似たような方向に進むんじゃないか? 花蓮は最初の方から俺にとても積極的にそしてえりな、沙耶とは違い俺の心を掴んでアピールしてきた。



なのに余計に花蓮と仲良さそうにしてどうするんだ?! 上野との決裂も早まるんじゃないのか? それにそうなったらえりなの気持ちもどうなるかわからない……



どの答えを選択するかで大きく変わるんだ、そして俺はもうやり直しはきかない。 未来が変われば俺でも初めての事なのでどう対処していいか結局の所わからない。 そして最終的には同じ結末を辿ってしまったらそれこそ意味がなくなる。



「足立君ってば!」



えりなの声で我に帰る。



「……あ、なんだ?」

「なんだ? じゃないわよ、どうしたのよ、大丈夫? 物凄く深刻そうな顔してたわよ。 私と上野君の関係で何かおかしい事でもあったの? 」

「え? お前と上野の関係で? なんで?」

「あんた! さっきちゃんと私の事考えてるって言ってたでしょ!? だからそうなのかな? って思ったのよ! なのにその様子じゃ全く違ったようね!」

「お、おい、周り見ろよ……」



学校の近くでえりなは大声を出したので周りから数人の生徒がヒソヒソと俺達の事を話していた。



「バカ! さっさと私から離れてよ! 先行きなさいよ! 誤解されちゃうじゃない」



ここら辺は同じなのな…… どこをどう弄れば変わるのかよくわかんねぇ。



そして学校へ着くとえりなは俺のクラスに来て俺の協力のもと上野に構ってもらおうとする。 本来だったらえりなが演技で上野に泣きついてな事になる予定なんだけど……



やっぱりそんな事は起こらずにただ単にえりなは相変わらず上野に対して空回っている。



そして昼休みになるとえりなは俺を待ち伏せしていて影から俺の腕を掴んで強引に引っ張って行こうとする、屋上だろ?



そして行く前に大野って奴に絡まれるんだよな……



すると予想通り大野が出て来た。 あれ? 前は大野だけだったのに人数3人に増えてね?



「えりなちゃん、こいつがえりなちゃん困らせてるって奴? 俺達がぶっ飛ばそうか?」

「大丈夫よ大野君、ほら? 今ではとっても足立君と仲良いの! この通り」



美咲は俺の掴んでいる腕を上げヒラヒラと振ってみせた。 ここはこれでやり過ごせたはずなんだけど周りの奴が……



「でもこいつに朝怒鳴ってたよね? 調子こいてるからヤキ入れてやろうぜ」

「だな」



嘘だろ!? そう思った瞬間みぞおちに蹴りを入れられた。 俺はそのせいで床に倒れる、周りの奴らがなんだなんだと騒ぎ出した。



「ほうら、ギャラリーも集まったし面白くなってきただろ?」

「大野君! やめなさいよ! いくらなんでもやり過ぎ、私別に足立君と居て困ってなんかないのよ!」

「え? でもこいつに迷惑掛けられてるって噂が……」

「ただの噂! これ以上やるなら私も許さないわよ!」



えりなが俺の前に立ちそう言うと3人とも白けたのか散っていった。 周りの生徒は相変わらずヒソヒソと俺とえりなの事を話していた。



「ほら、行くわよ足立君立てる?」

「あ、ああ……」



俺が知ってた前の世界とはやっぱり少し違っていた。 これも俺の行動から来るものなんだろうか?



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