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あーかい部! 7話 狙いたい

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「…………、えいっ。」



あさぎが丸めた紙をゴミ箱に向かってシュートした。




「お?」

「いけいけー。」




ひいろときはだの応援も虚しく、丸まった紙はゴミ箱の縁に弾かれ床に転がった。




「「「あ〜……。」」」




あさぎが紙くずを拾い上げると、再びパソコン前の席から紙をシュートする体制に入った。




「またやるんだな。」


「諦めないねぇ。」


「なんか、悔しいじゃん。」


「「確かに。」」


「外したゴミを普通に捨てると、なんか敗北感あるんだよなあ……。」


「わかるぅ。」


「…………、よし。いけっ!」




きはだとひいろの雑談を力に変え、丸まったゴミは再びあさぎの手からゴミ箱へ。




「「お、」」




今度はさっきより高めの綺麗な放物線を描いて、ゴミ箱の中央に落ちた。




「「「やったーー!」」」




あさぎのゴールインに喜びを分かち合っていると、3人の歓声を聞きつけた白ちゃん先生が部室に入ってきた。




「なにか良いことでもあったの?」


「白ちゃん、あさぎちゃんがね……!」


「とうとうやったんだ……!」


「白ちゃん先生……私、やり遂げました!」


「えっと……おめでとう?」


「ありがとうございます。」


「ところで、何をやり遂げたの?」




3人は無言でゴミ箱を指差した。




「?」


「あさぎちゃんが、ゴールしたんです……!」


「ああ。見事なシュートだった……!」


「ゴール?フォーム?…………あ。もしかして、


「はい。パソコンの席から3ポイント決めました!」


「私のおめでとうを返せ。」


「頑張ったんだけどなぁ……。」


「『ゴミで遊んじゃいけません』なんて高校で言うとは思わなかったわよ。」


「白ちゃんは家でゴミ投げたりしないの?」


「めっちゃする。」


「本音と建前……。」


「だって手頃な場所にものがあって、良い感じのところに的があったらやりたくなるのが人でしょう。」


「わかってるぅ〜♪」


「的を狙いたくなるのは人の性なのかもしれないな。」


「確かに、ダーツとかバスケットボールとかは狙うもんなぁ。」


「優勝という大きな的を……ね。」


「大きいとみんな当たるんじゃないか?」




「狙いたいかは別として、外ではゴミを投げちゃいけません!」


「これが建前か……。」

「政府の犬め。」

「公僕は悲しいのう……。」


「言いたい放題か。」


「取り締まられちゃったし、ちょっとゴミ捨ててくるね。」


「「「いってらっしゃ(〜)い。」」」




あさぎがゴミ箱を持って退出した。




「……さて、どうしたものかしらね。」


「白ちゃん悩み?」


「ええ。どうしたらあなたたちがゴミを投げなくなるか考えてたんだけど、何か良い案はないかしらね?」


「わたしたちに聞く……?」


「『0点』って書くのはどうだ?」


「ひいろちゃんはそれでやめる?」


「やめないが?」


「きはだちゃんは何か良い案あるかしら。」


「ゴミ箱に命中しないようにするのは?」


「命中しない……?」


「ゴミ箱にプロペラつけてゴミを弾くようにするとか。」


「「「…………楽しそう(だな)。」」」


「って、助長するなっ!?」


「楽しそうって言ったくせにぃ。」


「やるなっていったり、物理的に妨げると帰って助長しちゃうのね……。」


「障害があると燃えるって言うもんねぇ。」


「もう恋だな。」


「好きな人にゴミ投げられたら、百年の恋も冷めるわ。」




あさぎ帰還。




「お待たせ〜。どう、盛り上がってる?」


「盛り上がってるよ〜、主に恋バナで。」


「恋バナ?」


「障害がある方が燃えるらしいわよ。」


「白ちゃんは燃えないのか……?」


「障害なんて疲れるだけよ?私はフリーダムを謳歌するの。」


「フォーエバーシングル?」


「言い方。」


「まあ白ちゃんは人生一両編成として、2人も障害は無い方がいいのか?」


「おい。」


「わたしはよくわかんないやぁ。白ちゃんは生涯一人線香花火として。」


「おいこら。」


「激しい恋は冷めるのも早いって言うし、もう少し落ち着きたいかな。白ちゃん先生はwhole of life single bellとして。」


「ちょっと待て。」


「「「ん?」」」


「『ん』じゃないのよ誰の人生が毎年1人クリスマスじゃ。」


「え?白ちゃん自分で言ってたじゃないか。」


「自虐はいいけど人に言われるのは腹立つのよ。っていうか悪口のボキャブラリーすげえな、なんだよ人生一両編成って。」


「これでも勉強はできる方なんだ♪」


「きはだちゃんは頭がキレるよぉ?」


「私は普段からケータイ小説書いてるから……。」


「そういやそんな部活だったなここ!」


「まあまあ白ちゃん、ムシャクシャはクシャクシャしてポイしよ?」




きはだから渡された1枚の紙を受け取った白ちゃん先生は、




「…………、」




無言でク紙をシャクシャに丸めて




「えいっ。」




ゴミ箱にホールインワンした。




「「「お〜。」」」


「……節度をわきまえて楽しむように。」








あーかい部!(4)




あさぎ:投稿終わりっ!


白ちゃん:お疲れ様。今日のうっすいネタでよく書けたわね


あさぎ:正直くるしかったです……

あさぎ:白ちゃん先生まだ起きてたんですね


白ちゃん:10時なんてみんな起きてるわよ。大人だもの


あさぎ:え?

あさぎ:おと……な?


白ちゃん:こら、セリフ小出しにしてあの子ら召喚しようとしないの


ひいろ:はーい

きはだ:はぁい♪


あさぎ:計算通り……!


白ちゃん:やれやれね


きはだ:読んでくる〜

ひいろ:早速読ませてもらおう


白ちゃん:日付変わる前には寝るのよ?


あさぎ:あと2時間は遊べますね


白ちゃん:若者の体力怖っ!?




ひいろ:読んできたぞ!今日のネタ、うっすいなぁ……


きはだ:ゴミ投げて独身いじりしただけだもんねぇ


白ちゃん:こんな悪い子に育てた覚えはありません!


ひいろ:ワタシ達を反面教師にすれば良い子が育つぞ!


きはだ:ひいろちゃん、やめるんだ……!白ちゃんに子どもは……結婚は……!


ひいろ:すまないきはだ。まだ宝くじ一等の皮算用をした方が建設的だったな。


白ちゃん:建設するなら自分らの墓にしておけ


きはだ:残念、お墓に建築基準法は適用されません!


ひいろ:一般的なお墓は固定資産じゃないから家屋でもないな


きはだ:お墓を建てる時は建墓(けんぼ)建立(こんりゅう)だよね〜


白ちゃん:なんでそんな詳しいのよ


きはだ:JKの嗜みだよ?


白ちゃん:会話が老け過ぎてるのよ


きはだ:最近の若者は色々と悟っているのさ……!


白ちゃん:自分の死期悟ってどうすんのよ


ひいろ:マジ建墓


白ちゃん:草生やす感覚で墓立てるな


ひいろ:学生のうちからしゅう活が当たり前の時代になったからな


白ちゃん:それ『就活』ちゃう、『終活』や


きはだ:あさぎちゃん来ないねぇ……


白ちゃん:疲れてたのよ。寝かせてあげましょう


ひいろ:だな

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