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治癒魔法の間違った使い方~戦場を駆ける回復要員~  作者: くろかた
第一章 召喚、リングル王国
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第四話 訓練日記

 ローズさんに日記を書けと言われ、今日から書いてみる。

 こっちの文字は扱えないけど僕だけしか読めないという点では、秘密にできるからよしとする。

 日々の鬱憤をここに書き記してやるぜー。


訓練1日目


 とりあえず、今日の出来事を綴っていく。

 昨日、トングに地獄といわれた訓練は、思いのほか楽なものだった。

 まずは魔力を感じる事、この作業は簡単にできた。胸の中心辺りに暖かい何かがこみ上げてくる感覚が魔力を感じるという事らしい。その魔力を体外に出す事が、僕が次にするべきことだとローズさんは言った。


 魔力の練習を切り上げた後、次に行ったのはこの世界の知識についてである。

 机に座らされ、分厚い本を渡され唯一言『読め』とだけ言われた。中々無茶なことを言ってくれる先生である。

 僕にこの世界の文字が読めるはずない! と反論したら怒鳴られた。

 ローズさん曰く、勇者召喚された人物には文字翻訳の魔法が自動的に掛かるらしい。半信半疑に本を開いてみると、確かに本の文字が読めたので、とても驚いた。

 改めて、魔法ってすごいって思った。

 この世界には魔物と呼ばれる生物がいるらしい。これぞRPGって感じがして喜びのあまり思わず奇声を上げてローズさんに殴られた。

 すごく痛かった。


 黙々と本を読んでいる内に、この世界には多種多様な種族がいることも知った。

 中には、エルフや獣人など、ゲームにも出てくるような種族もある。

 リングル王国以外にもたくさんの国があることも分かった。主に人間の国ばっかりだけど。

 僕が黙々と分厚い本を読んでいる間も無言で前の席に座るローズさん。

 あの時はプレッシャー半端なかった。


 でも、こんな訓練が毎日続くなら僕もやっていけるんじゃないか?

 トングが僕をかわいそうな奴を見る目で見ていたことが気がかりだけど……


 まあ、明日も訓練頑張らなくちゃな。





2日目


 いっぱいはしった


3日目


 筋肉痛で全身動かなくなるまで走らされた。

 休みなんて与えられない、倒れたらローズさんが僕の体を治して走らせる。

 決してありがとうなんて言わない。だってあの人マジ頭おかしい「脚を鍛えろ、そしたら死なない」とか、「走りながら魔力を感じろ」とか。

 僕はあの人の奴隷じゃないんだ、って言ったら「死ぬ気でやれ、死んだら治す」と言われた。あの人の前じゃ死すら休息にならない。

 次に「僕の足はボロボロです!」ってローズさんに言ったら、無言で太ももの辺りをビンタされた。痛みで転がってると、脚の痛みはなくなっていた。

 「筋肉痛を強制的に治した、これでお前の足は治った。さっさと走れゴミ」……マジやべえ。



4日目


 今日は、他の団員と合流した。

 筋トレの域を超えていた。救命団の訓練というより兵隊の訓練だった。

 変な掛け声を出しながら、全力疾走に近いスピードで走るヒャッハー共。当然僕は置いていかれる。

 そんな僕に掛けたローズさんの声が「おい、遅れている虫がいるぞ?」だった。


 カズキ、助けて


5日目


 僕の心のsosが届いたのか、カズキと犬上先輩が僕の元にやって来た。

 皆は、城で訓練しているらしい。内容は主に剣と魔法とか。

 先生には、魔法使いのウェルシーさんと、軍団長のシグルスさんという人がついてくれるとのことだ。

 ウェルシーさんは知ってるけど、シグルスさんはとっても厳しいけど良い人なんだって。


 あとは、王様の娘のセリアって言うお姫様が、カズキの訓練に良く付き合ってくれるらしい。

 その人も王様と同じで優しくて、先輩曰く、とても可愛らしいお人らしい。




 なにもいえないよ。

 あれ? 僕とカズキ達のいる場所って世界が違うのかな?

 なんでこっちは世紀末で、カズキと先輩は正当派ファンタジーなの?


 僕はなにをしてるかだって聞かれたけど、走ったとだけ伝えておいた。

 皆、疑問に思った表情をしていたけど犬上先輩だけは、僕の脚の部分を見て息を呑んでいた。

 少し触らせてくれって言っていたけど、息が荒かったので無視した。


 皆も頑張ってるんだ。僕も頑張らなくちゃな。



6日目


 今日も走る。

 走ってる時に、手に緑色の淡い光が集まっていることに気付く。

 僕はそのとき思った。「いまこれ必要?」と


 今日もローズさんは、冷血鬼畜ババァ(笑)でした。

 読めないからこそ書ける悪口だね。


7日目


 わるぐち、いって ごめんなさい


8日目


 二日前の言葉を取り消す、治癒魔法すごく必要

 


9日目


 治癒 すごく ひつよう



10日目


 心が荒んでいるのが分かる。

 治癒の魔力を体外に出せるようになってから、どんなに走らされても疲れなくなった。

 日に日にやつれて行く僕……なんだろうなあ。

 もうローズさんって言うのも億劫だな……もうローズでいいや。

 何か脚が痛いけど治癒魔法使えば治った。


11日目


 今日から新しいメニューが加わった。

 腕立て伏せだ。

 とりあえず千回やれといわれたので治癒魔法で癒やしながら淡々とこなす。

 僕の様子に何故かローズは満足そうな顔をした。僕の顔に何かついていたのだろうか。



12日目


 朝から昼まで走った後、夜まで腕立て伏せ。

 それいがいなにも書く事が無い。強いていうなら……なんだか体が軽いなぁ。


13日目


 なにを悟られたのか、体に重りつけられた……すごく、おもかった。

 走っている僕を見て、衛兵の人がドン引きしているところなんて僕は見てない。


14日目


 トングの野郎、僕の昼飯食いやがった。

 あの野郎ゆるさねえ……!


 思えば、訓練開始から二週間。

 あれ、僕って何のためにここにきたんだっけ?


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― 新着の感想 ―
[良い点] ランキングの仕様が変わったので発見できました。 まだここまでしか読んでいませんが、 面白そうなので発見出来てよかったです。 [一言] 正直、 かゆい うまい ぐらい逝っちゃうのかとわくわ…
[良い点] 段々と救命団に洗脳されていってるねぇ [気になる点] やってることすごいキツそうだけど治癒魔法使いからしたらすごい効率的なんだろうな [一言] 筋トレ中に治癒魔法使えば疲労も痛みもなくなる…
2024/01/17 12:55 無駄に長い蔓
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