起床
ファンタジーに行きたいのですが、なかなか思うように進みません。登場人物紹介終わるまでは学園パートです。筆者もそろそろ寝ることにします。
ふぁあ。
今日はいい朝だ。
なぜなら夢を見ることなく目を覚ますことが出来たからだ。
普通の人なら、夢を見た方が楽しそうとか、 夢の方がいい思いができるとか、そんなことを思うのだろうか。
しかし、俺は夢を見るよりも夢を見ない方が幸せであると思う。
俺は大体、夢を見ると何かを失ってしまったかのような感覚に襲われてしまう。決して寝覚めのいいものでは無い。
だから夢を見ない睡眠が俺の心を癒す睡眠方法なのだ。
まぁ、狙って夢を見ないことは出来ないのだが。
比較的レム睡眠の方がはっきりとした夢を見ることが多いらしい。
逆にノンレム睡眠は脳の活動を休めるため、夢の内容は平凡な物が多いのだとか。
ということで俺は睡眠にはうるさい。なるべく脳がしっかりと休むことができるように気をつけているのだ。
俺流睡眠の極意は
一、起床時間、就眠時間を規則正しく守る。
一、食事の時間を決めておく。
一、決まった時間に入浴する。
一、適度な運動をする。
一、寝る前にスマホなどの刺激を避ける。
一、体を保温して眠る。
これらを実践するおかげで、ある程度は睡眠をコントロールすることができるようになった。
まぁそれだけじゃなくて、健康な生活を送ることも出来ている。
そのへんは良かったと思っている。
そんなことを思っていると、階段を登ってくる音が聞こえる。いつもの奴が来たのだ。
「しん兄!もう起きてるとは思うけど、自慢の妹が起こしに来てやったぞー!」
白い生地に青い校章の入った体操服姿の女子が俺の部屋に不法侵入してきた。
「そんなやつは知らんな。自分のことを自慢とか言う妹のことなんか俺は見たことがないな。」
俺は目を逸らす振りをして溜め息をつく。
「こんなに可愛い妹がいるのに知らないとか言うって罰当たりなしん兄だよ!いいから早く起きてきて!」
しん兄と言われたのは俺のことだ。
俺の名前は『夢 心』
夢という苗字は珍しいらしいが、心という名前で漢字二文字でフルネームが完成してしまうことも珍しいのではないかと思う。
今日から高校2年生であり、部活には所属していない。名前以外は珍しいことの無い普通の学生だ。
家族は4人家族。パートをしている母とサラリーマンの父。そしてここにいる自称〝自慢の妹〟である。
「起きてるってば。だいたい希の方が昨日寝るの遅かったのに、何で起きるのが俺より早いんだよ。まだ6時前だぞ。」
妹の名前は『夢 希』
俺より少し語呂のいい名前だが、漢字二文字は変わらない。
今年から中学2年生だ。
名前の通り明るくて前向きなやつなんだが、お調子者であり、鬱陶しいこともしばしば。
「昨日友達とSNSで盛り上がっちゃってー!でも23時頃には寝たよ!僕的には6時間寝れれば体力的には十分だよ!」
そう言って体操服の左袖をまくり、力こぶを作るポーズを取る。
力こぶは出来ていないのだが。ぷにぷにである。
俺がそこを指摘してやると「何キモいこと言ってるの?」と真顔で言われた。
まぁ、中学生女子からこのような事を言われたぐらいでどうもしないが。
挨拶のようなものである。
「むしろしん兄は早すぎる。21時過ぎには寝てるとかほんとに高校2年生なの?若いんだから多少寝なくてもそんなに問題ないと思うよ?」
「そりゃ体力的には問題無いけど、もう習慣ついちゃってるんだよな。お前こそ、早く寝ないといつまで経ってもちんちくりんのままだぞ。」
「ちょっと!だれがちんちくりんだって!?今度の身体測定は去年よりもっと伸びてるんだから!いつか抜かしてやるんだから!」
「ふっ、そのセリフは俺に頭の上をあご置場にされなくなってから言うんだな。」
「しん兄が僕の頭にあごを置いてグリグリするから身長伸びないんじゃないの!?」
ちなみに俺の身長は173cmである。妹の身長は名誉のために秘密にしておこう。まぁ、そのうち公開するかもしれないが。
「それより、いつまでも部屋にいられると着替えられないんだが。」
「むむっ・・・なにさ!しん兄のヘンタイ!早くご飯食べに降りてきてよ!」
妹はからかいがいがある。おかげですっかり眠気も飛んだ。
俺は制服に着替えてそのまま食卓へと向かう。
朝食を終えて妹と一緒に家を出る。向かうのは違う学校だが途中までは一緒だ。
妹と別れて俺は高校の方へと足を向けた。
妹に起こされるっていうのは早起きの妹がいる人しか得られない特権だと思います。