ニケ伝説 (2) 情報収集はあーるぴーじーの基本
レイリィを探すことを決意したニケだったが……
「おぅらぁー! 待てやこらぁー!」
アタシはニケ。15歳。
今、とても困ってる。
それというのも、少しだけ話をさかのぼるんだけど……
タラリアで空に浮いていたアタシ。
見慣れない空を見ていたけど……
ずっとそうしてるわけにもいかないし、ここがアースガルズじゃないってのは、なんとなくわかったし、とりあえず降りられるところを探そうと思ったんだよね。
レイはいつも言ってたから。
やれることをとりあえずやる、わりとだいじ……って。
だから、アタシ……
地面に降りようと下に下にと……降りて行ったんだけど……
なんか、大きな水場だったんだよね。
泉なんかより全然大きくて、近くに足場はなかった。
すごく困ってたら、舟っぽいのがあったんだ。大きいやつ。
だから、そっと降りて、なんか中は広そうだったから、休めそうなところを探して見つけて……
疲れてたし、ちょっと寝てたんだけど……
「おらぁー! 密航なんざぁしやがってー!」
なんか、舟? の人に見つかって、今……すごく追われてる。
アタシ、なんか悪いことした?!
「おぅらぁー! 海の男なめんなよー?! 野郎ども!」
「「おう!」」
うわ! なんかたくさんきた!
えっと、いちにーさんしーごー……5人も前に!
後ろから1人……
ど……どうしよ……
あ!
舟の先に、地面があるのが見えた。
よし!
「タラリア! アイギス! お願い!」
タラリアは、"飛べる靴"。
アイギスは、"自動防御盾"の出る甲冑? ってレイが言ってたっけ。
「うぉ?!」 「な、なんだぁ?!」 「飛びやがったぞ!?」
とりあえず、なんとか舟? から脱出できた!
よかった〜〜〜。
レイ、言ってたもんね。
"ちゃんと装備使いこなせたら人間相手なら誰にも負けない"……って。
ああ……。レイ……どこ行っちゃったんだろ。さみしい……。
「ちきしょーが! 降りてきやがれぇ!」
――ビュッ! ……ガィン!
「あぶっ……?!」
追っかけてきた人、弓撃ってきた!
こわぁ……。アイギスが守ってくれたけど……。
やっぱりレイはすごいよね。一緒にいなくても、アタシを守ってくれてる。
レイ……。会いたいな……。
……がんばらないと。
そういえばここも、アースガルズみたいに戦争ばっかりなのかな?
とりあえず、地面の方を見ると……
街が広がっていた。
「わ……すご……」
そこはアーシアなんかより、全然綺麗な街だった。
えっと、なんだっけ。
初めての場所は、情報収集があーるぴーじーの基本……だっけ。
レイは、よくわけのわからないことを言ってたけど、いつも何でもなんとかしちゃってたから、レイが言ってたようにやるのが正解なんだと思う。
とりあえず、逃げきれたみたいだし……
人がたくさんのところに行ってみようかな。
そうして街の方へ飛んでいったニケだった。