第一話
西暦N年。
第十六次世界大戦末期、追い詰められた第九新日本帝国が恐ろしい生物兵器を開発した。
試験生物Untitled-33F。それが、第九新日本帝国が開発した恐ろしい生物兵器の名前である。
「くそ…ここがなんとかならないのか…?」
第九新日本帝国立生物兵器研究所二等研究員の三条悠が頭を抱える。
僕はいま、内閣からの命令で生物兵器を開発している。
もう、過去に何十もの失敗作が存在する。
自分たちの“子”を失敗作扱いして殺すのは正直どうかしていると思う。
第八新日本帝国やそれ以前の国家も合わせれば数百、世界的には何万もの生物が誕生当日に殺されている。
しかし…
これではいくらなんでもUntitled-33Fの見た目が悪すぎる。
まるで鬼ではないか。
「先輩、まだ見た目に?」
後輩の三等研究員・佐藤尊人が話しかけてくる。
「いや、これだといくらなんでも……………」
「……………」
改めて開発中のUntitled-33Fを見る。
巨大な瞳。
裂けた口。
露出している内蔵。
…鬼というより、怪物だ。
いや、それ以上かもしれない。
流石に見にくいと思ったのか、佐藤も黙って作業を続ける。
しばらくして、今日の分の作業が終わり、佐藤と二人で帰る。
ふと話題が途切れ、佐藤がある話題を持ち出してくる。
「先輩… Untitled-33Fって、…なんの兵器なんですかね?」
「さあ……」
言われてみれば、そうだ。
どんな能力を持つのか、全くと言っていいほど言われていない。
上に聞いてみても曖昧に誤魔化してくるだけで、何もわからない。
Untitled-33Fはいったいどんなやつになるのか?
その日から、僕はそのことにかすかな不安を覚え始めた。




