表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
571/572

第五百六話

お待たせしてしまい申し訳ありません!


第五百六話、今回は色々と詰め込んだので少し長めです。

 エルフ族の隠れ里を襲う謎の怪物。

 それ以外に事前情報はほとんどなかったけれど、実際に相対してみると想像していた以上に危険な生物だ。

 なにはともあれ僕とカズキは間に合った。

 カズキを背中に乗せた状態での上空からの治癒爆裂弾での隠れ里周りの怪物の迎撃と負傷者の手当て。そして、治癒感知と治癒同調を用いたエルフの人たちの位置を同化している面々とカズキに共有。

 後は僕が迎撃、カズキが防衛と役割を分担し最も怪物の群れの層が厚いフラナさんのいる場所に単身突撃し、巨大化した怪物と他を対処する。


「ギィィ!!」

「ふん」


 まず飛び掛かってきた小さい個体を右手で掴み、そのまま握りつぶす。

 実体はないことは確認済み。

 泥のような黒い液体となって地面へ滴っていくそれを観察する。


「闇魔法の魔力と似てるな」

『ですね』

『確かにボクとキーラの魔法と似てる』


 だとしたらこれは人為的に引き起こされたもの? こんな大量の怪物をたった一人の魔法で?

 ……こういう時、ネアがいれば助かったんだけれどな。


『ならこいつら相手に手加減の必要はないな』


 フェルムがそう呟くと、腰付近から生えた二つの腕が鋭利な翼のような形状へと変わる。

 カズキの準備が終えるまで、今は隠れ里の防衛が優先。

 ……なんか後ろのフラナさんと一緒にいるエルフの皆さんが「翼が……」「やはり化身……」といった感じの仰々しい呟きが聞こえるけど、誤解は後でちゃんと解いてこう。


『ウサト。考えるよりも目の前の敵に集中だよ』

「……それもそうだね」


 アマコの声で思考を切り替え、森の奥から続々と現れる怪物達を見る。

 大きい個体は起き上がらず……いや、あれは……。


「仲間を食らってる?」

『ふぇぇ……なんですかあの生き物……』


 さっきの僕の一撃で消耗した部分を補うように小さいやつが自分から大きい個体の口に飛び込んでいる。

 共食い……って感じじゃないな。

 そう見えるだけで、融合して補っているように見える。


「「ギァァ!!」」

『ウサト、来る』

「……観察してる暇はないな」


 雄たけびを合図に小型の怪物どもが一斉に襲い掛かってくる。

 それに対して僕は背中に回していた魔力を六つ、闇魔法で作られた二対の腕と、自身の両手に移動し構える。


「治癒六撃弾!!」


 六つの治癒爆裂弾を方向をずらして同時に放ち、視界全ての敵を衝撃波で散らす。

 前にいた群れが一斉に泥へ変わり吹き飛ばされたところで―――背中から魔力を暴発させ、一気に加速し次の群れの先頭にいる個体を拳で撃ち砕く。


「ギッ」


 ばしゃ、と弾けた仲間に微塵も動揺せずに奥に控えた怪物たちが続々と飛び掛かり、それらを拳で全て迎撃する。


「ふぅぅ……!!」


 さっきの爆裂弾で一帯に治癒の魔力が満ちている今、僕に死角はない。

 そしてそれは治癒同調によって治癒感知による情報を共有している仲間たちにも同じことが言える!!


「ギギギ!!」

『不意をつけると思うなよ』

『私達にも伝わっているんですからね!!』


 僕と同じ感覚を共有するキーラとフェルムがマントと背中から伸びる腕が個別に動かし、対処していく。

 キーラが僕の腕力を反映した腕で殴り飛ばし、フェルムの刃のような翼が切り裂く。


『ウサトは目の前から来るやつに集中して大丈夫』


 アマコがいるので僕も安心で背中を二人に任せられる。

 暴発を用いた技は必要ない。


「ギィィ!!」

「ギッ!?」

「ギャァ!」


 絶えることのない突撃。

 でも数日単位で動き続ける救命団員の僕を相手にするにはあまりにも心許ない。

 拳で砕き、手刀で叩き落し、その場から大きく動かない最小限の挙動で対処する。


『ウサト、小さいの囮にして大きいのが襲ってくる。3、2、1……今』


 呼吸を乱すことなく、襲い掛かる小型の怪物を返り討ちにしながら、アマコの声の直後に突っ込んできた怪物の噛みつきを残像拳をその場に残し跳躍して回避。

 そのまま闇魔法のマントで宙へと留まり、治癒残像拳を僕と思って咀嚼している大型の怪物を見下ろし―――背中から一気に魔力を暴発、加速し闇魔法を纏わせた拳をその頭に叩き込む。


「ふん!!」

「ギィィ!?」


 怪物の巨躯が地面にめり込むように叩きつけられる。

 しかし、怯みながらも跳ねるように体を起こした奴はまた僕へと飛び掛かってくる。


「ギィィガァアァ!!」


 これでもかと顎を開いて襲い掛かる奴の攻撃に対し、僕は避けずに真正面から拳を強く握る。


「さっきので理解できなかったみたいだけど、図体はデカくても力はこっちが上だぞ」

『ブルリンがいますからね!!』

『グルァ!!』

『ブルリンいなくても普通に力で勝ってると思う』

『元から怪力だろ』


 子狐と魔族っ子がうるさいぜ!!

 右拳にブルリンの力が上乗せされ、さらに魔力弾が拳に集い―――拳を突き出し一気に解き放つ。


「治癒連撃拳」

「ふん!!」

「ギッ!?」


 拳がぶつかると同時に魔力弾が炸裂、怪物の巨体がひっくり返るように後ろに吹き飛び空へと浮き上がる。


「回復する隙を与えず吹き飛ばす!!」


 その隙を逃さず、右腕を闇魔法で覆い砲身のような形状にさせたソレを無防備な胴体へと向ける。

 それからさらに空いた左手を砲身の側面に作った穴に突っ込み、そこから背中から回した魔力弾を装填する。


「食らえぃ!! 治癒八尺弾!! 連射型だ!!」

『え、なにそれ……』

『怖……』

『わっ、思い出の技ですね!!』


 右腕の砲身で打ち出し、左手で装填する。

 役割を分けることで連射を可能にさせた砲口から3発の治癒爆裂弾が放たれ、それらが怪物の無防備な胴体へと連続して炸裂し、その姿を泥へと変える。


「ギャァァァッ……ァ……」


 空中で弾け飛び、一面に泥が飛び散る。

 でかいのは倒した!! でも、これで終りじゃない!!

 背中のストックはあと4つ!! ぐるん!! と照準を虎視眈々とこちらを狙っている小粒の怪物たちへと向ける。


「化物共がァ!! 誰を敵に回したか教えてやる!!」

『ギ!?』


 「え? 俺?」みたいな反応を返した怪物たちに構わず治癒八尺弾を放つ。

 視線の先で無慈悲な緑の爆発が引き起こされ、怪物たちがどんどん泥へと変わっていく。


「う、ウサト!?」


 背後のフラナさんの慌てた声が聞こえ、僕は咄嗟に返事を返す。


「フラナさん下がってて!! ここは危ない!!」

「迫真のところ悪いけれど、今一番危ないのは貴方!?」

「む! まだそこにいるな!? オラァ!! 炙りだしてやるぜ!!」

「ねえ、お願いだから聞いて!? 皆に貴方のこと説明するの大変になっちゃうからぁ!?」


 木々の後ろに隠れるが、僕の治癒感知の範囲は爆発すればするほど広がりその精度と範囲を増していく!!

 構わず治癒八尺弾を撃ち込み散らしていく。


『ウサト、なにか来る!!』

「む?」


 最後の四発目を放ち一際怪物が集まっているところを吹き飛ばそう―――とした瞬間、予知をしたアマコが叫ぶ。

 瞬間、別のなにかが割って入って放った魔力弾を真っ二つに切り裂き、別のところで爆発させてしまった。


『———!』

「新手か」


 現れたのは、身長2メートルほどの黒い鎧を纏った戦士……に見えるなにか。

 戦士や騎士とも断定できないのは、その節々が獣人とは異なる獣のような姿だったからだ。


「……」


 オオカミのような頭に酷い猫背気味の立ち姿、一際目立つのは柄を鎖でつないだ血のような赤い装飾が施された全体が真っ黒な二刀の曲剣。

 例えるなら、黒騎士状態のフェルムと、闇魔法の衣を纏ったコーガを混ぜたような感じだろうか?

 そいつは……獣戦士は唸るように僕を睨みつける。


『ウゥゥゥ……!!』

「なに、あれ……今まであんな奴出てこなかったのに……」


 後ろにいるフラナさんが驚いているってことは、こいつはさっきの怪物と同じ存在ではないってことか。

 一応、話しかけてみるか。


「なんのために隠れ里を襲う?」

『ウゥゥ……』

「ここで大人しく引いてくれるなら、僕は何もしない」

『ウゥゥ!!』


 言葉が通じるか分からなかったけれど、返答は敵意と威嚇。

 その反応にため息を漏らしながら、隠れ里の上空を軽く見上げる。

 ……あとちょっとだな。


『ウゥ、ウゥゥ!!』

「?」


 僕の前で威嚇する獣戦士の身体が震える。

 なにかするのか? と、とりあえず治癒爆裂弾を放とうとすると、震えた獣戦士の背中から二つの腕が生え、両手の曲剣は禍々しい見た目に変わる。

 そして、頬まで口が裂け真っ黒な怪物のような舌を出したそいつは、威嚇するカマキリのように腕を大きく広げ自分の姿を大きく見せた。


『ウガァァァ!!』

「……はぁ」


 得体のしれない相手の奇妙な威嚇に、ため息をつく。

 そのまま前髪をかき上げ、ぎろりと目の前の獣戦士を睨みつけ、しまっていた背中の二本の腕に一対の翼、同化を強めブルーグリズリーの耳、牙、腕の要素を出す。


「そんな威嚇でこっちがビビると思ってるのかァ!! あ”ぁ!?」

「ヒゥ!?」


 この状況で僕の前に出た時点で隠れ里を狙う何かしらの存在なのは分かりきっている。

 なのに、この期に及んで威嚇程度で僕が怖気づくと思っているだなんて、随分と嘗められたもんだ。

 睨みつけたまま、歩いて近づく僕に奴は怯えるような反応をした後に、慌ててその両手の曲剣を振るう。


「ウゥゥ!」


 動きは荒く、剣も闇雲に振るっているように見える。

 それを目で追って、二つの刃を闇魔法を覆った拳で弾———いた瞬間、不自然な金属音が鳴り響き、僕の腕を覆っていた闇魔法の魔力が切り裂かれ、僕の生身の腕に直撃した(・・・・・・・・・)刃が弾き返される。


「!!!!?」

『くぅっ……なんだこいつの剣!!』


 弾かれたことに相手が驚き、フェルムが痛みを堪えるような声を漏らす。

 僕ではなくフェルムにダメージがいった? 彼女の同化の能力の性質を考えればありえないことだけど……このまま接近するのは危険か!

 すぐに後ろに下がった僕は、彼女の様子を確かめる。


「フェルム、大丈夫か!」

『平気だけど、斬られた箇所に妙な痛みがあった。なんつーか、神経に直接触れられたみたいな……。アマコ、ブルリンはなにも感じなかったか?』


 痛みに悶えるフェルムの声にアマコが「いいえ」と口にする。


『私とブルリンにはなにも。……ごめん、フェルム。ウサトに効いてなかったから警告しなかった』

『単純に意味不明に効いてないこいつが悪いだけだ。アマコは悪くない』

「それはおかしくない?」


 いよいよ敵の攻撃が効かないことに文句を言われはじめたんですけれど。

 でも闇魔法を切り裂いたあの曲剣か。

 どう見ても普通のものじゃなく、その形状も柄を鎖で繋ぐ変わったものだ。


「……もしかして、あれは魔剣か?」

『それって第一軍団長が持っていたっていう……』

「ああ」


 ネロさんが持っていたという特殊な性質を持つ剣。

 切り口に魔力を阻害する呪いをつけるというのが彼が持っていた魔剣の性質だったけれど、あれが魔剣ならなにかしらの能力を備えているということになる。

 でもさっきは確かに僕の生身に刃が当たったのに斬れなかったよな? もしかして魔力だけを斬るとかそういう能力か?


『……フェルム、ウサトの腕を覆う魔力を解いて』

『はぁ!? でもこいつの腕が無防備になるぞ!!』


 アマコの言葉にフェルムが驚きの声を上げる。


『多分大丈夫。ウサトなら平気』

「ああ、アマコのいう通りにしてくれ」

『……分かった』


 アマコも僕と同じ考えに至ったようだ。

 僕の両腕の部分だけ闇魔法の魔力を解き、代わりに右腕だけ(・・・・)に限定して治癒コーティングで覆う。

 フェルムとキーラの魔力を斬らせるのは危険。

 それなら生身で対処し、且つ攻撃に当たらないように動けばいい。

 相手の動きを伺ってから、今度はこっちから突っ込む……!!


「ウッ!!?」


 魔力の暴発による加速で一気に加速。

 接近に相手が身構えたところで、軽くステップを踏み目の前に二つの残像を作り出す。


「ッ!?」


 一瞬とはいえ相手から見れば僕が突然三人になったように見えたはず。

 その隙を突き、一気に踏み込みながら治癒コーティングの施された右腕を構える。


「———ウゥゥ!!」


 だが、それでもなお驚異的な速度で反応した獣戦士は、構えた右拳を意識を向け剣を振るった―――瞬間、最短距離で弧を描くように振るった左フックがその顎を打ち抜く。


「ゴッ!?」


 治癒魔法を囮にした意識の外からの打撃。

 手加減しているとはいえ、その一撃は甲冑の上から衝撃を叩き込み、その脳を揺らす。


「ガ、ァ……!?」

「駄目押しだ」


 体勢を崩したところで拳を腹部に添え、治癒連撃拳をゼロ距離で叩き込む。

 治癒の衝撃波が突き抜け、くの字に曲がった奴の身体から力が抜け気絶したのを確認する。


「訓練の成果を早速生かせたか……」

『剣士からしたらたまったものじゃないだろ。これ……』

『ウサトから素の拳が飛んでくるのってこんなに怖いんだ……』


 そもそもの話、斬られてまずいなら、斬られなければいいだけのこと。

 そして、こいつを相手にまず確かめなきゃいけないことがある。

 連撃拳で魔力は打ち込んだので、身体を支えたまま治癒診断を施す。


「治癒診断」


 瞬時に魔力は相手の全身を巡り、治癒感知によって相手の肉体の情報(・・・・・)を得る。

 治癒魔法が発動するってことは怪物共とは違って生身がある。

 いや、待て……治癒魔法が反応したのが二人(・・)? だとしたらこいつらは———、


『———触らないで!!』

「!?」


 聞こえた声は意識がない獣戦士ではなく、その手に握りしめられた曲剣から。

 少女と思わしき声が発せられた瞬間、曲剣がまるで意思を持つように動きその刃を変形させ、枝分かれするように広がっていく。

 その切っ先の全てが僕へと向けられ突き進んでいく。


「ッ!」


 ヤマアラシのようにこちらへ棘のように向かってくる刃を弾いていくが、どういうわけか僕自身には触れた瞬間に弾かれ、僕が纏う闇魔法の衣とマントに切り傷を刻みつける。


『くっ……ぅ』

『痛っ、なんですか、これ……!?』


 フェルムとキーラの痛みに耐える声に、危険と判断した僕は即座に治癒爆裂波を放ち眼前の剣山を消し飛ばす。

 消し飛ばした先には既に獣戦士の姿もない。

 だが、視界から消えた程度で逃げられたわけじゃない。


「追うぞ!!」

『うん!!』


 治癒感知はまだ広がっている!!

 マントを広げ、すぐさま追おうとしたその時、夜にも関わらず頭上から昼間のような明かりが差し込む。

 空を見上げ、巨大な光魔法で構成されたそれら(・・・)を目にし慌てて後ろにいるフラナさんへ振り返る。


「カズキ! 準備ができたのか!! っ、フラナさん!!」

「え、え、なに!? それに空のあれもカズキが!?」

「今から隠れ里をカズキの魔法で隔離します!! 後ろの皆さんを隠れ里の中へ!!」


 カズキの役割は隠れ里の周囲を取り囲む魔法の砦を作ること。

 それなりの時間と魔力がかかるため、僕はそれまでの時間稼ぎと里周りの怪物の露払いをしてたんだ。


「そういうことだったのね!! 分かったわ!! ウサトはどうするの!」

「僕は里の周りで逃げ遅れた人と、他の怪物を散らしてきます!!」

「っ、お願い!! 皆を助けて!!」

「もちろん!!」


 カズキの準備ができた今、優先すべきは隠れ里の安全!

 目標を切り替え、その場を飛び上がった僕は隠れ里の周囲を旋回しながら治癒の魔力を散布、引っ掛かった小型の怪物を蹴散らし、迎撃に打って出たまま逃げ遅れたエルフの戦士を空から攫うように担ぎ上げる。


「わっ、え、なに!? 食べられてない!? え、飛んでる!?」

「他の人も助けます!! オラァ!!」


 怪物に群がられ今にも食べられそうになっている人に向け治癒魔法乱弾を放ち、散らしてから一気に拾い上げる。

 ———ッ、襲われている人は他にいないか!!

 なら、一旦里へと着地し、既に治癒魔法で傷を癒した二人の戦士を下ろす。


「もう大丈夫です!! 他の人に里の中に退避するように伝えてください!!」

「え、ええ、あ、ありがとう!! 獣人様!!」

「魔族様でしょ! 間違ったら失礼だろ!!」


 僕は純粋な人間です、とツッコミたかったけれど、今の自分が闇魔法を使ったりブルリンの力を表に出しているのでそう思われても仕方がない。

 ぐっと堪えて、再び空高く飛行した僕は、上空のカズキのいる位置まで昇る。

 そこには光魔法で構成された半透明な巨大な板のようなものが、円形に並んでいる。


「カズキ! いいよ!! 怪物どもは蹴散らしたし、皆を里に避難させた!!」

「ああ!!」


 空で巨大な光魔法を形成させていたカズキは、掲げていた両手を地上へと向ける。


光の砦(フォート)!!』


 その言葉と同時に、光魔法の巨大な板が連続で地上へ向けて射出されていく。

 それらは隠れ里の外周付近に続々と突き刺さっていき、怪物達の突撃を遮る光の砦へとなった。


「……っ、ふぅぅ……なんとかなったな」

「お疲れ。カズキ」

「そっちもお疲れ。ふぅ、ウサトがいなかったら大変だった……」


 ひとまず怪物たちの襲撃はこれで大丈夫。

 それを抜きにしても僕が滅茶苦茶に暴れたせいもあってかあれだけ沢山いた怪物達も奥に引っ込んでしまったようだ。


「それか退くように命じられた、か」


 仕方ないとはいえ、さっきの獣戦士には逃げられてしまった。

 でも隠れ里を狙っているなら、遭遇するチャンスはいくらでもある。

 そうでなかったとしてもこっちから出向いて探し出してもいい。


「ウサト?」

「とりあえず、下に降りてから説明す……ん?」


 視界の端に空を飛ぶなにかを捉える。


「カズキ、なにか来る」

「……確認した。でかいし魔物だよな?」


 鳥よりも明らかに大きなそれに若干警戒する。

 ブルリンの嗅覚を反映すると、強者特有の魔力の甘い匂いがするので警戒を強める。


『ちょっとハンナさーん。あれこれ立ち寄るからこんなに暗くなってしまったじゃないですかぁ』

『別にいいじゃないですか。時間もたっぷりありますし、ふふふ、こんなに綺麗な花の種が手に入るなんて……』


 ただでさえ怪物の襲撃を受けていたんだ、この状況で他の凶暴な魔物が隠れ里を襲われるのはあまりにも面倒くさい。


『あれ? なん隠れ里周り光ってませんか?』

『本当ですね。へー、エルフ族の里って夜に光るんですねー』


 憂いを断つべく僕は魔力を暴発させ加速し、右手に爆裂弾を構えながら飛んで近づく。


『なんか緑の光が空に浮いてますね。妖精さんですかね?』

『あんな既視感がありすぎる物騒な緑色で妖精とかあるわけないじゃないですか。……ん? なんだか近づいて来てませんか、あれ?』


 来る空飛ぶ魔物へ接近し———ん?


「あれ? ハンナさんにノノさんじゃないですか」

「「ぎゃぁああああああああああああああああああああああああ!?」」


 雲に隠れていた月明かりが差し込んだところで、ようやく大きな魔物、飛竜のショーンの背中に乗っている魔王軍の元第三軍団長のハンナさんと、以前訓練を施した魔族のノノさんだと気づく。

 至近距離で僕と同じく気付いた二人は、こちらを見てこの世の終わりみたいな顔をした後になぜか迫真の絶叫されてしまうのであった。

闇夜から突然現れるウサトに絶叫する二人でした。

治癒魔法に気を取られた瞬間、意識外からウサトの素の拳が飛んでくるのはシンプルに怖い。



今回の更新は以上となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
神経を直接...フェルムとの同化の天敵みたいな相手だなぁ このまま魔法が通用しなければウサトの素のパワーで相手を殴りまくる恐ろしい未来が!!?
ウサト君なら治癒魔法纏ってなくても魔剣くらいじゃ斬れない気がする笑
やめろウサト それは俺に効く やめてくらあああああああああああああああ!!?!!??!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ