第二話
その不安は、完成に近づくにつれて大きくなっていった。
「クラーケン88AK」の時も、「M009C」の時も不安などなかった。
目的を知らなかった「S-A++」の時も不安などはなかった。
最近、何かあったか?
結婚や離婚をしたわけでもない。
大切な人が他界したわけでも、好きな俳優が引退したわけでもない。
どこにも原因は見当たらないが、不安は募る一方だ。
完成度99.99999AAAAC%…
とうとう、この時が来た。
あと三段階でUntitled-33Fが完成する。
心臓が飛び出しそうだ。
隣の佐藤も同じらしい。
数時間後。
99.99999AAAAA%。
100%。
瞬間、Untitled-33Fの目が光り、謎の液体を出し———
そのまま僕と佐藤は絶命した。
「所長!大変です!」
その様子を見ていた三等研究員が所長室のドアを開ける。
「なんだ?」
「本日完成予定のUntitled-33Fが暴走して…佐藤くんと三条さんが…」
「何っ⁉︎」
言い終わらないうちに所長が立ち上がり、所長室を飛び出す。
Untitled-33Fの部屋で、予想通りの光景が広がっていた。
Untitled-33Fは「空間崩壊粒子」という物質を体内で量産できる生物兵器だ。
「空間崩壊粒子」とは、2千年ほど前に第六新日本帝国が作り出した化学兵器で、空間を腐らせてやがては「無」に変えてしまう恐ろしい代物だ。
しかし、量産が不可能なため、実用化には至らず、第六新日本帝国は滅びた。
目の前には、Untitled-33F以外に何もない。
佐藤や三条の死体さえ見当たらない。
やがて、Untitled-33Fがこちらを見る。
終わった…
そう思った瞬間、二人は絶命。
Untitled-33Fは何もない何かをあとにして、次なるエサを求めて街へ向かった。




