1話 都市化してしまった偶然
偶然とは ふと思いがけず
他のものとの因果関係がはっきりせず予測できるような物事が起こらないこと
必然とは かならずそうなるに違いないこと
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
10月〇日朝
「ここ鶴町では新しくデパートが建設されるようになり 建設協力者にはなんと最羽原財閥が携わっており……田舎のようだった町が年を重ねるにつれて都市化になっていき……観光客も増え続ける一方です……この都市化の背景にはID高校が関係して……」
……変わった街が映るテレビを横目に、パンを一口かじった。
元は静かで、田んぼと少しの店しかない町だった。
理髪店とBARが一軒ずつあるくらいの、どこにでもある田舎。
それが、たった四年で――東京にも引けを取らない都市になった。
原因は分かっている。
ID高校という、私立学校のせいだ。
私が通っている偏差値の低い高校の隣に、
なぜか姉妹校として設立されたその学校は、
「個性や能力を伸ばす」という建前のもと、
実質は金持ちしか通えない学校だった。
資産家、社長、財閥の子どもたち。
そんな連中が田舎に集まれば、どうなるか。
田舎になれない金持ち達が住みやすくするために、建設は進み、人は流れ込み、町は変わった。
正直、話を飛躍しすぎていると思うが 事実である
小学生の頃の私が聞いたら、
きっと驚いて固まっていただろう。
そんなことを、少しだけ想像した。
私は少し不便な田舎が住みやすくて好きだった。だがそれもこうして変わっていってしまった。
あの理事長がこんな所に来なければな……と出来てしまった偶然を少しだけ恨んだ
「……ご馳走様でした 。 早く支度して行こ」
早々に支度を済ませ 誰もいない家に いってきますと一言置いて学校に向かった
元は父と母と妹の四人暮らしだったが ある日突然 家に誰も帰らなくなってしまった
まあ家族が嫌いだったのでこの話はどうでもいいが、
「電車に遅れちゃう……」
私は急ぎ足で駅に向かった
――――――――――
毎朝通りかかる飲み屋街を歩いている。酒の匂いと生ゴミみたいな匂いが混じって息がしずらい場所だ。毎日通っているので多少は慣れたがやはり少し気持ち悪いと感じる。
飲み屋街でもここは人があまり通らないのでよくある朝にゴミ収集場所で寝ている人なんかいないわけで……
「……ぐぉ……んがっ」
溜まったゴミ袋の上で寝汚い大柄な男性が横たわっていた。……なんだか妙に姿勢が整っている気がする。なんで……?
まあたまにはこういう人もいるだろう。そう自分に言い聞かせた。
電車に遅れそうなので、その場を後にしようとした。
「……なあ嬢ちゃん。酔っぱらいがこんな所で寝てんだ 心配のひとつもくれないのかい」
さっきまで寝ていた男が目を開いて私に話しかけてきた
「……ひっ、起きてる…… あ、あの気持ちよさそうに寝ていたので、そもそもそんな人いっぱいいますし、あの……」
驚いて情けない声を出してしまった。恥だ…。
「、ははっ、まあなそんな輩はこの街に溢れかえってるもんなぁ 。まあ悪りぃが起こしてくんねぇか 体痛くて動けねえんだよ」
「え、は、はあ……分かりました、」
男の近くに行き肩を持ち上げ起こそうとした。近くに行くと濃い酒の匂いとゴミの匂いが混じって気持ち悪くなった
(……うぇ気持ち悪……早く駅に行きたいのに…なんなんだこのおじさん)
だが引き受けてしまったものはしょうがないのでなるべく優しく引き上げた
「っと…… あんがとな嬢ちゃん、あとは俺一人で帰れるから、」
そんなことを口走った矢先に躓きゴミ袋に顔を突っ込んだ
「え、えあの……大丈夫ですか……」
「お、おう、大丈夫。ほらちゃんと立って歩け、 ボフッ」
立つものの千鳥足なので全く歩けていない様子。しかもずっと転んでる、それに顔色も悪いような気がした。仕方ない……
「あの、良かったらご自宅まで送ります。危ないので、」
「お、ほんとか嬢ちゃん助かるぜ……」
そう言って再び肩を持ち上げ起き上がらせそのまま歩いていった。近いので匂いが直接鼻に来て 率直にいえば死にそうだった
。だが言ってしまったので早く送り届けようと考えた。
「なあ嬢ちゃん中学生か」
「は、え高校生ですけど……」
静かにしかめっ面をした。確かに身長は低いし童顔ぽいが……失礼じゃないか
「おお、そうか 。じゃあ登校中だったよな悪いな、こんな酔っ払ったおじさんの介抱してもらってよ」
そう思うなら少しは遠慮して欲しい…。などとうだうだ考えてた
「あのご自宅って何分くらいで……」
「おいそこのガキとじじい止まれや」
飲み屋街を抜けようとした途端チンピラのような格好をした三人の男に道を塞がれてしまった
「ひっ、あ、あの何か用ですか……」
「決まってんだろ金だ 金目のものを寄越せ」
「え、ないです 。あの体調悪い人いるんで、勘弁してください」
「ならもう死ぬしかねえな 悪いな」
頭が真っ白になった。どうしようどうしようと頭を駆け巡る
私一人ならどうにか逃げれるかもしれなかったが、まともに歩けない大柄の男性を抱えたまま逃げられない。
(なんで、いつも誰も通らない道なのにこんな時に限って…!)
慌てて考える私を横目に、男が低い声で口を開いた。
「……なあ。金置いたら、見逃してくれんのか」
「あぁ? 当たり前だろ。あるならさっさと置いてけや」
「じゃあよ。――俺を倒したら、持ってけよ」
一瞬、空気が止まった。
「あぁ? おいじじい、酒飲みすぎて頭イカれたんか? ははっ」
何を言っているんだ、この人は。
まともに歩けないくせに、何を――。
そう思った次の瞬間、男は羽織っていたジャケットを無造作に脱ぎ捨てた。
地面に落ちる布の音が、妙に大きく聞こえる。
重心を低くし、肩の力を抜く。
さっきまでの酔っぱらいとはまるで別人の立ち姿だった。
「危ないから下がってろよ、嬢ちゃん……って――」
男が一瞬だけ視線を巡らせる。
「……あれ。いなくなったな」
…何を言ってるんだこのおじさん、私はここに 、_
「はは、見捨てられたな。じゃあ遠慮なくいくぞ、じじぃ」
次の瞬間。
男は地面を蹴った。
踏み込む音すら遅れて聞こえるほど一瞬だった。
拳が振り抜かれ、乾いた衝撃音が路地に響く。
「――っ、が……!」
最初の一人が、身体ごと吹き飛ばされるように倒れた。
ゴミ袋に背中を打ちつけ、地面に転がる。
「、カハッ……なん、だお前……」
呻き声を上げながら睨みつける男に、彼は鼻で笑った。
「はっ。それで終いか?
なあ、お前ら二人も、とっとと来いよ」
「ちっ……くそ、いくぞ!!」
二人が同時に距離を詰める。
だが――
一人が腕を掴もうとした瞬間、男はその勢いを利用して体を捻り、肘を叩き込んだ。
鈍い音と共に、男が崩れ落ちる。
もう一人が背後から殴りかかる。
それを察したように、振り向きざまの蹴り。
――ドン、と空気が震えた。
「ぐっ……!」
二人目も地面に伏した。
ほんの数秒。
息を切らす様子すらない。
路地には、倒れた男たちの呻き声だけが残っていた。
「ふぅ……体が怠くて、まともに動けねぇと思ったが……口ほどにもねぇな、こいつら」
そう言い捨てた、次の瞬間。
「ちっ……くそ!!」
蹲っていたチンピラが、こちらに背を向けて走り出した。
「あっ、おい、待て!!」
その瞬間、私は反射的に駆け出していた。
逃げ出した男の背に手を伸ばし、掴んだのは服の裾。
「――っ!」
勢いのまま引き戻すと、男はバランスを崩して前のめりに倒れた。
「ふ、ふぅ……危な……」
自分まで一緒に転ぶかと思ったが、上手くいったようだ。
「なんだ、嬢ちゃんいたのか。てっきり逃げたのかと思ったぞ……」
「え、あの…おじさんの隣に…居ました見えてなかったんですか…? 」
「……そうだったのか……?」
男は一瞬きょとんとした顔をしたあと、ふっと笑った。
「ははっ、なあ嬢ちゃん、名前は――」
そう言いかけた途端、男の顔色が急に真っ青になった。
そして次の瞬間、私の目の前で盛大に吐き出した。
――今日、学校に行けるかな。
そう考えながら、私は半ば諦めたように息を吐いた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿です。
セリフ回しや文章など、拙い部分が多いと思いますが、読んでいただけて嬉しいです。
文章はまだまだ勉強中のど素人ですが、楽しみながら書いています。
更新は不定期になりますが、続けていけたらと思っています。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。




