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第四百十話

二日目、二話目の更新です。

前話を見ていない方はまずはそちらをー。

 少しばかり混沌とした状況に陥りながら食事を終えた僕たちは、続けて街中を散策する。

 その際に、フェルムの要望でいくつかの露店で食べ物を買ったりしてあげたわけだが、食べてお腹が膨れたフェルムは同化したまま眠ってしまった。


「ウサト君がお金を使うところを見るのってあんまりないかも」

「あー、確かにあまり使いませんね」


 歩きながら先輩の質問に頷く。

 今回の旅で王国からある程度のお金を支給はされたけど、今日使っているお金は僕から出している。


「特にこれといって欲しいものもありませんし、お金を使う機会もナックとキーラにご飯を奢ったり、ブルリンにあげる果物を買うときくらいですね」

「この人、本っ当にお金使わないわよ。休みの日も訓練してるような訓練バカよ」


 事実だけど酷くない?

 言い訳をさせてもらうと、僕は自分なりの訓練をしたり魔力であれこれするのが趣味みたいなものだ。

 ……これを趣味と理解されないかもしれないけど。


「ふむ、あまり金銭の類を使わないのは分かるな。趣味と言っていいか分からないが、私も空いた時間は自己鍛錬に励んでいる」

「ですよね、別に訓練が趣味だっていいですよね……!!」

「フッ、カロンには無趣味と揶揄されたが、君も同じ考えならば私も間違えていないということだな」

「……ウサトと同じ思考なのは色々と駄目なんじゃ」


 ネアがなにか失礼なことを言っているけど、レオナさんの言葉に強く頷く。

 筋トレが趣味なのは元の世界基準でも珍しくないから、十分普通に聞こえるから実際間違ってはいない。


「そういう先輩はどうですか?」

「え、私? 私も使わないというか……買いに行こうとしても街の人に色々ともらってしまうからね」

「あー……」


 買うまでもなく感謝の気持ちとして渡されちゃうんだよな……。

 僕も同じことをたまにされるからよく分かる。

 感謝されるのは嬉しいんだけど、ただでもらうのは申し訳なくなっちゃうんだよね。


「……ねえ、ウサト君。なんだか周りのお店の雰囲気が変わってきてない?」

「んん?」


 先輩の声に周りを見ると、確かに食べ物とかの露店が少なくなってきている。

 その代わり、小さな魔具や置物のようなものとか……なんというかお土産っぽい商品がたくさん売られているように見える。

 ここはお土産とかそういうものが売られている場所なのかな? と思っていると、不意に足を止めたネアが僕に声をかける。


「あ、ウサト。ちょっとそこに本が売ってるから見てきてもいいかしら?」

「ん、構わないよ」

「じゃ、ちょっと待ってて」


 たくさんの本が並べられた店に向かっていく彼女を見送り、改めて周りを見る。


「ネアが戻ってくるまでここらへんでも見ていきましょうか」

「そうだね」

「うーん、ミアラークとはまた違った賑わいだ」


 たしかにミアラークは市場って感じだったから全然違うな。

 とりあえず一番近くのお店に近づいてみると、どうやら手作りの木彫りのお土産を売っているお店のようで、塗料などで色付けされた鮮やかな商品が売られている。

 その中で動物の人形などもあるけど、一つ異彩を放つものがあった。


「青い馬の木彫りの人形?」

「青い馬ってすごいねこれ」


 全身が青い馬、頭のてっぺんのたてがみは白く塗られていてどこかブルリンに似てる。

 馬を青く塗るなんて結構変わったお店なんだなぁと思いながら他の商品へと目を向けてみると、また興味深い商品を見つける。


「お、これは……」

「どしたの?」


 店の前の筒状の入れ物に差し込まれた木製の剣。

 護身用でもなく木で作られたものではあるけど、その形状は先輩の刀を模したものなのが分かる。


「先輩。見てください。これ」

「おぉ、これは……でも、いざ見ると恥ずかしくなっちゃうね」


 木剣というより最早、修学旅行とかで売っているような木刀ではあるが、しっかりと鍔とか再現してあるし、結構クォリティが高い。


「ここは勇者関連のお土産が売っているのかもしれませんね。あっ、ミアラークの勇者の槍もありますよ」

「え、ほ、本当か? わた……ミアラークのまであるのか?」


 他にも木製の武器とか並んでいるから各国の勇者の武器をなぞらえて作ったのかな?

 あ、サイズが小さくなってるけどカズキの剣も置いてある。

 あとでお土産に買いたいけどかさばりそうだなぁ……って、んん?


「お、おかしいなぁ……すっごい見覚えのある籠手まである……」

「これ作りこみすごいよ。木でできてるけど普通に嵌められる」


 手に取ったのは木を紐で組み合わせた鱗模様の籠手。

 どう見ても僕が以前使っていたファルガ様の籠手があることに頬を引きつらせていると、そんな僕に気づいたお店の人が話しかけてきた。


「お、それに目をつけるとはやるねぇ!」

「すみません、これを使っているのは勇者様ではないような気が……」

「そうだけれど、知名度は勇者様にも劣らねぇぜ? ほら、こいつを見てみろよ」


 と、店員さんはお店の奥から一つの板を見せてくる。

 それは宣伝用の置物かなにかだろうか。

 一メートルほど縦に長いそれには、絵のようなものが描かれており、それを目にした僕と先輩は———、


「「ウッ」」


 ———同時に声にならない悲鳴を上げる。

 か、描かれているのは青い()に乗っている白いコートを着た貴公子(・・・)

 肩には黒色の()を乗せており、右腕には覚えのない()を持っている。

 そして、銀色の籠手を纏った左腕の中には黒髪の……いや、先輩らしき美女がおり、なんかもう色々と耐えられないものがそこにあった。


「いや、待って……この青い馬はまさか」


 お前だったのか、ブルリン……!?

 僕の相棒がカームへリオで馬にされていた事実に震える。


「いやぁ、昨今じゃリングルの勇者との恋仲が噂されている人らしいからなぁ。治癒魔法使いっつってもいろんなところで活躍してる人らしいからよ、これは流行に乗らなきゃ損だろ?」

「ソウデスネ」

「いやぁ、だがいい絵だよな。カームへリオ一の絵師が書いたってもんでよ。 あ、これの小さい写しがあるんだがもらっていけよ」

「アリガトウ、ゴザイマス」


 半ば押し付けられるように手帳ほどの大きさの絵の写しを渡される。

 プラスチックのようなものに挟み込まれ、加工されたそれには最早僕の面影が一つもない貴公子と、まんま先輩が描かれている。

 衝撃が抜けきれないまま、とりあえず木彫りの小さなブルリン(馬)を買った僕たちは一時その場を離れる。


「カームへリオの僕はいったいどうなってんだ……」

「うむ、全然似てないな。これではウサトという名前だけ同じ別人だ」


 通りから近くの路地に移動しうなだれる僕と、写しを見て悩まし気に唸るレオナさん。

 一方の先輩は顔を真っ赤にしながら頭を抱えている。


「ウサト君、すまないぃぃ」

「いえ、これはもう噂が独り歩きしているだけなので先輩のせいではありません」

「だ、だけどこんなっ! ヒロインみたいな構図でいるなんてやばくないかな!?」

「やばいですね……」


 リングル王国側も否定こそはしたのだけど、独り歩きした噂は止められなかったようだ。

 まあ、プライバシーとかなにもない異世界だから権利とかそういうものはあまり意味をなさないからしょうがない。


「これを知ったら率先して僕を煽りにくるやつらがいるのがな……」


 強面共、コーガ、魔王、ちょっと考えただけでも頭が痛くなるメンツだ。

 特に魔王を愉快な気分にさせるのは一番我慢ならないことなのでこのことが伝わらないことを祈るしかない。

 ……まさかここら近辺のお土産屋って僕と先輩関連のものばっかり売ってる?


「ここにいたのねー! 戻ったら誰もいなくて焦ったわよー!」


 内心で戦慄している僕の元にネアが戻ってくる。

 紙袋に包まれた数冊の本を抱えた彼女は上機嫌に隣にやってくると、僕の手元の写しを見て笑い出した。


「ぷ、あはははは!? な、なによこれ貴方!? なんでこんな面白いことになってるのよ!?」

「君もフクロウじゃなくなってるぞ」

「え、嘘!? というよりブルリンも青い馬にされてるし、変な武器も持たされてるじゃない!?」


 なんというか、創作するにおいてノイズになる情報を大衆受けしやすいように作り変えた感がある。

 確かにクマに乗ってフクロウの使い魔を従えているってのは珍妙すぎるのは分かるが、そこまでするなら絵にしないでほしかった。


「これがカームヘリオのウサト。……言うなればウサトもどきってやつね。真っ当に弱そう」

「勝手に僕の偽物を作るな」


 本当こいつは生き生きとしているなぁ。

 未だにくすくすと笑っているネアに肩を落とす。


「あ、じゃあウサトもどきのついでに、これを見て」

「ん? なに? 僕に本を買ってくれたの?」

「記念にね。スズネも見てみなさい」


 紙袋から取り出された本を受け取り表紙に目を通す。

 白を基調にした厚めの本。

 金色の刺繍があしらわれた表紙には題名が書いてある。


「『雷と癒し、運命の旅路』……なにこれ? 小説?」

「なんか五巻って書いてあるけど、長編ものなのかな?」


 五巻って、かなりの長編小説だな。

 本も結構厚いし……ん? 雷と、癒し?


「それ、雷の勇者と治癒魔法使いの恋愛小説よ」

「「がはぁ!!?」」

「ふ、二人ともぉ———!?」


 魔王の一撃よりも遥かに強力なソレを食らい、同時に崩れ落ちる僕と先輩をレオナさんが慌てて支えてくれる。

 な、なんて威力だ……数多くの呪いの精神攻撃を受けた僕さえも一撃で沈むところだったぜ……!!


「なんてものを渡してくるんだ!?」

「反応が気になったから。しかもなにが愉快って内容的にも結構面白そうなのよねー。あなた達が主人公だと思わなければ真っ当な恋愛小説よ、これ」


 割と真面目な顔でぱらぱらと本を捲るネア。

 一方の先輩はレオナさんにしがみつきながら未だに混乱している。


「はわっ、はわわっ、はわわわわっ」

「スズネ、気を確かにっ!?」

「先輩を見ろ!! キャパシティ超えて“はわわ”しか言えなくなってるじゃん!!」


 というより、この本、少なくとも五巻分あるの!? 逆にすごいわ!!

 なにをどう煮詰めたら五巻分になるんだ……?


「でも好都合じゃない。少なくとも勇者集傑祭が始まるまでは貴方がリングル王国の治癒魔法使いだってバレることはないんだから」

「……確かにそうだけど」


 僕は大丈夫だけど先輩のメンタルが耐えられるかどうか……。

 あまり気にしないようにしていたけど、実際このことについて先輩はどう思っているのだろうか? はわわ、していた先輩にもう一度目を向けると、彼女はレオナさんに支えられながら立ち上がっていた。


「……ネア」

「あら、正気に戻ったわね」

「君が行った本屋を教えてくれ」


 混乱を乗り越えた先輩がネアに声をかける。

 ちょっと剣呑な雰囲気を纏う彼女がはやまった真似をしないか心配になる。


「え、どうするのよ? まさか本を燃やすとかいうのは勘弁してね?」

「いや、このシリーズを今から確保してくる」

「「!?」」


 なぜ!? さっきまでグロッキーになっていたのにどうして全巻確保宣言を……!?


「いや、先輩。なに買いにいこうとしているんですか!?」

「ウサト君。これは放置しておくことはできない。たとえ、心が壊れかけようとも……私にはこれを確認する義務がある……!!」

「な、なるほど……」


 そんな覚悟で……っ。

 フッ、と小さく微笑んだ先輩が僕に背を向ける。


「もちろん、やましい気持ちも他意もない……!!」


『口ではああいってるけど、絶対他意あるわよね』

『やましい気持ちもあるな……』


 ひそひそと何かを話しているレオナさんとネアに先輩は振り返る。


「ネア、案内してくれ!!」

「はいはい、後悔しないでよ?」

「二、三度気絶するかもしれないが心配はいらない」

「うん、不安すぎるわ」


 そこまでの覚悟なら僕は何も言わない。

 ネアを連れて路地から出ていく先輩を見送る。


「スズネは大丈夫だろうか……」

「本を買いにいくだけ、と言えばそこまででしょうけど……精神的なダメージは計り知れないでしょうね……」


 自分を題材とした小説を買いに行くんだからな……。

 僕でさえ内容を見るのが怖すぎるくらいだ。


「……君の周りはいつも賑やかだな」

「賑やかすぎでもありますけどね」

「私にとっては慣れなくもあるが、楽しいとも思える」


 僕と並んで路地の壁に背を預けたレオナさんが笑いかけてくれる。


「君の心情的にはどうなんだ?」

「なにがですか?」

「この国で広がる君とスズネの噂について」


 僕と先輩の噂か。

 少し考えてから、レオナさんへ答える。


「この国の人が楽しんでいるのならそれでいいと思っています。魔王軍との戦争のあとですし、娯楽になる話の種も欲しかったんでしょうし」

「むぅ、達観しているな」

「まあ、化け物扱いされる噂が回るよりマシですし、一周回ってもう諦めの極致みたいな心境になっています」

「そ、そうか」


 怖がられる話よりかはまだ笑い話にできるもののほうが遥かにマシだ。

 ……恥ずかしいことには変わりはないけれど。


「でも、実際に僕のことを知ったカームへリオの人たちががっかりしちゃわないか心配ですね」

「そんなことはない」


 ちょっと自虐気味にそう言うとレオナさんが強く否定してきて驚いた。

 目を丸くする僕にハッとした彼女は気恥ずかしそうに顔を背ける。


「あ、いや、その……」

「ありがとうございます。レオナさん」


 僕のために怒ってくれたレオナさんの心遣いを嬉しく思う。

 僕のことを信頼してくれるレオナさんの前で自虐は駄目だったな。

 フェルムとネアだったら「次は恐怖の目を向けられるのよね!?」みたいな雑な扱いをしてくるところだったが、心優しいレオナさんはそんなことは絶対に言わない。

 それを思い直した僕は気まずい空気を変えるべく笑みを浮かべる。


「がっかりされるくらいなら、ここでの印象をぶち壊すくらいに暴れるって選択肢もできますね……!!」

「ウサト……?」

「冗談。オーガジョークです」

「ウサト!?」


 驚くレオナさんに手ごたえを感じる。

 フッ、オーガジョーク、初めて決まった気がするぜ……。


「……リングル王国の勇者と治癒魔法使い」

「「!」」


 透き通るような声。

 小さく、それでいても路地にいやに響くその声の方を見ると、路地の入口に誰かが立っている。

 雑踏を背にしながらこちらを伺う誰かは僕とレオナさんを見て、手を横に振る。


「……失礼。慣れない人込みから逃げた先で、まさか先客がいるだなんて思いもしなかった」

「あぁ、いえ。……どうして僕達を見てリングル王国のことを?」


 肩ほどの長さの明るいオレンジ色の髪をした女性。

 口元を隠すマフラーに首から下を包むコートと、見るからに暑そうな恰好をした女性は、きょとんとした表情を浮かべながら僕の手元を指さす。


「……貴方が手に持っているソレが見えたから」

「あ、これか……」

「私もさっき同じものをもらった」


 貴公子風の僕とそれに抱きしめられる先輩が映りこんだ絵の写し。

 これと同じものを大きなポケットから取り出し見せたことで、僕は内心の警戒を解く。


「……まさかお邪魔?」

「え?」

「こんな人気のない路地で男女二人がいるってことはなにかいかがわしいことを……」

「い、いいいいいかがわしっ!?」

「誤解ですから!! 僕達もここで休んでいたんです!?」


 一瞬で話が飛躍したぞ!?

 また、きょとんとした表情をした女性は「そうなんだ」と無感情に呟く。


「地元の人?」

「え、いや、僕はリングル王国からの観光です」

「私はミアラークから」

「……そうなんだ。道案内をお願いしようと思ったんだけど」


 この人、普通に道に迷っただけなのかな?

 だとすれば僕達と同じ外から来た観光客なんだな。


「でもリングル王国って勇者と治癒魔法使いが有名なところだよね」

「そう、ですね。でも僕は王城のあるところじゃなくて近くの村に住んでいたので、勇者様には会ったことはないんですよね」

「そうなの? すごく強そうなのに」


 ———ッ。

 言っては何だが、基本的に僕は見た目で嘗められる。

 自発的に怖い顔をしている時はそうじゃないけど、今のように普通にしている時は初対面の相手には侮られやすいのだ。

 だけど、この人は……。


「そっちの人もすごく強い」

「こう見えてミアラークの騎士隊に所属しているからな。腕には覚えがある」


 レオナさんはうまく誤魔化したけれど、緊張は高まった。

 悪意も敵意はないけど、得体の知れなさはある。

 表情の読めない女性はなにを思ったのかこちらへ歩み寄り、僕の持っている絵の写しを覗き込む。


「リングル王国……雷の勇者と、治癒魔法使い……ここに来てるから貴方も来たの?」

「え、ええ」

「……」


 みょ、妙な距離感だな。

 少なくとも初対面の僕に対するものではないけど、アマコとは別の意味で感情が読み取りにくい。

 彼女の視線は手元の絵の写しへと向けられており、どこか睨みつけるように絵の中の僕を見ている。


「あ、あはは、他の国から見ると並ばれると不釣り合いに見えてしまいますか?」

「うん」


 直球で言われると普通に凹む……。

 まあ、見た目とか華やかさで考えると見劣りしてしまうのは当たり前だからな。


「……やっぱり、相応しくない」

「え?」

「そう思うでしょ?」


 相応しくないって言われる上に僕自身が同意しなくちゃいけないとかきついんですけど。

 ジッと見てくる女性に言い淀むが、どうやら僕が答えるまで動かないつもりのようだ。


『あ、いた! お姉ちゃーん!!』


 仕方なく答えようとすると、通りの方から少女の声が聞こえる。

 振り返るとそこには目の前の女性と同じ厚手の服装を着た女の子と、頭から全身をすっぽりとフードで覆った黒づくめの誰かがいる。

 お姉ちゃん、と呼ばれた女性は僕とレオナさんから離れる。


「連れが見つかった。邪魔してごめんね」

「あ、はい」

「それじゃ、またどこかで会えたら」


 厚手のフードを被り、その場を離れる女性が見えなくなるまで見送った僕は、改めて周囲を確認しながらレオナさんと顔を見合わせる。


「何者なんでしょうか?」

「彼女が着ていた服の特徴には見覚えがある。あれは、北部の国に見られる服装だ」

「だとすると……」


 ナイア王女が言っていたネーシャ王国から来たのか?

 確かその国も北部の国って言ってたはず。


「もしかしたら、勇者かもしれませんね」

「あちらは確信してはいないようだが、疑念は抱いているかもしれないな」


 でも僕のこと知ったら面倒なことになりそうだなぁ。

 勇者の先輩と比べて相応しくないとか言われてしまったし、次に会うかもしれないと考えると憂鬱な気持ちになってしまう。


「うぇへへへ、戻ったぜウサト君……」

「まったく、この勇者ったらもう……本当に立ったままで失神しかけるとか……」


 と、ここで本屋に行っていた先輩とネアが戻ってくる。

 まるで殴り合いの喧嘩をした後のように千鳥足になりながらもやってきた先輩の腕の中には紙袋に包まれた本の束が抱えられている。

 あ、あれが例の本か……多いなぁ、しかも一冊一冊が分厚いし。

 中身を見るのが怖すぎるが、さすがに先輩にだけ見せるのも悪いな。


「僕も読むの手伝いましょうか?」

「うぇ!? い、いいよ!? ウサト君は読んじゃダメっ!! 君が読むならこれを封印するからっ!!」

「え、は、はい?」


 ど、どういうことだ?

 かつてないほどに慌てた様子で否定してくる先輩に僕は困惑してしまうのであった。

青い馬になってしまったブルリンでした。


今回の更新は以上となります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 青い馬のブルリンWWWWWW てか小説のタイトル見た瞬間察したよねWWW 流石のギャグセンスに脱帽しながら腹抱えて笑ったわ!ꉂꉂ(ˊᗜˋ*)
[一言] ブルリン…青いペガサスとかじゃなくて良かったね。
[一言] まぁフクロウは未だしも、どう擁護してもクマに跨がってドスドス重低音響かせながら現れるのは蛮族感(上半身裸で毛皮纏ってるイメージ)が半端ないですからね(笑)
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