門番の仕事
短編です。
俺は門番だ。この城に侵入を試みる者たちからの侵攻を防ぐのが俺の役目だ。しかし俺は、いったい何からこの門を守っているのだろうか。
というのも、俺がこの、西門の門番になってから、すでに十年が経過しているが、一度も侵攻を受けたことがない。それどころか、この門を通る人間を見たことがない。
朝に起きて、夜の守護の者と交代して、昼には昼の守護の者と交代する。つまり俺は朝から昼までしかこの門の前に立たない。完全なルーティーンと化している毎日を送っている。それに、この仕事は毎日じゃない。俺と同じ時間帯に門番として守護をつかさどる者がもう二人いる。そいつらと交代でもあるから、基本的に俺は二日に一度この門の前に立つだけで良いのだ。
最初は、門番という仕事にやりがいを感じていた。侵攻を受けた際に一番にこの門を守るために動くのが俺たちだ。しかしこの門は、正門ではなく裏門に位置しているし、こちら側の門に続く道をずっと進んでも、崖の先に海があるのみだ。そしてその海からの侵攻者が来たことは、俺がここに立つようになってから一度もない。いつも同じタイミングで門の反対に立つ奴に聞いてみたが、俺と変わらない時期に配属されたから、新しい情報はない。
今日もどうせ誰も来ないのだろう。正門の奴は俺と同時期に門番になったらしいが、年が明けてたった三か月で十人の人間を捕らえたのだという。
俺だって、侵攻する者があれば、得意の剣術で怪しい奴の一人や二人ねじ伏せてやるのに。
と、いつもの妄想にふけっていると、隣に立つ男が槍を構えた。音を聞いて俺も慌てて槍を構える。俺にはまだ隣の奴が見つけたらしい怪しい者を視認できていない。しかし隣の男は明らかに誰かに向かって大声を出した。
「おい、そこのお前!何者だ!?」
何者かを問うということは、もうかなり近くに来ているはずだ。俺にはまだ見えない。しかし隣の奴が冗談を言っている様には見えない。俺は一か八か、そいつが叫ぶ方に向かって槍を振り上げた。
「止まれ!怪しいやつめ!」
力いっぱい振り下ろすと、砂に槍の先端が飲み込まれる感触があった。
困惑したまま隣を見ると、男はいなくなっていた。
「え・・・あれ?」
それどころか、今の今まで守っていたはず門すらなくなっている。おかしい、確かにここに門があったはずなのに、城下町まで見えていたはずなのに。
持っていたはずの槍も、なくなっている。
心臓がドキドキと早鐘を打っている。
俺は一体何を、何から守っていたんだろう。
俺は一体、何をしていたんだ。
俺は、俺とはいったい、何者なんだ。
——守りたかったもの:自分——
正しい判断って何なんでしょうね。




