ニケ伝説 (17) ビッケに帰還
ハームストッド要塞に泊まり込んでいたニケたちだったが……
アタシはニケ。15歳。
今、とても――
「どーだい! ニケ! ここ、きんもちぃーだろぉー!」
「た、高いよー!?」
「なぁに言ってんだい?! アンタいっつも飛んでるだろーに。」
とてもガクブルしてる。
こ、こわい! だってすんごく高いし! 揺れるし! 風もすごいし!
「ここ、お気に入りなんだよねー。水平の先まで見えそうだろぉ?」
ゼラセが指さす方を見てみると……
「わぁ……すご……」
きらきらと光る水面の先は、少しだけ真ん中が高くなってるみたいで。
そんな不思議な景色を見てたら、だんだんと怖さがなくなってきて。
ゼラセが気に入ってる理由が、ちょっと分かった気がした。
「ま、もうすぐビッケだからよ! 帰ったら宴会だからな! 楽しみにしてな!」
「あ、うん」
ハームストッド要塞に、示談金? が届けられたということで、アタシたちはやっとビッケに帰るということになって。
船に揺られて、あと少しというところみたい。帰りの船は皆大はしゃぎって感じだったな。
傭兵団の皆は、こんな感じじゃなかったけど……アースガルズの人とミッドガルズの人とでは違う感じなのかな。
あ、でも傭兵団はレイひとりで大体なんとかしてたから、ただ歩いてただ帰るだけだったからかな?
海賊の人たちは、皆戦ってたもんね。そういうのが嬉しいのかも。
アタシは……別に戦いたくはないし嬉しくもないけど、仕事だからやらないとしかたないよね。
戦えばご飯も食べれるし。それに、お金を貯めてセンタロストに行かないとだからね!
「おっし、そろそろ降りっか。接岸準備だ!」
「あ、うん。」
ゼラセについて、柱のハシゴを降りた。
――
街に着くと。
「うおおー! 我らがドン・ベッテュル!」
「女神さま〜! こっち向いて〜!」
「ああ……今日も海賊姫様は凛々しいわぁー! 素敵っ!」
「勝利の女神様!」 「女神さま〜!」
ひどいことになってた。
なにこれ……?
「がぁーっはっは! さぁ、民よ! 帝国からせしめた金で、宴会すっぞ! 街ぃあげて準備しやがれぃ!」
「きゃー!」 「うおおー!」 「さすがドン・ベッテュル!」
「海賊王!」 「海賊王バンザイ!」
ドン・ベッテュルが街で叫んだら、もっとたいへんな感じになってた。
アタシはもみくちゃにされないか心配だったけど、それはなくてよかったかな……。
――と、思ってたんだけど……
「おら、民ども! 我らが勝利の女神サマだぞぉー!」
ガバッといきなりゼラセに持ち上げられちゃった!
ちょっと力ありすぎでしょ!?
「きゃー! 女神さま〜!」 「あやかれ! あやかれ!」
「かわいい〜!」 「はぁはぁ……女神さま……」
ひぇぇぇ! すんごいきた!
めちゃくちゃこわい! アタシ今、すごく困ってる!
あー……!?
ニケは結局もみくちゃにされてしまったようだ。
だが、アイギスがあるから痛くはない。




