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異世界魔法の物理学  作者: のん
第一章
31/42

30. 兄と姉の帰宅

兄のシャルルと、姉のサラが帰ってきます。


直前に1話同時投稿しているので、読み飛ばしにはご注意ください。

鉱石と銀についてはお父さまに相談したら二つ返事で了解してくれた。

しかも銀に至っては配線について説明したらそのように加工してくれるとのこと。

これは仕事が減ってよかった。

照明魔法具は、我がオンネス家にとっても一大事業となる可能性を秘めているため、お父様も出し惜しみをしないのだろう。わたしが実際に成果を上げているのも効いていそうだ。


そういえば、そろそろお兄さまとお姉さまが夏季休暇で帰ってくる時期だ。

わたしと両親は、お父さまが近衛騎士であることもあり、基本的に領地におらず王都アラスに居を構えているわけだが、騎士学院にいるお兄さまと魔法学院にいるお姉さまは学院都市エルメーアに住んでいる。アラスからエルメーアまでは馬車で1週間ほどだ。


わたしたちの住んでいる地域には四季があるが、近年の日本のような酷暑や厳冬といったことにはならない。夏は夏でもほどほどに暑いな、木陰は涼しいな、という感じだ。多分地中海性気候的な、夏は乾燥した空気が湿度を下げるんだろう。多分。


それから数日たって。

わたしはまたお母さまに着せ替え人形にされていた。

なんと今回はカリーヌ先生まで参加している。


「レティシア、こっちなんかどう? クレアちゃんの清楚な感じを引き立てると思うんだけど!」

「いいわねぇ~。でもこっちの服もいいわよ、やっぱり女の子はフリルマシマシじゃないと!」

「今は夏だからあまり厚着になるものは駄目よ。ワンピースタイプで清楚感を狙っていきましょう!」


わたしはもはや無我の境地だ。

過ごしやすいと言っても夏は夏だから、薄手の服になることを祈っている。

その意味では、カリーヌ先生には頑張ってもらいたい。


さて、なんでまた着せ替え人形になっているかというと、お兄さまとお姉さまが帰ってくる日だから、らしい。

夏と冬の半年に一度しか会えないからうんとかわいい服で出迎える必要があるのだという。

半年に一度会えるならそんなでもなくない?


わたしはやっと届いた鉱石で実験をしたいのに。

銀の配線は加工に手間取っているのかまだ届かないが、鉱石は今日届いた。

意気揚々とカリーヌ先生の研究室に向かっていたら、お母さまに捕縛されたということだ。


結局、前回と同様、午前中のすべての時間を使って着せ替えは終わったのだった。

実験……。

ちなみに、カリーヌ先生の言っていたワンピースタイプに、お母さまの言っていたフリルがたくさんついた二人の折衷案みたいな服が選ばれた。


昼食を食べて用意された服に着替え待つことしばらく。

お兄さまとお姉さまが帰ってきたと知らせが届いた。

そういえば、前世の記憶が戻ってから初めての邂逅だ。

お兄さまやお姉さまには前世の記憶があることを打ち明けるつもりでいるが、二人はわたしをわたしと認めてくれるだろうか。

お父さまたちはすぐにわたしを認めてくれたが、やはり少々不安になる。


玄関ホールの扉が開き、二人が入ってくる。

その瞬間。

わたしは走り寄ってきたお姉さまに強く抱きしめられていた。


「まぁ~、相変わらずかわいいわね~! クレア、元気にしてた?」

「お、お姉さま、苦しいです! 元気にしてましたから!」

「よかったわ~。クレアが元気なら学院のあれやこれやで疲れた私を癒してちょうだいね!」

「こらサラ、クレアが苦しがっているじゃないか。あとで僕にも抱きしめさせてくれよな」


お兄さま、最初と最後で言ってることが違います。

そうだった。二人は末っ子のわたしをそれはもう甘やかすのだ。


「あらあら。二人ともお帰りなさい。道中疲れたでしょう。まずは荷物を置いて、お部屋でお茶でも飲みましょう」

「そうですわね、お母さま。クレアを堪能するのはまた次でもいいわね」

「クレアちゃんの服、頑張って選んでよかったわぁ。二人が喜んでくれてわたしもうれしいわ。クレアちゃん、一人だと地味な服で済ませようとするんだもの」

「それはいけないな。クレアはかわいい女の子なんだからちゃんとかわいい服を着なければ」

「お兄さま、普段の服も普通にかわいいです。ただお母さまが凝り性なだけなんです」


その後は、カリーヌ先生も混じえて応接間でお茶をすることにした。

久しぶりの着せ替え人形回でした。

主人公は実験ができなくて不満そうです。


下の星をぽちっとしていただければ、筆者非常に喜びます。よろしくお願いします。

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