21. 魔法陣の描き方について ☆
Twitterのフォロワーさん (Twitter: @karusan_aieeee ) から、クレアのイラストを描いていただきました。
かわいく描いていただいて感謝です。
ちょっと投稿期間が空いてしまい、申し訳ありません。
今回は、魔法陣の描き方に関する講義回となります。
光を発生させる魔法、発光魔法を発明してから数日。
わたしは初歩魔法の訓練課程を終えて、次に魔法陣の描き方について教わっていた。
わたしの開発した発光魔法を魔法具として使えるようにするためだ。
発光魔法は、今のところ使えるのがわたししかいない。
カリーヌ先生にも呪文を唱えてもらったが発動しなかった。
それはおそらく、エネルギーというものに関するイメージの不足だと思う。
この世界でエネルギーという概念を知っているのはおそらくわたしだけだから、現状発光する魔法具を作製できるのはわたしだけということになる。
「魔法陣は、基本的に円の中に魔法語を並べることによって機能します」
カリーヌ先生によると、魔法陣は主に二重の円の中に魔法語の単語を意味がつながるように配置していくらしい。
内側の円には魔法の発動に関する魔法語、外側の円には魔法の規模や対象などに関する魔法語を配置する。
さらに複雑になってくると三重円、四重円となってくるが、その分魔法陣自体の大きさも大きくなってくるので、あまり複雑な機能を持たせようとすると、巨大な魔法陣が必要となり、実用的ではない。手が器用で、魔法語を小さく書ける場合は、その限りではないが。
「魔法陣の使い道は、主に魔法具です。魔法具に術者の血液を混ぜたインクで魔法陣を描いて乾燥させることで、魔法陣が魔法具に刻まれます。その他には、遅延発動を記述した呪符にして、攻撃用途に使うこともあるわね。これは、呪文を唱える時間を短縮しようという試みね」
魔法陣は、いつも使っている呪文と違って、単語を並べて描かれるため、人によって描き方は千差万別らしい。統一した規格がないのは、事故や故障のもとなのではないかと思う。
と思って質問してみると、一般に出回っているような魔法具に使われる魔法陣は、公開されているものを使っており、どれでも同じものが刻まれているようだ。さすがにそれぞれの魔法具で異なる魔法陣が使われているなんてことはなかった。
「それでは、実際に魔法陣を描いてみましょう。まずは紙に灯火の魔法陣を描いて呪符を作ってみましょうね」
先生の指導の下、魔法陣を描いてみる。
教本に載っている指先に火を灯す灯火魔法の呪文は以下の通りだ
《火よ、我が指先に小さな火を灯せ》
しかし、魔法陣には文章を書くわけではない。単語でアプローチしなければならない。
この場合、火を発生させるには次の一単語で事足りる。
《発火》
だから、内側の円に描かれる魔法語はこれだけだ。
問題は外側の円に描く規模や対象に関する単語だ。
これの描き方には様々な方法があるが、関数型という描き方が一般的のようだ。
例えば、5 cmの火柱が立つ火を描いた呪符の目の前に発生させたいときは、魔法語をこう書く。
《規模[50 lr], 位置[前方, 0.1 r]》
これで、火柱5 cmの火が呪符の目の前10 cmの位置に発生する。
最後に、発動キーを記述しないといけない。これがないと、発動タイミングが不明なので、せっかく魔力を流しても発動しないで終わるらしい。
発動キーは円の下部に書く。ここは文章でいいし、どんな文言でもいい。
とりあえずわたしは魔法語で「火よ」と書いておく。
「できました」
「では、発動してみましょうか。魔法陣的には小さな炎だし、この部屋で発動させても問題ないでしょう」
今日の講義場所は私の部屋だった。魔法陣を描くのに外では風が吹いたりなど不都合もあるからね。
先生に言われた通りに、発動させてみる。
「《火よ》」
すると、狙った通りに呪符の前に小さな火が発生する。
そういえば、この火からは煤が発生しているんだよね。
煤が発生しているということは、不完全燃焼が起きているということでもあるが、まず燃えている物質があるということに他ならない。
灯火の魔法は、火という熱と光を発生させるエネルギーを直接発現させているわけではなく、何らかの燃える物質を生成して酸素を反応させていると見るのが適当そうだ。
火が赤いから、ガスバーナーのように酸素のみの気体と反応させているわけではなくて、単に空気中の酸素と反応しているだけだと思うけど。煤が出て不完全燃焼しているのがその証拠だ。
「成功ね。さすがだわクレアちゃん。ちゃんと魔法語の勉強もできているわね」
「魔法語は魔法の根幹ですからね。そういえば先生、魔法陣が単語で描かれるということは、普段使っている呪文も単語のみで発動することはできるんですか?」
「そうね。もちろんできるわ。ただ、規模とかの指定が若干面倒になるわね。また、魔法のイメージもより強固にする必要があるわ」
どうやらそう単純ではないらしい。まぁ、魔法陣で描いたような関数型の指定方法はかっこを発音できないから確かに無理そうだ。
rはメートルと同じです。lはミリと同じになります。この世界にセンチに該当する接頭辞はありません。
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