ニケ伝説 (4) 海賊組合……?
街の人に聞いた海賊組合に素直に向かったニケだが……
アタシはニケ。15歳。
今、とても困ってる。
それというのも、少しだけ話をさかのぼるんだけど……
街の広場に空から降りたって、情報収集した。
国の名前とか、星の名前とか、色々わかって、それはよかった。
よかったんだけど。
お金を稼げる場所を教えてもらって、ここに来たんだよね。
海賊組合。
ほんとに教えてもらった通りに、大きめの建物だったからすぐ分かった。
そこまではよかったんだけど……。
「おぅ、てめぇさっき密航してたやつじゃねぇかぁ」
「くくく……。堂々とここに来やがるたぁなぁ……!」
「探す手間ぁはぶけたぜぇー」
さっき、アタシを追っかけてきてた人たちがいたんだよね。
やばい。これはやばい。
アタシは今、とても困ってる。
「つーかよぉ、嬢ちゃん。てめぇ何モンだ?」
「えっ?」
「空……飛んでなかったか?」
「ああ……うん。だって……追われたし……逃げようって……」
「いやいやいや……そうじゃねぇだろ?! 逃げようってじゃねぇ! 空飛んでた話だ!」
「えっ……?」
あ、どうしよ。
レイは、能力はあまり人に言わない方がいいって言ってたよね……。
隠しておいた方が有利……なんだっけ?
「おう、野郎ども! 囲め!」
「「「おぅよ!」」」
あっという間にまた6人に囲まれてしまった……!
あー! ま、まずいかも……!?
「アイギス! お願い!」
「うおっ……?!」 「矢が防がれたの、それか……!」
「な、なんじゃこいつぁ……」「神の遣いか……?」
くるくる回りながら浮いている2枚の盾。
これなら、この人たちがなんかしてきても……大丈夫!
のはず! 人間の攻撃くらい何ともないって、レイが言ってたし!
それに、化物の攻撃も、なんとか防げたしね。
「アンタたち! 何騒いでんだい!」
「あ、お嬢。」
奥の部屋から、女の子が出てきた。
威勢のいい声、高い背、かちっとした身体、キリッとした美人で、それに……大きな胸。
うぅっ……どうしたらあんな風に……?!
「い……いや、お嬢、こいつ、今日俺らの船に密航してやがったんでさぁ。」
「そ、そそ、そうなんすよ! んで、接岸前に見つけたんすけど……」
「あぁん? んで、なんだよ?」
お嬢と呼ばれた綺麗な人は、眼力がすごくて、男の人たちはプルプルしながら少し小さくなっていた。
「いや、捕まえようとしたんでさぁ。したら、空飛んで逃げやがって……」
「は? 空……飛んで逃げた……? のわりに、なんでここにいんだよ。」
「いや……知らねぇっすよ。何だか入って来やがって……」
「ふーん。おい、アンタ。」
その女の子は、こっちを向いた。
「名前はなんてんだ? 何しにきた。」
「えっと、アタシはニケ。ここに来たら仕事があるって聞いて……」
「ほぉう。」
その女の子は、ニヤリと笑った。ちょっと怖い。
どうやらニケが思っていたようには進んでいないようだ。