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異世界魔法の物理学  作者: のん
第一章
34/42

33. お父さまへおねだり

万有引力定数の測定をするために、実験器具をお父さまにおねだりします。

レーザーもといコヒーレント光ができた。

理想的なコヒーレント光ではないから、何かいい言葉があればいいんだけどな。

Light Emission Aligned in Phase and AmplitudeでLEAPA、リーパ光なんてどうだろう。いや、直訳すると位相と振幅の揃った発光なのだから、コヒーレント光という意味なのだが。

単に名前を付けたかっただけだ。


わたしは夕食後、お父様の書斎を訪ねた。

静かに扉をノックする。


「お父さま、クレアです」

「入りなさい」


許可が出たので部屋へと入った。

ここは紙とインクのにおいがして少し落ち着くな。


「どうした? 魔法具開発の話なら夕食時に聞いたが、追加で報告することでもあるのか?」

「いえ、お父さま。今回は実験器具の購入をお願いしにまいりました」

「実験器具、というと、物理学の定数を測定するというやつか」

「はい。今回は、万有引力定数を測定したいと思っています。万有引力とは、あらゆる物体間に働く引力のことです。万有引力定数が測定できれば、あとはこの星の半径が分かっていればこの星の質量や密度などを求めることができます」

「これはいつも言っていることだが、それは何の役に立つのだ?」


来た。この質問は重要だ。

この質問に答えられなければ、実験装置は用意してもらえないだろう。


「密度が分かればわたしの前世の星と比べることができます。密度が大きければ金属資源が多い可能性があります。金属資源は、文明の発達に非常に重要です。文明が長く反映するためには、大量の金属資源が必要となりますから、この星の密度を測ることは重要だと思います。」


かなり苦しいが、何とか人間の活動に星の密度が必要になる理由をひねり出した。

これで納得してもらえればいいんだけれど……。


「ふむ……。理には適っているようだな」

「それでは……!」

「あぁ、用意しよう。どんなものが欲しいのかね?」


わたしはノートに描いてきた実験器具の設計図を見せる。

途端にお父さまの顔が歪んだ。


「これは複雑な機構だな。この小鉛球というのは、ガラスの窓が付いた箱の中に入っているのか」

「そうです。2つの小鉛球は棒で水平に繋がれ、棒の真ん中からワイヤーで吊っています。大鉛球は棒に固定していて、小鉛球は箱の中に入れるため、事前に質量を測っておいてもらう必要があります」

「これは熟練の職人が必要だな。わかった。とりあえず知り合いを当たってみるとしよう」

「ありがとうございます、お父さま!」


よかった。かなり難しそうだけど、なんとか器具の手配はしてくれそうだ。


「実験だが、以前と同様、私も同席させてもらおう。何か手伝えることがあるかもしれんしな」

「ありがとうございます。この実験は、以前の重力加速度の実験に比べて大変なので、助かります。時間もかかる実験なので、お父さまのお休みの日が良いかと」

「わかった。時間がかかるというのはどのくらいかかるんだ?」

「そうですね……。鉛球が静止して安定するまで長く見て2時間ほどかかるので、そこから実験を開始して、小鉛球の振動を測定するので、それに30分から1時間ほどかかります。最終的なねじり天秤の静止には、2時間ほどかかりますので、長く見積もって5時間はかかるかと」

「安息日とはいえ細々とした執務はしないといけないからずっとは見てはいられないな。しかしこの機構は明らかに振動に弱い。実験中は部屋を出入りしない方がよさそうだな。仕事ができるよう書類の類を部屋に持ち込むとしよう」

「それが良いかと思います」

「器具の用意には最低でも2週間はかかるだろう。その間は、魔法具の研究に勤しんでくれ」

「わかりました」


交渉がうまくいったわたしは、るんるん気分で自室へと戻るのであった。

キャヴェンディッシュの実験装置の図とかは、実際に測定する話のときに載せようと思います。作ってはあります。

キャヴェンディッシュの実験は以前に行った単振り子での重力加速度の測定と違って結構難しいので、難しいな~と思いながら勉強しました。


下の星をぽちっとしていただければ、筆者非常に喜びます。よろしくお願いします。

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