39. 照明魔法具の開発 ★
少し投稿期間が開いてしまいました。申し訳ありません。
ブックマーク、いいね、いつもうれしく思っています。ありがとうございます。
万有引力定数を測定してから1か月ほどが過ぎた。
わたしは今までの集大成として、照明魔法具の開発に取りかかっていた。
部品類は、全て一体型としてお父さまに発注するのがいいかな。
回路は鉱石の中にはめ込み、漏れ電流ならぬ漏れ魔力をなるべくなくすように設計しよう。
発光する部分は、以前から計画していた通り、例の鉱石を精錬した宝石をはめ込む。
球状の宝石に魔法陣を描くのは大変だが、見た目はしっかりしておきたい。
マギコンデンサは鉱石をなるべく薄く整形してもらい、銀を蒸着し電極ならぬ魔極とする。
薄くするのは、電気回路素子のコンデンサが、極板間の厚さが小さければ容量が大きくなることからマギコンデンサでも同じことが起きないだろうかと予想し実験したところ、見事に的中したためだ。
そういえば、あの鉱石の名前は"魔鉱石"と呼ぶらしい。そのままだった。
精錬前はマギオンに対し絶縁物質であるのにも関わらず、魔鉱石と呼ぶのはなんだか違和感があるが、基本的には精錬後の宝石として活用されるため、この名前があるという。
回路は、以前の魔力を光エネルギーに変換する魔法陣の他に、光エネルギーを魔力に変換する魔法陣を描き、昼間は太陽光などで魔力を充填できるようにする。
魔力―光エネルギー変換魔法陣と光エネルギー―魔力変換魔法陣は、並列に接続し、スイッチでマギコンデンサとの接続を切り替えられるようにする。
わたしはマギオン回路図をノートに描く。
上部の回路は以前と変わりない。下部の回路は、マギコンデンサの正極にマギオンを充填できればよいため、魔法陣の片側にしか配線を設けない。
スイッチはマギコンデンサの右の分岐点に配置し、オンの時は上部回路につながり、オフの時は下部回路につながるようにする。これで昼間はオフにしておきマギコンデンサの充填、夜はオンにすることで発光するようにできる。
ただし、下部回路に描く魔法陣は、マギコンデンサがマギオン流を作るわけではないので、詠唱が必要になる。発動キーは適当なものを書いておけばいいだろう。
魔法陣の発動に魔力が必要だが、一度変換を開始してしまえば、生み出した魔力で魔法陣の機能が持続する。
問題があるとすれば、このままでは再現なくマギコンデンサを充填しようとするばかりか、一度発動すると永遠に光を魔力に変換してしまうことだが、とりあえず回路を組み、実際に魔力を最大まで充填してどのくらい時間がかかるかを割り出し、終了時間とすればよい。第三円は後で書き込むことにする。
さて、これでだいたいの設計はできたと思うから、お父さまに説明して発注してもらおう。
構想自体は以前からお話してあったから、スムーズにいくはずだ。
お父さまに基板の発注をお願いしてから2週間ほどして基板と加工してもらったマギコンデンサが届いた。
作ったくれた職人さんも不思議に思ってただろうけど、すごく出来がいい。発光部となる宝石に配線用の溝が掘ってあり、そこに銀がはめ込まれているが、凹凸もなく、隙間もないように見える。
わたしは回路基板にマギコンデンサをはめ込み、魔法陣を描き込む。
回路をオフの状態で庭に持ち出し、充填用魔法陣を起動させた。
この間の実験から、わたし用の時計をもらったので、それで時間を計測する。
(マギコンデンサがいっぱいになるまで、約30分といったところかな)
実際は日光への当て方とか、そもそも天気で変わってくるとは思うが、ひとまず試作1号機としては十分だろう。
わたしは魔法陣を強制的に止め、第三円を描き込んだ。
今は満充填の状態なので、これ以上日光に当てておく必要もない。
ここに試作機は完成した。あとは改良を重ね、利便性をよくしていくだけだ。
わたしが成長し魔法学界で発表ができるようになれば、これはきっと世の中を変えるだろう。
住民は夜の暗闇に怯えることはない。
まぁ、銀を使っているので庶民には手が届きにくいかもしれないが、それは今後の改良しだいだ。
その後、この試作機はわたしによって量産され、オンネス家の王都の屋敷にて使用されることとなった。
それ以来、夜にオンネス家を訪ねた来客は、その屋敷内の明るさに驚き、お父さまにこれは何かと詰め寄るのが常となった。もちろん答えは「秘密」なのだが。
マギコンデンサは一つです。理由は、普通のコンデンサと同様、直列に接続しても容量は下がるだけだからです。並列に接続すれば容量は増えますが、とりあえず試作1号機なので1個だけです。
これにて第一章は完結となります。
この後は目次を章分けした後、第二章の執筆に入りますが、開始には少々お時間いただきます。
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