最終話 平和な世界
私、相模原勇は指輪が消滅した後も、男の勇の存在を感じながら、ゆっくりと自らの意識を取り戻した。
部屋の中に漂っていた光は消え、代わりに静かな夜の闇が戻っていた。
彼女は涙を拭い、テイアとフレアが以前告げたことを思い出していた。
***
『指輪がなくなったら、どうなるんですか?』
『時間の流れそのものが変わる。クロノスの侵攻は起こらなくなるだろう。そして、あなたの世界も私たちの世界も、真の平和を取り戻すチャンスが得られる』
フレアが続けて説明する。
『しかし、それはただのチャンスに過ぎない。私たちはその平和を守るために戦わなければならないわ』
***
勇は深呼吸し、男の勇の存在を思い出しながら力強く頷いた。
「理解しました。私は……私たちは、その責任を果たします」
誰もいない空間で呟き、部屋を出る前に、もう一度振り返る。
「私は男の勇の存在を忘れない。私たちは一緒に戦いました。そして、今も一緒です」
と呟いた。
マンションを出て、夜空を見上げる。
星々が輝き、月が静かに光を放っている。
勇はその光に導かれるように、自分の未来へ歩み出す決意を新たにした。
翌日。
学校の教室に戻った勇は、再びセーラー服を着て、自分の席に座っていた。
クラスメイトたちは彼女の変化には気づかない。
勇は、男の勇の記憶と存在を胸に静かに授業を受けていた。
昼休み、勇は聖愛と武彦に会った。彼らは勇が変わったことを感じ取っていたが、それが何かを具体的に知ることはなかった。
「勇、何かあった?」
聖愛が心配そうに尋ねる。
「うん、ちょっとね。でも、今は大丈夫。みんなと一緒にこれからも頑張りたいなと思ってる」
武彦はいつものように仏頂面で告げる。
「お前が元気なら、それでいい」
と言ったが、その目には安堵が見えた。
「てか、普通に混じっているけど、戦場君、勇と仲が良かったっけ?」
「な、なんとなく、絶対言わなくっちゃいけないと思っただけだよ!」
真っ赤になる武彦に、勇も真っ赤になる。
そこへ勇の耳元に聖愛が囁く。
(でも、これが当たり前な気が私もするわ。これは勇、戦場君は勇のことが好きなのよ)
「そんなことないよ、聖愛! ただの感謝だから!」
勇は顔を赤らめながら否定するが、心の中には男の勇への感謝と愛が溢れていた。
武彦は紅潮し、聖愛はニヤニヤする。
「ほら、戦場君、やっぱり勇に惚れてるんじゃない?」
とからかった。
数週間後。
勇はある日、1人で公園に行き、満天の星を見上げながら、男の勇に語りかけた。
「ねえ、男の私。私たちの未来は、きっと平和になるよ。君の存在があったからこそ、私はこの世界を守り続ける。君の存在が、私の力になるから」
その瞬間、風が優しく勇の髪を撫で、まるで男の勇が答えているかのようだった。
「君、君も幸せになってなかったら許さないわよ。聖愛に告白しなさいよ」
勇は微笑み、星空に誓った。
「私たちは一つ。君の存在を、私は永遠に守るわ」
勇は立ち上がり、未来に向かって歩き出す。
彼女の瞳には希望と決意が輝き、新たな人生が始まろうとしていた。
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相模原勇(男と女)にお付き合い頂きありがとうございました。
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