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ニケ伝説 (8) 海賊王ドン・ベッテュル

帝国の船を沈めたニケだったが……



「がっはっはっは! 空から舞い降りし勝利の女神かぁ! 俺らぁにも運が向いてきたじゃあねぇかぁ! がーっはっはっは!」


アタシはニケ。15歳。


今、とても困ってる。


それというのも、少しだけ話をさかのぼるんだけど……


ゼラセから依頼された仕事で、エウローン帝国の帆船を撃退したんだけど……


そのあとゼラセたちがエウローン帝国兵を全部捕まえたんだけど……


その報告をするって、"オヤジ"のところに行くって言ったんだけど……


アタシもついてこいって言われたから行ったんだけど……


「んで、ゼラセェ、何人捕まえたってぇ?」


「ああ、オヤジ! 24人だ! すげぇだろ!」


「がーっはっはっは! 快挙じゃねぇか! こりゃ宴会だな! 宴会! んでぇ、女神サマは何がお望みだぁ?」


その"オヤジ"ってのが、この邑の支配者"海賊王ドン・ベッテュル"だったんだ。


ゼラセは、ビッケでは海賊姫って呼ばれてる、ドン・ベッテュルの一人娘なんだって。


こういう感じの人、なんていうんだっけ? 豪快? こんな感じの人、初めて会った。


だからアタシは今、とても困っている。


「えっと、女神なんかじゃないけど……。望みっていうなら……アタシはセンタロストに行きたくて。」


アタシがそういうと、ドン・ベッテュルの目がギラりと光った。


「ほーう。"海の果て"に行きてえってか。そうかぃ……」


海の果て……? なんか、遠そうだな。


「ゼラセよう、どう思う?」


「いやぁ、帆船相手にゃ無敵だとは思うがなぁ……ミドガルズオルムに出くわしたら……どうだろなぁ?」


「ふーむ。神の力なんてぇモンは、俺らぁにゃ判断は出来んてか。ま、しゃあねぇな。」


「ミドガルズオルムって、なに?」


「おー、アースガルズの女神サマが知らねえってか。"神界からの贈りもの"らしいがなぁ。ひと泳ぎするだけで津波を起こしちまうような海の神だな。まぁ、普段は死海ってぇ海域にいるからよ。この辺りはよっぽど大丈夫なんだがよ。」


アタシの質問にドン・ベッテュルが答えてくれた。


「そうそう。センタロストともなりゃ遠いからな。ヤツの気まぐれに巻き込まれねぇとも限らんよなぁ。」


うーん。アタシ、アースガルズ出身だけど……全然知らないや。


そういえばレイが少し言ってたかもなぁ……。


アズリア神族の贄でしかないアースガルズの人間たちには、余計な知識を与えないようにしてるんじゃないか、って。


だから、戦って死ねという宗教しかなかったんじゃないか、って。


「まぁよ、勝利の女神サマの強さがもっとハッキリしたんならよ……俺らぁも伝説作りにいくかぁ! 幻の島、上陸つってなぁ! がっはっはっは!」


ドン・ベッテュルは、そう言って笑った。

ついにセンタロストへの道が……?

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