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異世界魔法の物理学  作者: のん
第一章
13/42

12. お父さまへ単振り子の講義 ★

今回は魔法とは関係なく、この世界の物理法則がどうなっているのか調べる実験を行います。

数式と同じように図もPowerPointで作ってます。

そういえば、毎回いろんな文献を参考にしてますけど、参考文献って載せたほうがいいんですかね?


今日は前に2話投稿しているので、読み飛ばしにはご注意ください。

昼食を終えて午後も魔法の練習に勤しみ、夕食の時間。

夕食を食べながら、今日の成果を報告する。


「お父さま、お母さま。魔法の発動、できましたよ。水の初歩魔法しか試してないですが」

「もうできるようになったの? 初級といっても、魔力を感じるところで躓く初心者が多いのだけれど……」

「そこは少しズルをしました。わたしはお母さまのお話を聞いて魔力とは何かということに当たりを付けていたので、呪文を使って魔力を発現させたんです。もっとも、魔力を発現させた瞬間熱となって逃げていきましたが」

「さらっととんでもないことを言うのね……。魔力は何かという問題は長年魔法師間で謎だったのに……」

「そこは、前世の記憶というやつです」

「ふむ……。つまりは、魔力というのは科学、というもので説明できる代物なのだということか?」

「はい、お父様。科学には魔力という概念は存在しませんが、エネルギーという概念が存在します。エネルギーは物体に仕事をさせたり、温度を上げたり、いろいろな役割があるんです。わたしは魔力とはエネルギーの一種だと考えました。そこで、魔力とは血液そのものなのではないかという考えに至ったのです」

「魔力がエネルギーというものってことと、血液がどうつながるのかしら」

「エネルギーには様々な形態がありますが、相互に変換ができます。そして、実は質量もエネルギーの一種なのです。血液という質量を消失させることで莫大なエネルギーとして魔力が得られます。以前お母さまは戦時中に魔法の使い過ぎで亡くなったという魔法師が多量の血液を失っていたと言っていましたよね? これは、血液を魔力に変換しすぎて失血死してしまったものと考えられます」

「なるほどね……。とても興味深いわ。でも、人が亡くなる話はお食事中にすることじゃありませんよ」

「うっ、ごめんなさい……」


叱られてしまった。

ともかく、魔法が使えたことを報告して次の話へ移る。


「お父さま。振り子の実験ですが、今日の夜行う予定ですが大丈夫ですか?」

「あぁ、もちろん大丈夫だ。科学に関してはクレアから伝え聞いたことだけだが非常に興味深い。ぜひとも参加させてもらう」

「では、今日の夜、わたしのお部屋で。あっ、魔法が使えたので、魔法の家庭教師を付けていただけるということ、お忘れなくお願いしますね?」

「わかっているとも。楽しみにしていてくれ。最高の教師を探そう」

「ありがとうございます。お父さま」


そして、夕食の時間は和やかに過ぎてゆくのであった。




―――その日の夜。


「それでは、実験について説明します」


お父さまとわたしは、わたしの自室で振り子による重力加速度の測定実験を始めようとしていた。

振り子による重力加速度の測定は簡単だ。単振り子の長さと振り子の触れる周期を測定すればよい。

ストップウォッチなどはないから、時計で1分間を測定して振り子の触れる数を数え、1分間をその数で割って出そうと思う。


「お父さま。単振り子は振れ幅が小さいときには、おもりの運動は単振動に近似されます。つまり、ほぼ直線を行ったり来たりするということです」

「それはなんとなくわかるな。振れ幅が小さければ円のほぼ直線のところを動くわけだからな」

「その通りです。こちらの図を見てください」


挿絵(By みてみん)


「こちらが単振り子の概略図です。文字が前世のものであることはご了承ください。そちらの方が慣れていますので。おもりの質量を"m(エム)"、重力加速度を"g(ジー)"、糸とおもりの半径を足した振り子の長さを"L(エル)"、鉛直下向きから振り子がどれだけ触れているかの角度を"θ(シータ)"とします」

「わかった」


お父さまに一つずつ文字を指さしながら教える。


「下を向いている赤い矢印は重力になります。おもりに働いています。重力は、おもりの質量と重力加速度の積で表すことができます。また、今は糸などにかかる重力は小さいものとして無視します。斜め下を向いている矢印は、おもりに働いている重力の振動方向への成分です。こちらは三角比を使いまして、mg"sin(サイン)"θと表せます」


この世界でも建築はきちんとされているので、当たり前かもしれないが三角比などは普通に使われているようだ。ただし記号は違うらしい。

わたしはノートに数式を書いていく。


挿絵(By みてみん)


「これが運動方程式と呼ばれる数式です。運動方程式は力学の根幹となる方程式で、物体の運動を記述する方程式になります。こちらの"t(ティー)"は時間、"x(エックス)"は変位になります。この式は微分方程式になっていまして、この"d(ディー)"が微分を意味します。"2(ツー)"は数字の2のことです。二回微分しているということです」

「私は算術も得意だが、微分とは寡聞にして聞かないな」

「積分の逆ですよ。積分は図形の面積を求めるときなどに使うでしょう」

「なるほど」


この世界、面積や体積を求めるために積分は発達しているが、微分はまだのようだ。

元の世界でも一応積分の方が先に発達したと聞いたことがあるから、どこの世界も似たようなものなのかもしれない。


「両辺にあるmは消去でき、微小角の場合sinθはθに近似できます。また、θとLの積は円弧の長さxになりますので……」


わたしはノートに続きの式を書いた。


挿絵(By みてみん)


「となります。この式は、単振動の式で、g/Lの部分が角振動数の二乗になります。よってこの周期"T(ティー)"は……」


挿絵(By みてみん)


「となります。かなり端折ってしまいましたが、これで単振り子の周期と振り子の長さを測定して、重力加速度を求めることができます」

「まだわからない部分が多々あるが……、最終的な式を見れば一目瞭然だな。確かにその2つを求めるだけでその重力加速度が求められそうだ。」


では、実際に実験を始めよう。

長くなったので切りました。多分次回は少し短めになるかも?


アルファベットにルビを振っているのは、お父さま(ジャック)が知らないという前提があるためです。ルビが振ってあるように発音したということを表しています。その他の日本語部分などは、この世界の言葉で話しています。既出の記号に関しては、ルビは振っていませんが我々の世界の発音で話しています。


単振り子の説明、運動方程式を整理した後からかなり端折りました。実際にはちゃんと微分方程式を解いて一般解を出して、角振動数を定義して、角振動数と周期との関係を説明してようやく最後の式が出てきます。

ただ、微分方程式はともかく、単振り子自体は高校物理でも習うので、これ知ってるって方も多いのではないでしょうか。振動波動って、難しいですよね。筆者も高校時代苦しんだ記憶があります。


下の評価ボタンをぽちっとしたいただけたら、筆者非常に喜びます。よろしくお願いします。

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