第三百五十九話
お待たせしました。
第三百五十九話です。
廃墟を見つけた翌日。
太陽が顔を出したあたりで活動を始めた僕たちは地面にあるシアの足跡と、保存食の包みに残っていたシアの匂いを頼りに森の中を進むことになった。
「ブルリン、匂いは追えるか?」
「グルァ……」
「微妙か。でも方向だけなら分かる?」
「グルゥ」
「よし、じゃあ頼むぞ」
方向が分かればそっちに進んでいけばいい。
その道中でシアの足跡なりの痕跡を見つけていけばいいので、地面に注意を払わなくちゃな。
「獣人の私だから言えるんだけど、ウサトってブルリンと完全に意思疎通できてるよね……?」
「言葉は通じてませんよ? ただ、なんとなくこいつの伝えたいことが分かる感じです。お前もそうだよな、ブルリン」
「グァ!」
「思いっきり足を殴りつけられているんだけど……」
ナギさんが引いた様子でブルリンに殴られている僕を見る。
……素直じゃないやつめ。
いつもの如く僕の足にクマパンチを叩きこんでくるブルリンにため息をつく。
「昨日感じた視線はない、か」
僕としてもあくまで直感とかそういうものなので正確性はあまりないんだけど。
ローズだったらほぼ確実に分かるんだろうが……僕にはまだそこまで野性的な勘は備わっていないということだろう。
そう呟いているとブルリンの背中に乗っているアマコが声をかけてくる。
「ウサトの感じたものって敵意?」
「うーん、分からない。あったような気がするし、単純に見ていただけかもしれない。……正直、僕の気のせいで済むならそれでいいと思っているよ」
「どうして?」
「襲い掛かってくるようなことがあったら対処しなきゃいけないし、もし相手がここに住んでいる人たちだったら下手に事を構える方が駄目だからね」
今後のためにこの地に住んでいるかもしれない人たちとは良好な関係を築きたい。
「大変なんだね。ウサトが今しようとしていることって」
「失敗したら魔王に詰られるだろうから絶対失敗できねぇぜ……!!」
失敗なんてするつもりはないけれど、僕は魔王に弄られるのだけは我慢できないのだ。
あの人に隙を見せないために最善を尽くしていかなければ。
「……。カンナギ、もしかして魔王からのウサトへの印象って思っていたよりも堅苦しくない感じ?」
「う、うーん。お互いに言葉で殴り合っている感じだった、かなぁ」
「まあ……想像はできる。戦いの最後でも殴り合っていたし」
あの戦いがもうずっと前の話に思える。
もう二度と魔王とは戦いたくないな。
次戦うことあったら絶対僕達に近づかせないような戦法使ってくるだろうし。
「シアは悪魔が所有している魔王の力に引き寄せられている……って考えてもいいんだよな」
「ヒサゴと魔王の関係性を考えるとおかしい話でもない。もしかしたら後世……まあ、今の時代で君達が魔王を討ちそびれた時の保険がシアだって可能性もあるからね」
ナギさんの言葉に思考に耽る。
すると、肩にいたネアが呑気そうに欠伸をしながら口を開いた。
「人間側が勝利しているのに死ぬはずだった魔王が生きているってところで齟齬が生じたのかもしれないわね。その齟齬を修正するために魔王の力の断片を殺そうとしているのかも」
「早く見つけないとな」
悪魔の力は魔王領、魔物の領域合わせて三つ。
一つはファルガ様の元にあって、残り三つが魔王の口ぶりからして人間の領域にあると考えられるけど、あんな傍迷惑なものはさっさと全部回収したいところだ。
「……ウサト」
アマコの声。
緊張の混ざったその声でなにかの襲撃を受けることを悟った僕は無言で籠手を纏い、系統劣化させた治癒魔法を広く放射する。
やや遅れてナギさんも予知で確認したのか彼女も腰の刀に手を添える。
「全員戦闘態勢。エルさん達はハンナさんの護衛を頼みます」
「なにかに追い立てられているみたいに一斉にやってくる。いや、これは……まさか」
連続して予知を視たアマコが僕を見上げる。
「ウサト、私を背中にのせて。狙いは貴方みたい」
「え、どういうことよ? 相手はあく———」
ネアが疑問の声を上げようとしたその時、地面が震えるほどの地鳴りが鳴り響く。
大きな揺れじゃない。だけど、これは沢山の魔物がこちらに走ってきているもの。
「ガァァ!!」
「オオオオ!!」
「ブウウウ!!」
雄叫びとと共に木々をなぎ倒して現れたのは多数の大型の魔物。
種類もまばら、全く統一性のない魔物達に共通する点は、僕達に襲い掛かってくることと———なにかに追い立てられるように突進してくることだ。
このまま大人しくしていれば潰されるのは僕達だ。
僕はこちらに手を伸ばしたアマコの手を掴み、背中に移動させながらマントで守るように覆う。
「密集陣形“三”!!」
『了解!』
僕がそう叫ぶと隊の面々がそれぞれの魔法を組み合わせた守りを固めてくれる。
ウォルさん、ケヴィンさん、セインさんで魔物の突撃から僕たちを守る防壁を作り、ノノさんが防壁の前に特殊な水魔法を放ち足元を不安定にさせ、最後に砂煙を巻き上げたエルさんが魔物の視界を潰すように飛ばす。
短い指示で繰り出された連携技はこちらに敵意を向けて突っ込んできた魔物を混乱させるのに十分なものだった。
「コーガとナギさん、ブルリンは魔物への対処をお願いします!! ハンナさんは部下たちの近くに待機しながら幻影魔法でかく乱!! ヴィーナさんは魔力感知であれこれしてください!!」
「ひぃん、私への指示雑ぅ!!」
多分、思っていたよりも余裕はない。
僕がアマコと一緒に戦った方がいいと判断したのは理由があるからだ。
「ウサト、来たよ!!」
アマコの声の直後に魔力感知に反応!
側面から猛烈な速さで飛び出してきたのは———まるで黒い炎のようなものに包まれた虎のような怪物。
その大きさは5メートルを優に超えるほどに大きく、白の入り混じった黒い揺らめくような姿から見えるその怒りに満ちた瞳は———真っすぐに僕へと向けられていた。
『ガァァァ!!』
「そうか、こいつがそうか!!」
昨日僕たちを見ていた謎の気配の正体!!
そいつが怒りのままにその前足で僕を切り裂こうと振り下ろしてくる。
「甘いわ!!」
『がぁぁ! っ、えぇ!?』
それに合わせて籠手に包まれた右手を突き出しながら脇で挟み込むように抱え、そのまま怪物の突っ込んできた勢いを利用し、そのまま後方へ放り投げる。
「コーガ!! あれの相手は僕がする!! 君はハンナさんを頼む!!」
「おう、任せとけ! ついでにこいつを連れていっとけ!」
コーガの足元から彼の分身が現れる。
僕はすれ違いざまに分身に触れて、分身を左腕に纏わせるような籠手へと変形させながら投げ飛ばした怪物を追うべく魔物の群れの間を走り抜ける。
『ちょっと、ここに来てからの私の扱いおかしくないですか!? 私一応元第三軍団長なんですけど!! なんでか弱い女の子扱いなんですか!!』
『でもハンナさんって肉体的な強度はアマコちゃんと並んで一番下だと思いますよ?』
『ノノ、うるさい!』
あの怪物はいったいなんなんだろうか。
見た目そのものは黒い炎が大きな虎の形をしているように見えた。
「あれは闇魔法か……?」
「ウサト、またなの?」
「はぁ、さすが闇魔法使いホイホイね」
『私と同じ、闇魔法使い……』
背中の子狐と肩のフクロウになぜか呆れられてしまったんだが。
僕が闇魔法使いに遭遇するのは僕のせいじゃないわ!! というよりまだ相手が闇魔法使いと決まったわけじゃないだろ!!
「ウサト、上から来る!」
「ああ!!」
こっちも感知した!
頭上から飛びかかってきた怪物を避けながら、次々と繰り出される前足、噛みつきによる攻撃をいなしていく。
「ウサト、治癒感知のおかげで動きの先読みはしなくていいみたいだから、私は攻撃の挙動の予知と、キーラとネアに指示を出す」
「頼む!」
「怪物が口から炎を吐く。ネア、耐性の呪術。ウサトは衝撃波。キーラはウサトの右腕に変形させたマントを巻き付けて」
アマコの言う通り口を開けた怪物がその口から黒い炎を吐き出す。
治癒魔法破裂掌で炎をかきけしつつ、次に繰り出された前足にキーラの闇魔法を纏わせた手を合わせる。
「ふんっ!!」
力技で大きく前足をのけぞらせる。
その一瞬の隙を突き、左腕に纏わせていたコーガの分身を———大槌へと変えて怪物の胴体に添えるように当て、投げ飛ばす。
『すごい……これが、アマコさんの予知魔法……』
「予知だけじゃないけどね。キーラもうまくやれてるよ」
『ありがとうございます!』
伊達に書状渡しの旅を送ってないからな。
信頼関係もあるし、何よりアマコは予知魔法云々を抜きにして周りをよく見ていてくれている。
さてと、と左手に持った大槌を握りしめながらこちらに威嚇している怪物を見る。
『———ッ!!』
「……言葉が通じるなら攻撃するのはやめてくれ。僕たちは君に危害を加えるつもりはない」
『……』
まずは相手の意思があるかどうかを確認して、可能なら戦わずに済ませたい。
相手が普通の魔物だったらそのまま気絶させてさっさとここを離れればいい。
『……お前』
喋った……か。
やっぱりこの怪物には意思があるということか。
それかこれがなんらかの魔法によって形作られたもので中に誰かがいるとも考えられる。
とりあえず、怪物から響いてくる声はキーラと同じ、年端のいかない子供のような声に思えた。
『ウサト』
「……どうして僕の名前を?」
『白い、おかしな動きをする……危ないやつ』
どういう認識のされ方だァ!!
どうして僕の名前を知られているということは置いといても危ない奴扱いされる意味が分からん!!
「すごいわね。あの怪物、貴方のことをよく分かっているわ……」
「喧しいわ!」
ネアも同意するな!
白いって印象からして僕が団服を着ているからってのは分かるけど、そもそも誰がこいつに僕のことを教えた?
そしてどうして目の前のこいつは僕に敵意を向けている……?
『シア、どこにやった』
「……ッ!」
予想だにしない言葉。
シアの名前を出した怪物に僕は言葉を投げかける。
「君は彼女のことを知っているのか!!」
『お前がつれていったんだろう!!』
どういうことだ……?
途端に声を荒らげ敵意を向けてくる怪物だが、僕達はシアを連れていくどころか今その足取りを追っている最中だ。
でも、目の前の怪物はそう思ってはいない。
『シア、傍にいたのに!! 朝、いなくなった!! その後、お前たち来た!! 怪しい奴! 危ない奴!!』
「ッ」
身に纏う黒い炎をさらに強めた怪物が地面を飛ぶ。
その大きな体躯に見合わず動きはかなりのもので、軽やかに木を蹴り足場にしながら僕へと襲い掛かってくる。
「話を聞いてくれ!」
『うるさい!! 白いやつ!』
攻撃を躱しながら声を投げかけても取り付く島もない。
「あの黒い炎。形を変えることができるみたい。今から三回目の着地で鞭みたいな形にして攻撃してくる」
「炎に触れても問題ない!?」
「物理的に燃えるだろうけど、ウサトの籠手なら普通に掴み取れる」
アマコの予知の情報を意識しながら三度目の着地を待つ。
彼女の予知通り、地面に着地した怪物はその身に纏う黒い炎が揺らめかせ、鞭のような形状へと変え向かわせてくる。
「ウサト、どうすんのよ! 攻撃するの!?」
「今は回避に専念する!! 治癒残像拳!!」
緩急をつけた動きに合わせ、弾力付与により作り出した治癒魔法の残滓をその場に残しながら移動する。
槍のように突き出された鞭は悉く、その場に残された治癒魔法の残滓を貫くだけで僕に当たることはない。
『———ッお前! 動きが気持ち悪い!! ガァ!!』
「範囲攻撃。衝撃波で潰せる」
「ああ!!」
怪物が大口を開けると同時に治癒爆裂波の構えに移り、黒い炎が吐き出される前に放つ。
『なッ!?』
吐き出された黒い炎は本来の威力を発揮する前に衝撃波で吹き飛ばす。
呆気にとられたその隙を狙い———僕はネアの拘束の呪術が込められた治癒魔法弾を怪物の胴体へと直撃させた。
「治癒拘束弾!!」
『———ッ!?』
このまま一瞬で動きを封じて———ん!?
魔力弾をぶつけられ拘束の呪術が黒い身体を侵食しようとしたその時、着弾した部分の黒い炎が怪物から分裂するように引きはがされる。
『それ見た! わたしを爆発させるつもりだろ!!』
「……」
治癒爆裂弾の脅威を認識しているということは、昨日ヴェノムモンキーに襲われている僕達を見ていたか、今日の襲撃のためにけしかけてきたのか?
実際は治癒拘束弾で爆発させる意図はなかったけれど、吸着型の治癒魔法はああやって身体から切り離されて対処されてしまうわけか。
「黒い炎、ね」
「燃え広がるわけじゃないから燃やす対象を選べるって感じね。それに自分から切り離したりもできる」
この多様性は闇魔法っぽいな。
それも攻撃的だ。
「どーすんのよウサト、あれはまともに話を聞くつもりはないみたいよ」
「相手は多分……子供だ」
『私もそんな気がします』
倒せない相手ではない。
能力を察するには闇魔法で作り出した黒い炎を身体に纏うことであの姿になれて、身体能力を飛躍的に向上させている。
そこはコーガの闇魔法と似ている。
「違うのはあいつと違って力任せすぎるってところか」
コーガはパワータイプに見えて技巧派だからな。
そういうところが厄介だったとも言える。
『当たれ!! 当たれよ!!』
「……子供だな」
次々とこちらを狙ってくる鞭をコーガの分身を変形させた大槌で薙ぎ払う。
いや、これは斬った方が早いのか?
そう考えると手に持っていた大槌の形状が勝手に変化し、大鎌のような形になってしまう。
「えぇ!? なんでこんな物騒な形に!?」
『余所見を! するな!!』
「!」
驚く暇もなくこちらに殺到する鞭を、大鎌で力任せに振り回すことでその先端を両断する。
この切れ味は危なすぎるな……。
「黒いマントに鎌……グリムリーパーウサト……」
「誰が死神だオイ」
ネアの聞き捨てならない呟きにツッコむ。
真逆の存在だぞ僕は。
むしろ死神に嫌われている側だ。
危ないので鎌を元の大槌へと戻しながら思考する。
「どうしたものかな……」
このままゴリ押しで治癒連撃拳を叩き込んで中身を引っ張り出すって手もあるけど……さすがにそれはやり方がまずすぎるので却下だ。
「ウサト、あの子。暴走しているから一度大人しくさせた方がいいかも」
『私もそう思います。あの子が闇魔法使いだとしたら、あのまま放っておくほうが危ないです』
「……」
確かにその通りだ。
あの子とシアの関係性は不明だけど、彼女がいなくなって精神が不安定になってしまっている。
「やるしかないか」
やるなら一瞬で気絶まで追い込むしかない。
闇魔法の特性上、これ以上の暴走は危険すぎる。
『がぁぁぁ!!』
しびれを切らした怪物が鞭を飛ばしながら僕へ飛び掛かってきた。
ここは避けるところだけど———あえて前に踏み込んで、大槌で防御するように受け止める。
『このまま押し潰してやる!!』
全体重をかけて僕を押し潰そうとしてくるが……甘い!!
その程度の重さと力じゃ僕を押し潰すには全然足りない!!
「僕の方が強い!!」
「慣れてるけど、ウサトの身体っておかしいよね」
「事実なんだけど意味不明で笑えてくるわね」
『体格差を物ともしてないです……』
『ひっ、なんだこいつ! 声が4つ聞こえてくる!!』
アマコは背中のマントで守っているせいか、この子からすれば僕から4人分の別の声が聞こえてきているんだな……。
『う、うぅ! このっ!!』
「おっと……」
組み合っている状態で鞭が突き出される。
僕は怪物が噛みついている大槌を手放し、後ろへ下がる。
『もうお前! 武器失った!!』
「……ああ、そうだね」
噛みついていた大槌を地面へ捨てたのを目にした僕は最後の説得を試みることにする。
「僕は君に酷いことはしない。だけど、これ以上続けるならその保証はできない」
『やれるものならやってみろ!! 手加減なんて嘘! 追いつめてるのはわたし!!』
「僕達もシアを探しているんだ」
『ッ、シアになにをするつもりだ!!』
話が通じないというより徹底的に僕を部外者として見ている感じか……?
そもそもこの子はシアや僕以外の人間と会ったことがあるのか?
なんというべきか、シアに対する執着が普通のものじゃない気がする。
『シア! うなされてた! 眠りながら苦しみながらお前の名前を呼んでた!!』
「……」
……だったら、なおさらこんなところで無駄な時間を使っている場合じゃない。
その言葉にこれ以上の問答は無意味と判断した僕は、構えを解く。
「……ごめん」
そう謝罪しながら、僕は先ほど怪物に奪われたように見せかけたコーガの分身に指示を出す。
怪物のすぐ隣で元の人型の姿へと変わった分身は、そのまま背中から抱き着くように怪物の背に飛びつき、引きはがされないように変形する。
『なっ、なんだ!? これっ!?』
突然のことに怪物は慌てふためきながらその体を大きく横に振り回すが、しがみついた分身は離れない。
『は、離れろ!! 引きはがせない!? ———ッ!!???』
ここで怪物も見えたのだろう。
分身の背中に取り付けられた治癒爆裂弾に。
『!!!?? やだ!! いやだ! 離れろ!! どっかいけ!!』
分身に取り付けたのは治癒爆裂弾だ。
昨日は囮にするためにつけたけれど、元よりコーガの分身はある程度の指示に従って動くことができる。
つまりはコーガの動きで、
コーガ並みの速さで、
コーガ並みの腕力で、
コーガ並みのしつこさで、
相手を拘束することだって可能なんだ。
「ネア」
「おいたが過ぎたわね。拘束の呪術、発動」
さらに駄目押しの拘束の呪術で分裂すらも妨害する。
動きを封じたところで爆破時間を調整した治癒爆裂弾が破裂する。
「治癒分身爆破」
『———ぁ』
治癒魔法の粒子が拡散され、怪物を中心に衝撃波が放たれる。
黒い炎が周囲へと飛び散り消失した後、衝撃波が起こった中心には一人の、真新しい外套を纏った子供が気絶していた。
『これ、シアさんの着ていた外套です』
「いったい、この子は誰なんだろう」
魔物の領域にいるって時点で正体不明だが、闇魔法使い……それもこれだけの力を扱っているのは珍しいどころの話じゃない。
アマコを背中から下ろし、うつぶせになるように気絶した子供を起こすと——頭をすっぽりと覆うフードが外れ、その姿が露わになる。
「! これは……」
見えたのは魔族の特徴を表す褐色の肌。
しかし角は生えておらず、その代わりその子供……キーラよりもやや年上に見える少女の耳はエルフのように長かった。
『え、魔族じゃ……で、でも闇魔法を使っていましたし……』
「闇魔法を持って生まれた魔族の境遇と、森に隠れ住んだエルフ……なるほど、そういうことね」
魔族、それも闇魔法使いとエルフのハーフ。
予想外すぎる怪物の正体に戸惑いを隠せなかった。
ウサト「僕は君に酷いことはしない」(自動追尾爆弾を設置しながら)
一見地味なコーガの武器分身の応用がかなりえぐいことになってますね。
さすがは友情タッグ技()
今回の更新は以上となります。




