ニケ伝説 (1) ここはどこ? アタシはニケ。
これは、ある神に助けられ──
その神と共にあろうとした
一人の少女の物語
アタシはニケ。15歳。
今、とても困ってる。
それというのも、少しだけ話をさかのぼるんだけど……
まず、アタシはアースガルズのアーシアという街の近くの名もない村出身で。
その星は、灰色の空に覆われた、戦争が絶えない血まみれの星。
そんな場所だから……
アタシも戦乱のせいで、奴隷にされた。
ボロボロの甲冑と、錆びた剣で出陣したあの日……
敵も味方もバタバタと倒れていく中、アタシもザックリ斬られちゃって……
ついにアタシの番もきたのか……
と、思った。
でも、なんだかふわりと温かいものに包まれた感覚がして。
気付いたら、目の前には……
明るい髪色をした、綺麗な男の子がいて。
アタシを助けてくれた……って言ってた。
レイは、色々とおかしなひとだったな。
なんか……名前がすごく長くて……
レイリィ……
レイリィ……セトリィアス……えーと?
セトリィアス……ミ……ミデニスティースだ! そうそう。
長いから、いつもレイって呼んでた。
で、そのレイは、アタシの奴隷紋をいきなり消しちゃったかと思ったら……
ボロボロの甲冑と靴もピカピカにしちゃったんだ。"ちーと"装備だって。
そんなの普通じゃないし……
聞いたんだよね。何者なの? って。
レイは、神様だった。
でも、星の神アズリア神族じゃなくて、違う星からきたアズ神族だから、元の星に帰るんだって言ってた。
だから、レイとアーシアに行って……
うん。色々あったなぁー。
レイは……
優しいんだけど、なんだか不器用で。
ふざけてるんだけど、結構真面目で。
神様っぽくはなかったな。
アタシは、そんなレイに助けられた生命だから。
レイに全部あげたくなった。
だから一生ついて行こって思った。
レイは、困った顔をしながら、"いいよ"って言ってくれたんだ。
それからアタシたちは、傭兵になってお金を貯めて虹の橋を目指して旅をして……
レイは、化物っていうすごいのを倒して……
巨人の長に案内されて、虹を渡る舟に乗って……
星の出入口、光の柱の近くまで行ったんだけど……途中から道がなくて。
巨人の長が、投げたんだよね。舟ごと、アタシたちを。
すごい勢いで地面にぶつかりそうだった舟から、レイがアタシを投げて逃がしてくれたんだけど……
レイはそのまま光の柱の中に飛ばされちゃった。
アタシも急いで追っかけたんだけど……
光の柱の中は、思ったより暗くて、上も下もわかんないような……変な場所で。
たくさんの光るロープみたいなのがあって……
レイはいなくて……
アタシは、一生懸命レイを呼んだ。
でも、返事はなかった。
だから、探さなきゃ……って思って。
レイの創ってくれたアタシの靴"タラリア"は、空を飛べるんだ。
だから、飛んでみた……
んだけど……
「あ……あれっ?!」
タラリアで飛んだ瞬間、暗かった光の柱の中じゃなくて……
明るい空の上にいた。
「レーイ! どこー? いないのー?」
明るい空……初めて見た……
ここ、アースガルズじゃなさそうだけど……
どうしよう、レイがいない……
それに、ここはどこ?!
光の柱、どこいったの?!
え、アタシ、違う星に1人で来ちゃった……?!
えぇ〜!? やっちゃった〜?!
わー! レイー! 助けてよー!?
アタシ今、すごく困ってる!
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なお、この物語は、【神世界転生譚】 リセットしたいとは言ったけど、こうじゃないだろ?!神になるとか聞いてない! https://ncode.syosetu.com/n9813ho/ の二章最後ではぐれてしまったニケ側の話です。