表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/152

10話 えりなと日々野


「あちゃー、見られちゃったね? 足立君、もう言い逃れは出来ないよね」



泣きそうになってた美咲は一瞬顔を伏せ、俺の方へまた向き直るとニタリと邪悪な笑顔になっていた。 なんだよこいつの豹変ぶり!?




「あ、足立君はそんな事する人じゃないって思ってた、思ってたのに…… だとしたらやっぱりこの前騒いでた事も本当なの?」

「足立君はねぇ、私の事が好きみたい。見たでしょ? 私に乱暴しようとしてまで私を手に入れようとしていた所」



美咲がゆっくりと日々野に近付きながらそう言う。



「だって、ううん、でも私の知ってる足立君は……」



ドス黒い雰囲気を醸し出し近付く美咲に後退りしながら日々野は美咲と話す。そして屋上のドアに背中がドンと当たる。

美咲はそんな日々野のすぐ横の壁にドンと足を置き日々野の行く手を阻んだ。



「日々野さんに足立君の何がわかるの? 知ってるって?  じゃあこんなのも知ってるの?」



美咲は携帯を取り出し俺に押し倒された自分と先ほどの首筋に顔を埋めた画像を見せた。



「そ、それ!?」

「ふふッ、これね。 足立君が私に興奮してこんな事しちゃったの。日々野さん足立君の事好きなんだよね? 私に先越されちゃったねぇ」

「ど、どうして美咲さんがそんな事、美咲さんだってそんな事するような人じゃないと思ってたのに…… そ、それに私が足立君の事好きって……」

「あー、やだやだ、あんたみたいな人を薄皮一枚で判断するような人が多くてチョロくてたまらないわ。 日々野さん足立君と話す時顔真っ赤よ? あれあれ? 今も真っ赤だねぇ、あー、もしかして足立君と私があんな事してたのにも興奮しちゃったのかなぁ? 日々野さん意外とエッチなんだね、足立君とあんな事やこんな事してる所でもいつも妄想してるのかな?」




美咲はこれでもかと言うほど日々野にまくし立てる。 やり過ぎだ、それに妄想癖があるのはお前の方だろ! 日々野は美咲から逃れようとするが両手をがっちりと美咲に押されられる。



「ふぇッ…… グスッ、酷い、酷いよ美咲さんも足立君も…… わ、私、私の気持ちを」

「日々野さんがグズグズしているから上野君の友達って事で私が先に味見しちゃおうかなぁ? まぁ足立君から私に迫って来たから足立君に私が味見されちゃうかも」

「お、おい、美咲それはいくらなんでも……」

「足立君は黙ってなさい! 変態のくせに!」



手出し無用口出し無用という感じに俺の言葉を遮る。



「ねぇ日々野さん、世の中良い人なんてすぐ悪い人に食べられちゃうんだよ? 悪い人が世の中動かしてるから悪い人が得する仕組みになってるの。 日々野さんは羊ね、私は狼。 そんな事ないって言う人はいつまで経っても羊なのよ。ねぇ日々野さん、私が何言いたいかわかる?」

「グスッ、ふぇ?」

「てめぇみたいなウジウジぐじぐじしてる奴見てると腹が立つんだよ、とっとと足立君を食っちまわないと私が食うぞ?」

「ひいッ……」




美咲はドスのきいた低い声でそう言った、若干自分にもブーメランしてるという事に気付いているのだろうか? なんて冷静に解説してる場合じゃない! なんの関係もない、ましてやこんな場面を見る事すら想定していなかった日々野に言い過ぎだ!



俺はそう思い美咲から日々野を解放してやろうと美咲の腕を掴み日々野から引き離すとアッサリと美咲は離れた。 あれ? てっきり美咲は邪魔とかなんとか言うかと思ったのに……



すると昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。



「あ、もうお昼終わっちゃったねぇ、でも私足立君のせいで授業出れないや、どうしよう?」



ニヤリと俺に向け美咲はそう言う。 グッ…… またしても蒸し返すような事を。すると日々野がいきなり俺の目の前でシャツを脱ぎ始めた。 なッなな、何をしているんだ日々野は? シャツを脱いだ日々野は手で肌を隠し俺に「後ろ向いてて」と恥ずかしそうに言った。



「わ、私ので良ければ使って…… 午後は体育だし…… 後は私ジャージでいるから」

「へぇ、地味子ならではの地味な貢献ね、じゃないと騒ぎになるものねぇ? 大事な足立君がみんなの罵倒の対象になってね」



こ、こいつ自分は煽り耐性低いくせに自分が煽る時はとことん煽りやがる…… そして代わりにボタンが弾けた美咲のシャツを着た。



「む…… ちょっと緩い……」



美咲はそう言い日々野の胸を見つめいきなり揉んだ。



「ひええッ!」

「地味子のくせに胸だけはあるわね」



美咲の異様な行動にさっきから日々野はたじたじだ、そして俺も……



「さぁて、そろそろ行かなきゃね。 足立君達も戻ったら?」



そうだった、もう授業が始まってる…… というか俺何も出来なかったな、美咲劇場が開催されてからずっと見ているしかなかった。 女の圧力って修羅場で発揮されるんだな。



屋上から降りて俺と日々野を残し美咲は「あー、スッキリした」と言って俺達と別れた。 あいつさっきの新月の分まで日々野をいじめて楽しんでたな……



日々野を見ると思わずボタンの千切れたシャツを見る。 なんて所を日々野に見られてしまったんだ。



「わ、私最近足立君と美咲さんが一緒に行動してるから気になって探してたら足立君が美咲さんにあんな事してるの見て……」



ああ! 美咲は誤解を全然解いてなかったんだ、なんて言えばいい!? なんて言えばそれらしく誤魔化せる? そもそも俺って悪い事何もしてないのになんでこうなるんだ!?



「い、いや! そ、それはだな……」

「足立君美咲さんの事が好きだったの?」



日々野がこちらを向き涙目混じりの視線をこちらに向ける。 日々野のこんな表情初めて見た…… なんなんだ? 俺は日々野はただの隣の席で日々野はいい奴で、でも日々野は俺が好き? 美咲に言われた時も日々野は否定していなかった、一体俺は……



「お、俺は別に…… そんな事」



言う前に女子の更衣室に着いてしまったので日々野は俺と別れ俺もモヤモヤしたままジャージに着替えた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 美咲がゲス過ぎる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ