ニケ伝説 (11) 港? 要塞だよね……?
ハームストッド港に向かったニケたちだったが……
アタシはニケ。15歳。
今、とても困ってる。
それというのも、少しだけ話をさかのぼるんだけど……
海賊王ドン・ベッテュルに連れられて、エウローン帝国の港町ハームストッド港まで来たんだけど……
船旅は、よかったんだよね。シャーチを退治したから、安全な感じだった。
でも、港町とかいいながら……ハームストッド港は、めちゃくちゃ要塞で。
「おおお頭ぁ! やつらめちゃくちゃバリスタ撃ってきてますぜ!」
港についたら、熱烈な歓迎だったんだよね。悪い意味で。
「がーっはっはっは! ビビッてんじゃあねぇ! こちとら勝利の女神サマがいんだろうよ!」
でも、ドン・ベッテュルはすっごく上機嫌だし……
「うっし! ニケ! 出番だぜ! アタイらぁ白兵戦は得意だけどよ、飛び道具はなぁ……ってことで、ピューンとよ! ほれ!」
ゼラセもゼラセでニッコニコだし……
だからアタシは今、とても困ってる。
「わ、わかったよ! あのおっきい矢が飛んでくるやつ、何とかすればいいんだね?」
でも、もうやるしかない! レイも、やるときはやらないとって言ってたし!
「そーそー! 接岸出来たら後はアタイらに任せな!」
ゼラセは、大きい胸をぼいん! って叩いてた。アタシなら……いや、やめよ。
「じゃあ行ってくるよ! タラリア! お願い!」
アタシが空を飛ぶと……
「うおお! 勝利の女神サマが飛び立ったぞ!」 「これで勝てる!」
とか背後が騒いでるし……
「な……なんだあれは?!」 「わからん……わからんが、バリスタ用意!」
って、前方の要塞からは声が聞こえるし……
そしたらすごい勢いで、大きな矢が飛んでくるし……
「アイギス! お願い!」
アイギスは、大きな矢も全然平気そうにキンって感じで弾いてた。
うーん。やっぱりレイのくれた"ちーと"装備すごいな。
アタシは一気に弓を飛ばしてくるところまで飛んでって……
「う……うぁぁぁ! き、きたぞー!」 「な、なんてことだ! なぜ効かぬ!?」
兵士っぽい人たちが騒いでたけど、アタシは仕事をしないとなんで……
「勝利の剣! お願い!」
勝利の剣を展開して、バリスタとかいうのを全部壊した。
「な、なんだあの光の刃は?!」 「か、神の力か?!」 「あんな術はみたことが……」
兵士たちは、腰を抜かした感じになってた。お尻をついてカタカタしてる。
「おおっしゃあ! 女神サマがやってくれたぜぇ! 野郎ども! 接岸だ! 一気にいくぞ!」
「「おおー!」」
ドン・ベッテュルたちが、港に船をつけて、どんどん上陸してきた。
「女神サマはそのままそこにいてくれや!」
え? アタシこのまま?
こ、今度はなんなの?
アタシは今、やっぱり困ってる。
すっかり大規模戦闘が始まったようだった




