壱 変化
7時頃に支度を終わらせリビングに入ると母親が朝食を作っていた。
「あら、おはよう清弘。今日は早いのね」
「うん、おはよう母さん」
その後、朝食を済ませると母さんは仕事があるため先に家を出ていった。
「行ってきます清弘」
「行ってらっしゃい」
部屋には、僕だけになった。そろそろ行く時間だな。
そう思い、玄関に向かった。靴を履き誰もいないリビングに
「行ってきます」
と、言い家の鍵を掛けた。
僕は徒歩で行ける程に近い中学に通っている中学三年生である。
教室に着くと、自分の机が汚されていたのでいつものように水で濡らした雑巾で拭いた。
机には
死ね!、消えろ!、などの言葉が油性ペンで書かれている。
いちいち消すのが面倒臭いのでやめてほしい。けど文句を言えばそちらの方がもっと面倒臭くなるので言わない。机を拭き終わると今日の予定を確認し、予習をした。予習が終わる頃には教室にゾロゾロとクラスメイトが登校してきた。もちろん僕には挨拶などしない。
HRが始まる直前に1人の男子生徒が入ってきた。
こいつが僕を虐める主犯なのだが・・・
何気ない顔で僕の机を蹴ってきた。
机の上に置いておいた筆記用具が下に落ちてしまった。
そのまま、主犯格はケラケラ笑いながら自分の机に向かって歩いていった。
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HRが始まりいつもの最悪な1日が始まった。
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僕に対するいじめは先生達の殆どが諦めており目の前で僕が暴力を受けても主犯格は怒られることはない。
要するにこの学校にいる奴らは屑が多いということである。
4時間目が終わり、昼食の時間になり僕が弁当を広げると主犯格は僕の弁当箱を掴み黒板に向けて投げてしまった。もちろん中に入っていた料理たちは黒板の下に散らばってしまった。
正直もう、これくらい普通になっているのであまり気にしないでいる。散らばった料理を片付けていると教室内の何名かの生徒がクスクスと笑っていた。なんとも思わないが。
代わりにコンビニで買っておいたサンドイッチを食べる毎日である。
弁当を作るこちらの身にもなってほしい。
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6時間目は進路についてだった。しかし、自分の夢のエアーファイターは女子しかなれないため、進路の所はいつもの空欄になっている。
あぁ、本当に女の子になればいいのに・・・
と、思いつつぼーっとしているとチャイムが鳴り6時間目が終わった。
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帰りのHRが終わると僕は早足で校舎を去っていった。ずっと教室にいると、主犯格達に殴られ、蹴られの好き勝手にされてしまう。過去にそのような事があったからな。
いつものように家に帰るがまだ母さんは帰ってきていない。
誰もいない家に
「ただいま」
と、呟きながら靴を脱ぎ自分の部屋に向かった。今日はやけに眠い。気がつくと寝ていた。
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夢を見た。あの悲惨な事故の夢をお父さんが焦っているのが見えた。
人混みの中に一人の少女がいた。髪は白く、美しい少女がこちらを見ていた。気がついたらその少女は僕の目の前にいた。少女が聞いてきた。
「あなたは、女の子になりたい?」
と、
迷わず僕は言った。
「うん、なりたい。女の子になれば僕の夢が叶うから」
「そう」
と、少女は嬉しそうに返事をし
「じゃあ、女の子にしてあげる」
そこで夢は終わった。
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目が覚め、外をみると夜になっていた。時計をみると8時を回っていた。
リビングに行くと母さんがいた。母さんはこちらをみると驚いていた。
「あなたは誰?」
と、トンチンカンな質問をしてきた。
「何言っているの母さん?」
しかし、何かがおかしい。自分の声がソプラノになっている。背も小さくなっている。
リビングにある鏡をみると、夢で見た少女の姿になっていた。
「へ?」
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その後、母さんに僕が清弘ということを分からせるために色々と苦労した。
すぐにでも、病院に行きたかったが母さんが仕事の都合上明日に行くことになった。
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後日、学校は休み母さんと病院に行った。
病院に着き、色々な精密検査を行った。
医師からは原因が不明と言われた。また、男に戻ることは難しいとも言われた。
母さんは混乱していた。が、僕は嬉しかった。とうとう自分の夢が叶うのだから。
「これからどうする?清弘いいえ、白羽?」
白羽それが新しい僕の名前である。
「母さん、やっと僕の夢が叶うんだ」
「そうね、あなたの夢はエアーファイターですもんね。悩んでもしょうがないわね。まずは役所に行って色々としないと!」
と、元気良く母さんは言った。
役所では、政府が手を回してくれていたのでほんの数分で手続きが終わった。
明日からまた、学校である。
これは僕は白羽としてエアーファイターになり学園の英雄と呼ばれるまでのお話
主人公の名前を変更させて頂きました。ズイ(ง ˘ω˘ )วズイ
誠に申し訳ないです。