4巡回
僕は空子と一緒に外に出ることにした。
丘の上から僕は浮遊する。続くように空子も浮いて、そのまま上昇して飛行する。
「どこ行くのー?」
「今日は世界を回っていくつもり。イメージが抽象的なエリアがあったら、またイラストや文字に起こして具体的にしようと思うんだ」
抽象的なままだとモヤがかかり、そこを具体的にするために思考のリソースを使わなければならない。
思考のリソースを割いてしまうと、その分だけ、僕が『この夢の世界にいる』という実存感が薄れていき、最終的に夢から覚めてしまう。空子とも、また離れ離れになってしまう。
だから出来るだけ抽象的なエリアは見つけては、現実に戻った際に具体的なイメージを考えるようにしている。
僕と空子は世界中を回り、モヤがかかったエリアを見ておく。
「ご主人様、あの国は?」
空子が国を指さす。国の上には灰色がかったモヤが浮かんでいた。
「騎士の国か。王やメインの騎士たちは決めたけど、そのあと考えてなかったなー。うん、考えておく」
西の大陸にある騎士の国は、現実の西洋をモチーフにしている。色々インターネットで調べて具体的にしているけど、全然まだ足りないようだ。
その後も世界の大陸やダンジョンを見て回った。
「ん? ああ!?」
僕は超視力を用いて、大陸にある湖を見て、声を上げた。
「あららー」
空子が笑みを浮かべながら湖を見る。
そこは美女たちが現れる湖『美女湖』だった。