17. 魔力属性の測定
主人公の魔力属性を測定します。
「それじゃあ、魔力属性の測定に移るわね」
「はい。お願いします」
カリーヌ先生は正方形をした板を取り出した。
板には真ん中に魔法陣が描かれており、正方形の各辺の真ん中辺りにそれぞれ赤、青、緑、黄色の丸い宝石が取り付けられている。
「これはなんですか?」
「これは属性判定機という魔法具よ。真ん中に血を垂らすとその人が持っている魔力属性がわかるの。魔力属性を持っているとそれに対応した宝石が光るようになっているわ。赤が火、青が水、緑が風、黄色が土ね」
これで魔力属性が測定できるのか。
「ちょーっとだけ指に針を刺して、出てきた血を真ん中に押し付けるだけでいいから、そんなおびえた顔しなくて大丈夫よ」
「え? わたしそんな顔してました?」
「すごい神妙な顔で判定機を見つめてたから。血を垂らすっていうのが怖いのかと思ったけど違うの?」
「怖くないというと嘘になりますね。ちょっと怖いです」
「すぐに治してあげるから、心配しないで」
「わ、わかりました」
そういうとカリーヌ先生は針を取り出した。裁縫に使うような小さな針だ。
「はーい、じゃあ針を刺しますよー。ちょっとだけ痛いからねー」
そんな小さな子どもに言うみたいに言わなくても……。あ、わたし小さな子どもだった。
カリーヌ先生はあたしの右手の親指の腹に針を当てて本当に少しだけ刺した。
ちくっとした痛みとともにわずかな血液がにじみ出てくる。
「じゃあ親指を、属性判定機の真ん中の魔法陣に押し付けてね」
「わかりました」
言われたとおりに属性判定機に指を押し付ける。
すると判定機に取り付けられた4つの宝石が、全て光った。
これは……、4属性すべてが使えるという意味だろうか。
「驚いたわ。さすがはレティシアの娘ね。才能があるとは思ってたけど、まさか四重魔法師とはね。あっ、治療するから、指を出して」
「はい」
指を出すと、カリーヌ先生はあたしの指に手をかぶせ、呪文を唱えた。
「《水よ、彼の者の傷を癒せ》」
属性判定機に指を押し付けていたので、ほとんど血は止まっていたが、まるで傷が逆再生するかのようにふさがってしまった。
これは一体どういうことだ。物理的にあり得るのだろうか? 水魔法で傷の回復を早めたと言っても限度があると思うのだけど。
「すごいですね、傷が一瞬でふさがってしまいました」
「まぁこれくらいはね。水魔法を勉強すればクレアちゃんもすぐに使えるようになるわよ」
「先生は水魔法の使い手なんですね。先生は何重魔法師になるんですか?」
「クレアちゃんの四重にはかすむけど、一応三重魔法師よ。水と土と風が使えるわ。あ、火の魔法も呪文は一通り覚えるいるから安心してね」
さすがは先生だ。
「そういえば、魔法具で疑問に思ったんですが、あれは生活に直結している道具ですよね。例えば先生は火属性は持っていないから、火属性の魔法具が使えないってことはないんですか?」
「いい質問ね。魔法具には魔法陣が刻まれていて、魔法を使っているのはあくまで魔法具だから、使用者は無色の魔力を通すだけでいいのよ。そこには属性は関係ないわ。魔法具を作る方は、その属性を持っていないとだめだけどね」
「なるほど。ありがとうございます」
そうなると、魔法の才能がない人、つまり属性を持っていない人でも血液―魔力変換ができれば魔法具自体は使えるってことか。いや、そもそも魔法具自体に変換機構が備わっている可能性も考えていたっけ。それなら、本当に触れるだけで使用できることになる。
「先生、わたしが四重魔法師というのはわかりました。わたしも魔法の研究をしたいと考えていたので、全ての魔法が使えるというのは非常に便利なことだと思います。もしよろしければ、わたしに先生の魔法研究を手伝わせていただけませんか?」
「へぇ、その年で魔法の研究をしたいだなんて言い出す子、初めて見たわ。もちろん、いいわよ。でも今のクレアちゃんの魔法知識だとちょっとついてくるのが大変かもね」
「理解しています。もちろん魔法研究に必要な知識を教えていただいてからで構いません。詳細は明かせませんが、実はわたしには少し特殊な知識があるので、もしかしたら先生の魔法研究に役に立てるかもしれないと思ったのです」
「特殊な知識?」
「物理学、あるいは科学と呼ばれるものです。多分、あまりこの手の知識を持っていて、研究をしている人は少ないと思います」
「そうね。あたしも研究者だけど、物理学や科学といった学問は知らないわ。でもクレアちゃんはそれが魔法の研究に役立つかもしれないと思っているのね?」
「はい。魔法の発動原理を解明できるかもしれないと考えています」
「それは素晴らしいわ。あたしもそうだし、魔法の発動原理を研究している人は多いけど、それは長い間進んでいなかったから、クレアちゃんの知識は非常に助かるかもしれないわね。まずは魔法の基礎を教えてからになるけど、そうしたら研究を手伝っていただくわね」
「ありがとうございます」
これで、魔法の研究に携わることができる。
物理学がこの世界の魔法にどこまで太刀打ちできるかは未知数だが、わたしの意気込みはばっちりなのだった。
主人公は四重魔法師でした。まぁ、主人公補正ってやつですね。
属性を持っていないと対応する属性の魔法は呪文を唱えても発動しません。
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