表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢の世界で淡々と生きる  作者: 送間
4章 夢世界考察
85/100

85失敗

僕は丘の家まできた。


瞬間移動は問題なくできた。何度か試したことがある程度だったが、この緊急事態でもできると分かってよかった。


僕はドアを開き、なかへ入った。


家は静かだった。家のなかにはドラールだけがいた。


家に空子はいなかった。現実で別れの手紙を残して、家にとどまっているとは思えない。予想はできていたが、念のためやってきた。


空子は死のうとしている。絶対に止めたい。


空子は自らが死ねば、僕の異常が取り払われると思っている。でも、それはあくまで可能性の話だ。確定していない。


それに夢迷宮の小説家の話を読み解くに、昏睡状態で見る明晰夢(つまり今、僕がいる夢のなか)で生き残れば、次に目覚めた後は、普通に生きられるようだった。現に、小説家は昏睡状態から目覚めてから作家業を何年も続けていた。


現実の時間で一ヶ月間。その期間、僕が死なず、生き残れば、これからも空子と一緒にいられる。


僕がするべきことはふたつ。


ひとつ、空子を見つけて自殺を食い止める。


ふたつ、僕自身が死なないこと。


「よし」


目的がハッキリできた。すべきことをしよう。


とりあえずは空子だ。


空子は家にいなかった。どこかへ行って、自らで命を絶とうとしている。


自殺するだけなら、この家でもよかっただろう。でも、そうしなかった。理由は僕でも分かる。ここは思い出の場所だ。僕と空子は長い間過ごしてきた我が家だ。多分、自分の死で、家に負のイメージが付いてしまうことを気にしたんだと思う。


(そう考えているのなら……けがれた場所、死んでも気にもされない場所に行った?)


誰にも目撃されないような人気ひとけのない崖で身投げ? それとも危険な森のなかに行ってモンスターに食われる?


情報がまるでない。


でも、問題ないだろう。


僕には明晰夢のなかで夢の内容を自由に変えられる要領ようりょうで、夢のなかなら全能と言ってもいい力を発揮できる。


僕は空子をイメージして、どこにいるか見つけようとした。もしくは、家に呼び戻そうとした。


「…………出来ない」


しかし、僕は空子を見つけることも呼び出すこともできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ