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今日は雨の日 サイドC


雫が地面に叩きつけられ、泥が道を舞う。

洗濯物が乾かない。

はぁ、と窓の外を眺めていると合羽をまとった大男が家に飛び込んできた。

「土砂降りなのに、ご苦労様。ニール」

「うるせぇよ、手伝えよ、シア」

眉を顰める三番目の兄に、シアは微笑む。

「い・や。あたしはニールみたいに大きくないもの。吹き飛ばされちゃう」

「兄貴にも同じこと言ってやれよ」

意味ありげなニールの言い方を無視して、ポットにお湯を入れてお茶の準備を始めると、ニールは合羽を脱いで髪を犬みたいに振って水滴を落とす。

「ちょっと」

近くにあったタオルを投げると、その身体能力で背後に投げられたそれを簡単に受け止める。

「なんだ?機嫌悪いな」

不意に、言われたことに真っ赤になる。

なんでこいつは。

「そんなことない」

「そういえば、クリス帰ってきたんだったな」

完全にこの同い年の兄のペースで、シアの機嫌は急降下した。

「相変わらず、綺麗だった」

「中身が伴えば王都で玉の輿に乗れただろーに」

言ったあと、こわばった私の顔に気づいているのかいないのか、バカにしたように笑う。

「兄貴のこと、どー思ってんだろーな?」

「そんなこと」

「兄貴は、クリスのこと気にかけてるよな、昔から」

そんなこと、言われなくたって知ってる。

眉を顰めると、ニールはマグカップを置いて、中身を淹れるよう視線を向けてくるのでポットを乱暴に手前に置くと、ニールは気にすることもなく自分で淹れる。


「兄弟っつっても、血のつながりなんてないんだからさー。何をそんな気にしてんのかね?」


うっさい、ばか、大嫌い。


視線で人を殺せるなら殺せる。

なんでニールは私だけ…なんていったら、きっとニールだって私に同じことをいうだろう。


つまりは、気に入らない。

ああ、本当に何から何まで最悪。




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