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門番の仕事

掲載日:2025/12/28

短編です。

 俺は門番だ。この城に侵入を試みる者たちからの侵攻を防ぐのが俺の役目だ。しかし俺は、いったい何からこの門を守っているのだろうか。

 というのも、俺がこの、西門の門番になってから、すでに十年が経過しているが、一度も侵攻を受けたことがない。それどころか、この門を通る人間を見たことがない。

 朝に起きて、夜の守護の者と交代して、昼には昼の守護の者と交代する。つまり俺は朝から昼までしかこの門の前に立たない。完全なルーティーンと化している毎日を送っている。それに、この仕事は毎日じゃない。俺と同じ時間帯に門番として守護をつかさどる者がもう二人いる。そいつらと交代でもあるから、基本的に俺は二日に一度この門の前に立つだけで良いのだ。

 最初は、門番という仕事にやりがいを感じていた。侵攻を受けた際に一番にこの門を守るために動くのが俺たちだ。しかしこの門は、正門ではなく裏門に位置しているし、こちら側の門に続く道をずっと進んでも、崖の先に海があるのみだ。そしてその海からの侵攻者が来たことは、俺がここに立つようになってから一度もない。いつも同じタイミングで門の反対に立つ奴に聞いてみたが、俺と変わらない時期に配属されたから、新しい情報はない。

 今日もどうせ誰も来ないのだろう。正門の奴は俺と同時期に門番になったらしいが、年が明けてたった三か月で十人の人間を捕らえたのだという。

 俺だって、侵攻する者があれば、得意の剣術で怪しい奴の一人や二人ねじ伏せてやるのに。

 と、いつもの妄想にふけっていると、隣に立つ男が槍を構えた。音を聞いて俺も慌てて槍を構える。俺にはまだ隣の奴が見つけたらしい怪しい者を視認できていない。しかし隣の男は明らかに誰かに向かって大声を出した。

「おい、そこのお前!何者だ!?」

 何者かを問うということは、もうかなり近くに来ているはずだ。俺にはまだ見えない。しかし隣の奴が冗談を言っている様には見えない。俺は一か八か、そいつが叫ぶ方に向かって槍を振り上げた。

「止まれ!怪しいやつめ!」

 力いっぱい振り下ろすと、砂に槍の先端が飲み込まれる感触があった。

 困惑したまま隣を見ると、男はいなくなっていた。

「え・・・あれ?」

 それどころか、今の今まで守っていたはず門すらなくなっている。おかしい、確かにここに門があったはずなのに、城下町まで見えていたはずなのに。

持っていたはずの槍も、なくなっている。

心臓がドキドキと早鐘を打っている。

俺は一体何を、何から守っていたんだろう。

俺は一体、何をしていたんだ。

俺は、俺とはいったい、何者なんだ。


——守りたかったもの:自分——


正しい判断って何なんでしょうね。

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