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家に入ると、元々物は少なかったがいよいよ少なくなっていた。
靴箱やクローゼットにはいっていた靴や服の処分をしてもらっていた。
食器棚や冷蔵庫の中なども処分してもらい、清掃も入った。
鍋類や包丁などは使えそうだったので、そのまま残してもらった。
楓花は、家の中をざっくりと掃除をして、引っ越しの準備をする。
廊下の棚を開けると、トイレの前の棚にびっちりと本が並んでいた。
あらら…失敗した。これも処分してもらえばよかった。
まぁ、本なら一度読んでから捨ててもいいかな…年代物のようだし、少し読んでみよう。
無類の本好きとしては、本ならば無理に捨てなくてもいいかと思ってしまう。
廊下の窓側バスルーム前の広い棚は空だった。
脱衣室の右側には洗面台があり、洗濯機はその横に置くようだ。さらに左側には洗濯物を干す折り畳みのバーがあり、昇降機付きの物干し竿も天井にあった。脱衣室は天井近くに細長い窓があるので、あそこを開けて廊下の窓を開けると空気が通って乾くのだろう。
エアコンもついていたが、洗濯物のために使う気にはならなかった。
マンションで1人暮らししていた時に、浴室乾燥を使って電気代に驚いたことがあった。
寝室にはベッドの枠だけが残されていた。廊下にある椅子とテーブルを寝室へと運んだ。廊下には何もない状態になっていた。
寝室のクローゼットは壁1面分あり、かなり大きい。
服も布団も全て納めても余裕がありそうだ。
そう思ったけれど、捨てられない夫の荷物を段ボールに入れたまま運び込んだ。それを入れたら寝室のクローゼットの半分は埋まってしまった。
うん…結構あったわね。
空いている残り半分に服を仕舞った。
下着類やタオルをいれるプラスチックの引き出しは脱衣室へ置くことにした。パジャマなどの湯上りの一式を纏めて入れた。
ここで一つの問題を見つけた。
寝室のクローゼットには、金庫があった。
金庫の鍵はベッドヘッドにある引き出しに入っていた。
「え?」
その中には、1万円の束が2つ銀行の封印付きだ。それと、木箱に入った金の1㎏のインゴットが3本あった。押し印が入っていて、有名金販売店の物だった。
楓花は結婚前からこの店で金の積み立てをしているが、少額すぎて100gのインゴット2本分にもなっていない。いきなり1㎏を3本…持ってみて、重いな…でも案外小さいなんて思った。
でも、きちんと手続きされているのか不安になる。
まぁ、手続きしたと言っていたし信じておこう。
ベッドのマットレスにシーツを敷き眠る体制だけは整えた。
廊下の空の棚には本を並べた。大半が漫画だったが大切なコレクションだ。高い場所に本を置くのは不安だけど、扉がしっかりとしているので落ちてくることはないはずだ。
楓花はある程度の荷ほどきをして、開け切れなかった箱は各部屋の隅に積んだ。
「はぁ~もう今日はいいかな…。」
家具らしい家具は持っていなかったので、引っ越し自体は午前中だけで終わったが、荷ほどきがやはり大変だった。
食器は一度洗ってから棚へ入れたいのでキッチンに積まれている。食器洗浄機があったので、順番に投入していた。終わったものを拭くのも面倒なので、新しいバスタオルをキッチンに敷いて洗い終わった食器を並べて自然乾燥させていた。後数回で終わりそうだ。
冷蔵庫の中は拭いて、前の家から持ってきた調味料などを入れてあるだけだ。
「疲れた~」
楓花がソファーに座ってすぐにインターフォンが鳴った。
「は~い」
「宅配スーパーです。お荷物を持ってきました。」
事前に手配しておいた食品が届いた。
配達料を上乗せするだけで、スーパー価格で家まで届けてくれるので助かる。前の家でもよく利用していた。
楓花は事故以来、握力が弱くなってしまい。買い物袋を持ち歩くのは苦手になっていた。肩から下げられる物であればいいのだが、手で持っているとふいに落としてしまう。
ペンでも落としてしまうが、治る事もないらしい。
そのために、運んでくれるのは助かるのだが、引っ越し当日でも届けてくれて日常生活が送れるのは便利だと思った。
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