ニケ伝説 (5) お願い勝利の剣!
海賊に囲まれてしまったニケだったが、謎の美女が現れて……
アタシはニケ。15歳。
今、とても困ってる。
それというのも、少しだけ話をさかのぼるんだけど……
仕事があるって聞いてやってきた、海賊組合ってところ。
中に入ったら、さっきアタシを追っかけてきた人たちがいて、囲まれちゃったんだよね。
で、しかたなく、アイギスを起動して盾を出したら……
お嬢って呼ばれてた美人が来て……
「アタイはゼラセってんだ! アンタは?」
「ニケだけど……」
建物裏にあった広場に連れてこられて、"決闘"だって。
いや、アタシ仕事探しに来たんだけどな?!
早くこの星出てレイを探しに行かないとなのに……
決闘なんかしてても、お金もらえな――
「よぅし、ニケ。アタイに勝てたなら、いい条件で雇ってやるぜ? ……さぁどう――」
「あ、やる。やるよ!」
「お、おん。どうした急に……」
「え……だって、いい条件で雇うって、お金くれるんだよね? アタシどうしても行かないといけないところあるから! やる!」
「ほぉー。そうかい。じゃ、まぁその辺の話は後で聞くとして……行くよォォー!!」
ゼラセって美人の持ってた武器は、右手に斧、左手に曲がった短い剣みたいなのだった。
「アイギス! お願い!」
カッと一瞬だけ光って、アイギスは形を変えて、くるくると回る盾が2枚、空中に浮く。
「おぉ……! マジでアンタ何モンなんだよ!」
――ガィン!
ゼラセの攻撃を完全に防いでくれるアイギス。
やっぱりレイはすごいよね。神様って皆こんなこと出来るのかな。レイだけなのかな。
――ガィン! ガィン!
「チッ! クソっ! なんだコレ?! 追ってきやがる!」
あ、決闘中だった。
んー。これ、使って大丈夫かな。人間相手に使ったことないんだよな……。
んー。レイなら多分、"まぁいいか"って言うよね。
「勝利の剣! お願い!」
「……は?!」
勝利の剣は、"自動追尾剣"だっけ。
レイの言うことは時々難しいからな……。
とにかく、空中に何本か光の剣が出て、敵に向かって飛んでいく剣。
化物相手だと、すぐ治っちゃってあんまり意味なかったけど、"人間相手なら無双できるぞ"……ってレイが言ってた。
さぁ……アタシはレイを探しに行くんだから……
「行って! 勝利の剣!」
バラバラっと広がる無数の刃が……
「おああああ……?!」
ドドドドっと、ゼラセを襲って、ゼラセは転がりながら必死で避けてる。
地面に突き立っていく刃。
「ま、まてまてまて! やめろやめろ! 降参! 降参だ!」
「え?」
「雇う! 雇うから!」
「あ、うん。」
こうして、アタシの新しい仕事が決まった。
ようやく仕事にありついたニケだが、はたしてその内容とは……?