ニケ伝説 (15) 帝国軍がきた。
ゼラセとたくさん語り合ったニケだったが、異常事態が発生したようだった。
アタシはニケ。15歳。
今、とても困ってる。
というよりも、ものすごく気になってることがある。
「ねぇ、ゼラセ。あれってさ、軍隊じゃない?」
「おお! そうみてぇだな!」
アタシたちは今、ハームストッド要塞の見張り台で、地平を見てたんだよね。
そしたら、近づいてきてたんだよね、人の群れが。びしーっと並んでて。鎧とか着てて。
「あの旗は帝国の旗だな。ははは! ニケ~! よかったな! また仕事だぞ~!」
「えっ? 全然よくないよ!」
「ははは! ま、一旦オヤジんとこ行こうぜ!」
「う、うん」
アタシたちは見張り台を降りて、ドン・ベッテュルの部屋に向かった。
「がーっはっはっは! 思ったより早かったなぁ! ま、要塞のヤツに真意を聞いてこさせるとして、俺たちゃいつでも戦れるようにしとくぜ! 野郎ども!」
「「おうよ!」」
海賊たちは、てきぱきと準備をしてるみたいだった。
ゼラセもいつもの斧と曲剣を持ってる。
「女神サマよう」
「いや、アタシ、ニケだけど」
「がはは! 俺らにとっちゃあ勝利の女神サマでいいんだよ! で、戦になったらまた頼むぜ? 帝都からの援軍なら、術師もいっかもしんねぇ。てぇわけで、また上で待機しててくれや! がはは!」
うえぇ……? またかぁ……仕事だし、やるけどー。
レイも仕事はしてたしさ。
しかたなく、アタシはまたタラリアで空へ。
しばらくすると、軍隊が要塞の前に到着してビシッと並んでいた。結構たくさんいそう。
陣っていうんだっけ。傭兵の時はあんな感じじゃなかったなぁ。
わーって突っ込むだけの感じで、レイが怒ってたもんなぁ。レイ、あんまり怒んないから、珍しい感じだった。
「非道なる海賊国家デヴィングよ! 偉大なる皇帝陛下への書簡、あまりの侮辱ぶり許しがたき暴挙なるぞ! 今すぐハームストッドを開放し、国へ帰るがよい! それとも冥土へ帰りたいか!」
兵士たちの中央に高そうな鎧の人がいて、叫んでいた。
「がはは! てめぇらこそこんなとこで遊んでていいのかぁ? バストスみてぇになってもしらねぇぞぉ~? がはは!」
「おのれっ! あのような小国と同じにするでないわ! 海賊ごときがっ! かかれぇ!」
「「うおおぉお!」」
要塞に向かって、人の群れが押し寄せてきた。
「いよっしゃ! 女神サマ! 一発頼むぜ!」
「う、わかったよ! やるよ! タラリア、アイギス! お願い!」
アイギスを展開しながら、人の群れの方に飛ぶと……
「うおおお? なんだあれは?! くそっ術師部隊! 撃て撃て!」
ぶあっと火の渦だとか炎の槍だとかが、アタシ目掛けて飛んできた。
……んだけど。
「んなぁぁ?! き、効かんだとぉ?!」
アイギスには効かないみたいで、ぽふって感じで防いでた。
やっぱ、"ちーと"装備は安心安全だよね!
人間の攻撃はニケには効果がないようだ。




